モデルの概要

図1 Bullingtonモデル

Bullingtonモデルは数多くある地物を等価的なシングルナイフエッジで近似し,回折損失を求めるモデルである.等価的なナイフエッジの高さと位置は,主な損失を生じさせる二つの障害物を選び,図1に示すように送受信点間と各障害物頂上を結ぶ直線経路の交点で定める.この場合の回折損失\(J(\nu)\)[dB]はシングルナイフエッジで示した式(4),(5)で計算を行う。このモデルでは計算が単純であることが良い点であるが,二つの障害物の影響のみを考慮するため,予測精度はそれほど高くない.一般的に,得られる損失値は過小評価となることが多い.

数式

\(
\nu = h \sqrt{\frac{2}{\lambda} \left( \frac{1}{d_1} + \frac{1}{d_2} \right)} \\
\tag{1}
\)

\(
J (\nu) = 6.9 + 20 \log \left\{ \sqrt{(\nu – 0.1)^2 + 1} + \nu + 0.1 \right\} \quad (\nu \geq -0.78 での近似式) \\
\tag{2}
\)

パラメータ

記号パラメータ説明[単位]パラメータ範囲
\(J(\nu)\)回折損失 [dB]
\(h\)等価的なナイフエッジの高さ [m]
\(\lambda\)波長 [m]
\(d_1\)送信点から等価的なナイフエッジ頂上までの距離 [m]
\(d_2\)受信点から等価的なナイフエッジ頂上までの距離 [m]