大会名称
2005年 情報科学技術フォーラム(FIT)
大会コ-ド
F
開催年
2005
発行日
2005/8/22
セッション番号
14
セッション名
暗黒時代の大学に夜明けは来るか -黒船来航!官民連携の大学評価結果公表-
講演日
2005/9/8
講演場所(会議室等)
第3イベント会場
講演番号
N-6
タイトル
日本再生のための,社会を変える大学像 -入学者選抜から教育・研究,そして就職まで
著者名
船曳 建夫
キーワード
抄録
このイベントの中心的問題は,活発に発展を遂げる産業界の人材育成の要請に,大学がよく応えていないところにある,と整理することが出来ます.しかし,この問題は「産業界」と「大学」のあいだの本質的なミスマッチから来る不可避的なものです.「産業界」とは近代の産業文明の,ここ200年の産物です.一方,大学は,農業文明以来の1000年以上の歴史を持つ集合体です.産業界が大学に人材育成や変革を要請することは,短い心拍リズムを持つネズミが,長い心拍リズムの象に,同じテンポで生きることを要求していることに他なりません.不可能ではないが難問です. この難問にはいくつかの誤解と無理解が絡んでいます.第一に,大学とは,18歳の少年少女を22歳で社会に送り出す制度で,それは子供を大人にするだけで精一杯の期間です.第二に,大学とひとくくりに呼んでも,知的な能力と意欲において「大学生」にはふさわしくない学生を多く擁する大学が,日本の過半を占めています.第三に,大学はこれまで,「現在」よりも「未来」に属する制度として価値がありました.現在に関わる「トレーニング」は,大学人には価値が低いのです.第四に・・・,と,こうした誤解と無理解を明らかにし,その上で,具体的にどのような「大学」制度が,「産業界」という天気の変わりやすい地域で有効たり得るかを考えます.