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NetSci研究会について

設立の背景

 情報ネットワークは、私たちの生活や社会を支える最重要技術として目覚しい発展を遂げてきました。特に最近では、持続発展可能な社会を支えるインフラ技術としてなお一層の高度な要求に対応すべく、量的にも質的にもさらなる飛躍が期待されています。このような大規模化かつ複雑化する情報ネットワークの研究開発を支える学術的基盤に関しても、有線・無線を問わず、既存の学術的基盤の適応限界が広い範囲で意識され、これらの限界を超えた新たな基盤構築の必要性が世界的に認識されるようになっています。例えば、情報ネットワークの量的な拡大は、ネットワークに関わる個別の要素を完全に掌握して制御・運用できるレベルを超えており、ネットワーク設備設計の伝統的理論は適応できず、大規模化・複雑化に対応した基礎理論の構築が待望されています。また、センサーネットワークはもちろんのこと、膨大な数のモノがネットワークに接続されたInternet of Things (IoT)や、ソーシャルネットワークによって益々強まっている人や社会と情報ネットワークの結びつき、さらには省エネルギー化の極めて強い流れからも分かるように、社会が求める新しい要求は、物理レベルからサービスレベルまで、伝統的な情報ネットワーク理論の革新的発展を強く迫っています。欧米ではInternet ScienceやNetwork Science of Complex Systems 等とも呼ばれ強く推進されはじめており、幅広いコミュニティーの叡智を結集することにより、我が国の学術基盤の強化発展、ひいては競争力のあるネットワーク技術の確立に資する必要があります。

委員会の目的

 上記の背景でも触れているように、大量で多様な端末の収容、ネットワークの大規模化・多様化・複雑化・モバイル化・仮想化、省エネに代表される環境調和性能を含めた物理世界とネットワーク世界の調和、安全性・信頼性の確保など、従来の情報ネットワーク分野における学術的基盤では取り扱うことが困難な問題を克服し、また、情報ネットワークの今後の益々の発展を支えるために、体系化された情報ネットワーク科学を確立していくことは急務と言えます。そのためには、既存のいわゆる情報通信工学だけでなく、その周辺分野、さらには異種分野からの接近、数理・物理からの接近、社会経済的視点からの接近など、多様な視座からのアプローチが求められます。

 そこで、本特別研究専門委員会は、充実した議論の場を提供し、今後の情報通信分野における情報ネットワーク科学の一層の促進を目指します。

 なお、本委員会の専門委員構成からも分かるように、分野横断的で学際的な領域を対象としており、また、背景にも述べられているように情報ネットワーク科学は近年、情報通信ネットワーク分野において急速に重要性が高まっていることから、特別研究専門委員会として集中的な議論に着手することが有意義と考えています。

担当する研究分野

 1) 情報ネットワーク科学基盤

 情報ネットワーク科学、大規模複雑情報システム、ネットワークアーキテクチャ、ネットワークモデリング、ネットワーク性能評価、ネットワーク計測、ネットワーク設計概念と応用、ネイチャーインスパイアードアーキテクチャ、自律分散ネットワーク、自己組織化ネットワーク、ネットワーク情報理論とその応用、情報ネットワークに資するゲーム理論と応用、データセントリックネットワーク、持続発展可能ネットワーク

 2)  リアルワールド情報ネットワーク科学基盤

 センサーネットワーク・Internet of Things (IoT)を扱う基盤理論と応用、リアルタイムネットワーク、情報通信におけるエネルギー基礎理論、省電力ネットワーク、サイバーフィジカルシステムと情報ネットワーク、ネットワーク科学の知見に基づく物理システム・物理デバイス、光・量子等の先進物理原理と情報ネットワークへの展開

 3)  知識社会情報ネットワーク科学基盤

 ソーシャルネットワーク、ネットワークサービス、ネットワークセキュリティに関する理論と応用、知識ネットワーク、集合知、ネットワーク知識情報融合、ユーザー・ネットワークインタラクション

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