IEICE ICT PIONEERS WEBINARシリーズ~第43弾~

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主催:(一社)電子情報通信学会サービス委員会

カオス研究のアルファとオメガ(解説と回想)

上田 睆亮(京都大学名誉教授)

【開催日時】2023年10月27日(金)15:00~16:00

講演内容

 カオス現象は1970年代後半以来、自然科学のあらゆる分野において脚光を浴び、爆発的な研究資源の注入・活発な研究活動の結果として非線形科学技術分野における市民権を樹立した。しかし、現象に内在する課題には、現在に至るも、自然科学・応用技術的な見地から、魅力的だが未解決なものも少なくない。
 本講演では、長年にわたり現象の本質を追求し続け、ようやくたどり着くことが出来た成果を、演者自身の言葉で開陳させて頂きたいと考えている。当日は徒に理論的詳細部に立ち入ることなく、平易かつ直感的に理解いただけることを念頭に講演を心掛けるつもりです。また時間的余裕があれば、学術・技術的内容から逸脱したカオス研究のよもやま話を、お聞きいただきたいと考えております。

※今回の講演は録画配信、講演後の質疑応答をリアルタイムで行います。予めご了承ください。

長谷川幹雄NOLTAソサイエティ会長からの紹介文

 上田睆亮先生は、2023 IEEE Gustav Robert Kirchhoff Awardを受賞されました。電子回路におけるカオス現象の発見、および、非線形ダイナミクスの発展への貢献が高く評価されました。カオスの研究者、NOLTAソサイエティに関連する研究者にとって、大変うれしいニュースでありました。
 上田先生は、1961年、世界で初めて、物理現象としてのカオス現象を発見されました。当時は、それが新しい現象であると認識されいませんでした。発見されたカオス現象の解軌道が描くストロボ写像は、その後、ジャパニーズアトラクタ、ウエダアトラクタと呼ばれるようになりました。
 今回のIEICE ICT Pioneers Webinarでは、上田先生に、従来型のスタイルで、カオス研究についての講義をして頂きます。電子情報通信学会に関連する幅広い分野の皆様に、カオス現象の基礎やその面白さを知って頂く貴重な機会にもなると思います。ぜひ、ご参加ください。

講師略歴

上田 睆亮

上田 睆亮

 1936年12月神戸市生まれ。1959京都大学工学部電気工学科卒。1964年同大学院博士課程単位修得退学、同大学助手、その後、同大学講師、助教授、教授を歴任し2000年定年退官、公立はこだて未来大学複雑系科学科教授、2007年同大学定年退職。その間、教育・研究活動に従事、電力系統工学講座担任、応用微分方程式、電気機器、電力回路、電力系統工学などに関する教育・研究に従事。京都大学名誉教授、アバディーン大学名誉教授(英国)、ハルビン工業大学名誉教授(中華人民共和国)、電気学会名誉員。平成29年春瑞宝中授章。2023 IEEE GUSTAV ROBERT KIRCHHOFF AWARD 受賞