IEICE ICT PIONEERS WEBINARシリーズ~第37弾~

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主催:(一社)電子情報通信学会サービス委員会

高速高効率無線LANの標準化活動と実用化

足立 朋子(株式会社東芝 研究開発センター ワイヤレスシステムラボラトリー)

【開催日時】2023年5月31日(水)15:00~16:00

講演内容

 Wi-Fi 4、5、6/6Eに対応するIEEE802.11n、11ac、11axは802.11a/b/gの系譜を引き継ぐ無線LANのメインストリーム規格と位置付けられている。世代を追うごとに体感速度を引き上げているこれらの規格では、伝送レートの高速化とともにデータ伝送の高効率化も行っている。高効率化に初めて着手した802.11nから現在標準化が行われている802.11beに至るまでの技術変遷を、標準化活動を行ってきた立場から実用化の観点も交えて紹介する。

眞田幸俊副会長からの紹介文

 足立朋子氏は学位取得後、東芝研究開発センターに所属し、無線LANに係るプロトコルの研究開発を行いました。そして、メインストリームの高速系無線LAN、IEEE802.11nまた802.11axの標準化達成に貢献されました。また国産802.11n IC開発、さらに世界初802.11axドラフト準拠IC開発に貢献,日本国内での電波法関連規則の改正作業もリードし、国内外での無線LANの普及を実現した。これらの顕著な功績により2018年に業績賞、2023年にフェローを受賞されています。また2020~2021年には本会会計理事にも就任され、学会にもご貢献されています。
 年6回開催されるIEEE802.11標準化委員会に毎回のように出席されておられ、これは海外を飛び回る華やかなイメージがありますが、実際には朝から晩まで会議場となるホテルに缶詰であり、ずっと英語の討論に集中していなければならず、寄与文書の読み込みや作成など非常に地道な作業の連続です。本講演では日本が強化を求められている標準化作業の実情とそれに関わる課題にご自身がどのように対応されてきたかついて、実体験にもとづいた有益な講演になると確信しております。中堅技術者にも示唆に富んだ内容を、ぜひ様々な分野の方にご聴講いただければと思います。

講師略歴

足立 朋子

足立 朋子

東芝にて無線LANの研究開発に従事。専門は無線通信プロトコル。2001年からIEEE 802.11無線LAN標準化活動に参加、802.11n標準化活動功労賞、802.11ax標準化活動功労賞など受賞。また無線LANの研究開発で電気学会電気学術振興賞、市村産業賞、電子情報通信学会業績賞、文部科学大臣表彰科学技術賞受賞。2020年Beyond 5G推進戦略懇談会検討WG構成員。工博。信学会フェロー。