講演内容

　情報通信の夢とそれによって実現される豊かな未来社会に向けて果敢に挑戦し、革新的技術及びイノベーションを継続的に創出することが求められている。次世代を担う学生・若手研究者へのメッセージとして、大学での36年間の教員生活を振り返りつつ、教育研究活動の楽しさについてお話させていただく。

眞田幸俊副会長からの紹介文

　笹瀬巌先生は学位取得後、カナダのオタワ大学に勤務され、教育研究活動をスタートされました。その後慶應義塾大学で勤務され、衛星通信、ディジタル変復調方式、移動体通信、ワイヤレス通信、通信ネットワーク、非対称ディジタル加入者線通信方式（ADSL）、光通信理論、情報理論、ネットワークセキュリティ、赤外線室内通信、アドホックセンサネットワーク、光分割多元接続（CDMA）、波長分割多重アクセス（WDMA）、非同期転送網（ATM）スイッチ、レーダなど、情報通信工学の広範囲な研究テーマに取り組まれ、学術誌論文302編、国際会議論文448編などの研究成果を発表されております。特筆すべきはその論文発表の多さ並びにクオリティの高さだけでなく、研究教育を通じた情報通信分野へ人財育成に関するご貢献であり、直接研究指導された博士修了者は50名、修士は200名以上にもなります。そのうち27名は大学教員（教授26名）、23名は企業や官庁で活躍されています。つまり笹瀬研で学んだ学生は研究力、発信力だけでなく指導力も身に着けて社会で活躍されております。本講演では次世代を担う学生・若手研究者へのメッセージをお話しいただきますが、私も含め学生を指導する現役教員や若手を指導する中堅技術者にも示唆に富んだ有益な講演になると確信しております。ぜひ様々な分野の方にご聴講いただければと思います。

講師略歴

笹瀬 巌

1984年慶應義塾大学大学院博士修了。カナダ オタワ大学ポストドクトラルフェロー、講師を経て、1986年から36年間慶應義塾大学に勤務。現在同大名誉教授。電子情報通信学会会長、通信ソサイエティ会長、ネットワークシステム研究会と通信方式研究会委員長を歴任、現在、編集長。