IEICE ICT PIONEERS WEBINARシリーズ~第31弾~

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主催:(一社)電子情報通信学会サービス委員会

複雑系数理モデル学とICT

合原 一幸(東京大学特別教授)

【開催日時】2022年11月25日(金)15:30~16:30

講演内容

 本講演では、複雑系数理モデル学とICTに関して、いくつかの話題をお話する。まずはじめに、複雑系数理モデル学の歴史的経緯とその理論的プラットホームである複雑系制御理論、複雑ネットワーク理論、非線形データ解析理論の概略 をお話する。次に、複雑系数理モデル学の応用例として、未病の数理研究やニューロインテリジェンスと次世代人工知能などに関して、具体例を交えてご紹介する。最後に複雑系数理モデル学の未来について展望する。

潮俊光NOLTAソサイエティ会長からの紹介文

 合原一幸先生は、大学院学生時代から非線形現象の研究に従事され、情報数理工学に基づく複雑系数理モデル学の構築に取り組まれてきました。合原先生の研究の特徴は基礎理論だけでなくその応用研究も重視されていることです。例えば、カオスが発生するニューロンの数理モデルを提案され、そのモデルの解析を行うと同時に、カオスニューロンからなるニューラルネットワークを使った連想記憶方法を提案されています。また、その応用範囲は工学の分野に留まらず、医学などの他分野にも広がっています。個人的には、前立腺癌の治療にハイブリッド制御理論を応用した研究には感銘を受けました。複雑系数理モデル学の構築への貢献が高く評価されて、2022年度立石賞特別賞を受賞されています。
 現在、ムーショット型研究開発事業のPMとして、複雑系数理モデル学のさらなる発展とその応用研究に精力的に取り組まれています。この講演では、複雑系数理モデル学の歴史、基礎理論、そしてその応用事例を分かりやすくお話ししていただきます。急速に発展するICTを応用して新しい技術を模索している研究者・技術者にとっては有益な講演になると期待しています。お近くの若い人、学生にもお声をかけていただき、様々な分野の方にご聴講いただければと思います。

講師略歴

合原 一幸

合原 一幸

1954年北九州市生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士)。東京大学教授などを経て、2020年より東京大学特別教授/名誉教授。現在、東京大学国際高等研究所IRCN・副機構長、内閣府ムーンショット型研究開発制度目標2・プロジェクトマネージャー、理化学研究所革新知能統合研究センター・特別顧問、科学技術振興機構未来社会創造事業・テーママネージャーなどを兼務。専門は、数理工学、カオス工学。