IEICE ICT PIONEERS WEBINARシリーズ~第21弾~

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主催:(一社)電子情報通信学会サービス委員会

脳に学ぶ視覚情報処理

福島 邦彦(ファジィシステム研究所 特別研究員)

【開催日時】2022年1月11日(火)13:30~15:00

講演内容

 高いパターン認識能力を学習によって獲得することができる手法として、深層学習(deep learning)やdeep CNN(深層畳み込み神経回路)が最近注目を集めている。福島が1979年に発表しネオコグニトロンは、そのようなdeep CNNの源流と言われており、文字認識をはじめとする視覚パターン認識に高い能力を発揮する。ネオコグニトロンの歴史は古いが、現在に至るまで種々の改良が加えられ発展を続けている。そこで、脳の神経生理学的研究をヒントにネオコグニトロンの着想に至った経緯や、現在広く用いられているdeep CNNとの相違点に重点を置きながら、最近のネオコグニトロンを紹介する。

齋藤利通NOLTAソサイエティ会長からの紹介文

 ご好評をいただいているICT Pioneers Webinarシリーズでは、第21弾として、福島邦彦先生に、ネオコグニトロンの黎明期から現在までの研究についてお話いただきます。先生が提案されたネオコグニトロンは、AI技術の根幹をなすDeep CNNと深く関係し、今日のICTの発展に大きく貢献してきました。私は、先生の国際会議での全体講演や、国内研究会での特別講演などに何回か出席させていただきましたが、熟練したとてもわかりやすいお話でした。AIに少しでも興味のある方は、是非参加してください。AI技術の奥深い基礎と、最新技術への理解を深めるきっかけになると思います。先生は、「Deep learning の父」として、世界中の研究者から尊敬されていますが、近づきがたい方ではありません。気軽にお話していただける柔和な方です。若い研究者や学生諸君は、積極的にこのWebinarに参加し、できれば質問してください。充実した時間を過ごせると思います。

講師略歴

福島 邦彦

福島 邦彦

 1958年 京都大学工学部電子工学科卒.同年 NHK入局.NHKの技術研究所,放送科学基礎研究所などを経て, 1989年 大阪大学基礎工学部 教授(生物工学科).1999年 電気通信大学 教授.2001年 東京工科大学・教授.2006年~2010年 関西大学 客員教授.2006年より(一財)ファジィシステム研究所 特別研究員(非常勤),工学博士.  Franklin Instituteから Bower賞; NEC C&C賞; 科学技術庁長官賞; 電子情報通信学会業績賞,論文賞,功績賞; IEEE Neural Networks Pioneer Award; APNNA Outstanding Achievement Award; 日本神経回路学会論文賞,学術賞; INNS Helmholtz Award; 高柳健次郎賞; 電気通信大学特別栄誉教授称号; などを受賞.  日本神経回路学会(JNNS)初代会長,名誉会員; INNS(国際神経回路学会)元理事; APNNA (Asia-Pacific Neural Network Assembly) 元会長; 電子情報通信学会名誉員.
 脳における情報処理機構の解明のために, 神経回路モデルを仲介とする合成的手法を用いて研究を進めている.特に, 視覚系における情報処理や記憶・学習・自己組織化の機構の神経回路モデルの構成などに興味を持つ.「ネオコグニトロン」(学習によって視覚パターン認識能力を獲得していく神経回路モデル: deep CNNの元祖,1979年に発表)や,「選択的注意機構のモデル」(特定の視覚対象に注意を向けてその対象物を認識し,他の物体から切り出してくる機能を持った神経回路モデル)などを提唱した.