「電気・電子系高度技術者育成プログラム」のシラバス

第1回目 2020年10月16日(金)13:20〜14:40

講師
田島 勉(元NEC)
田島 勉(元NEC)

1985年日本電気(株)入社。以来、34年にわたり光通信システム、光伝送技術、および同システム用光トランシーバの開発に従事。現在、三和電気工業(株)光デバイス事業部事業部長。産業機器用光トランシーバの開発に従事。

講義名
講義1 光ネットワーク概論
概要
1983年に、北海道から九州まで日本列島を縦貫する光ファイバが建設され、わが国で本格的な光通信の時代が始まった。それから現在に至るまで、通信キャリア、通信機器メーカ、ケーブル・デバイスメーカにより、光通信技術・デバイスの研究開発が推し進められてきた。現在の光通信は、サービスの内容が電話(音声)からインターネット(SNS、映像・画像配信など)へと大きく変わった中で、サービス提供主体もキャリアから巨大なプラットフォーマーへと推移している。伝送容量も、1983年当時の光ファイバ1本当たり400Mbit/sから現在は30Tb/sと実に7万倍以上になっている。
本講義では、光通信システムの原理とシステム構成を説明すると共に、最先端の光通信技術動向を解説する。

目次案

  1. はじめに
    • インターネット、携帯電話の普及とトラフィックの伸び
    • 光通信の歴史
      • PDH→SDH→Ethernet→OTN
      • TDM→WDM
      • IM-DD→Coherent
  2. 光通信の原理3大要素
    • 光ファイバ
      • ファイバの種類
      • 損失と分散
    • 光送信器
      • 発光素子
      • 変調方式(直接変調、外部変調、変調器の種類)
    • 光受信器
      • 受光素子
      • 受信回路(3R、クロック抽出)
  3. 光トランシーバ
    • 標準化とMSA
    • 標準化団体(ITU、IEEE、OIF)
    • トランシーバの種類と歴史
  4. 先端光通信技術(コヒーレント光通信技術)
    • コヒーレント光通信技術とは
    • トラディショナルコヒーレント光通信
    • デジタルコヒーレント光通信
  5. むすび

第1回目 2020年10月16日(金)14:50〜16:10

講師
小熊 健史(NEC)
小熊 健史(NEC)

1993年日本電気(株)入社。以来、陸上・海底光通信システム用光デバイスの開発,および光波長多重伝送システムの開発に従事。現在、同社第一ネットワークソリューション事業部シニアエキスパート。

講義名
講義2 光デバイス
概要
光通信は、その登場から光デバイス技術の進歩と不可分であった。新しい光通信技術には新しい光デバイスが要求され、新しい光デバイスの登場は新しい光通信技術の実現を意味していた。現在ではその傾向がさらに進み、光通信システムの鍵は光デバイスが握っている。今後の光通信システムの進展は光デバイスに依存していると言える。
本講義では、最先端の光通信システムを構成する光デバイスを広く紹介し、現在の主流であるCDC-ROADMやコヒーレント光通信において光デバイスがどのように使われているかを解説する。

目次案

  1. はじめに
    • 光通信システムと光デバイス
  2. 光ネットワークを構成する高機能光デバイスと、その原理
    • 光増幅技術
      • 光ファイバアンプの基礎
      • WDMへの応用
      • ラマン増幅技術
      • 光ファイバアンプ中継技術(海洋中継)
    • 波長多重分離デバイス
      • 光フィルタ、光カプラ、光スイッチ
      • AWGの原理
      • WSSの種類と原理
    • チューナブルLD
      • 種類とその原理
  3. ROADMと光デバイス
    • OADMからROADM
    • CDC-ROADMとAll Optical Networkへの期待
  4. まとめ

第1回目 2020年10月16日(金)16:20〜17:40

講師
樋口  健一(東京理科大教授)
樋口 健一(東京理科大教授)

1994年早稲田大学理工学部卒業、2002年東北大学大学院博士後期課程修了。1994年NTT移動通信網(現NTTドコモ)入社。W-CDMA、第4世代移動通信方式、LTEの無線アクセス技術などの研究開発に従事。2007年東京理科大学理工学部講師。2016年より現職。平成22年度全国発明表彰内閣総理大臣発明賞、平成27年度同特許庁長官賞など受賞。博士(工学)、IEICEシニア会員、IEEE会員。

講義名
講義3 モバイルネットワーク
概要
モバイルネットワークは、おおよそ10年毎に技術を革新した継続的な世代更新が進み、現在は第5世代システム(5G)の導入に向けたグローバルな研究開発が進められている。本講義では、モバイルネットワークの無線系に焦点を当てて、システムを構成する基礎的知識・技術を紹介する。また、モバイルネットワークのこれまでの進化と、最新のシステムでは説明した要素技術がどのように用いられているのか、構成と特徴について説明する。
(以下章立ては変更することがあります)

目次案

  1. 電波伝搬
  2. ディジタル変復調
  3. 誤り制御
  4. 多元接続
  5. ランダムアクセス
  6. ダイバーシチ
  7. MIMOチャネルを用いた伝送
  8. 実際のシステムの構成と特徴

第2回目 2020年10月23日(金)9:30〜11:30

講師
山崎 正実(拓殖大学)
山崎 正実(拓殖大学)

1982年 慶應義塾大学工学部計測工学科卒、同年富士通入社。通信機器用システムLSI開発、パケット系光伝送装置の開発等に従事。2018年 富士通退社。現在 拓殖大学工学部助手。

講義名
講義4 開発プロセス「ものづくり全体像」
概要
ネットワークインフラを構成する様々な通信機器とそれらに対する要求事項である高可用性、高信頼性、リアルタイム性等の特徴的な事項を踏まえ、要求仕様からハード・ソフト開発、システム評価・試験に至る一連の開発プロセスを俯瞰し、開発手法、ツールについて概要を説明する。また、一連の開発プロセスを円滑に実行し、目標とする品質を確保するためのプロジェクトマネジメント、品質管理のポイントについても議論する。これらを通して、実際の開発現場全体のイメージを描け、本プログラム各講座の位置付けや関係について理解することを目指す。

目次案

  1. ネットワークと通信機器
  2. 開発プロセス概要
  3. アーキテクチャデザイン
  4. ハード開発
  5. ソフトウエア開発
  6. システム試験、評価
  7. 開発マネジメント
  8. 品質管理

第3回目 2020年11月20日(金)9:30〜11:30

講師
杉本 泰博(中央大学)
杉本 泰博(中央大学)

1973年〜1992年まで(株)東芝 半導体事業本部にて、オーデイオIC、TV IC、BiCMOS IC等の回路設計、レイアウト、テスト評価等の業務に従事。その間、技術士(電気・電子部門)および工学博士を取得。1992年~2020年3月まで中央大学教授、主にCMOSアナログ回路、高周波IC回路の研究・開発に従事。現在、中央大学名誉教授、電子情報通信学会フェロー。

講義名
講義5 ハードウェア概論(電源技術)
概要
スイッチング電源の主に回路技術を見て行くこととする。スイッチング電源のうち比較的小容量の、IC化DC-DCコンバータが対象である。プロセス技術としてはCMOS技術が中心である。次の章立てで進める形となろう。

目次案

  1. 負帰還の話(電源回路は負帰還回路である。)
  2. DC-DCコンバータの回路構成
  3. パワートランジスタ等のプロセス技術と性能への影響
  4. 電源回路設計におけるシミュレーション技術

第3回目 2020年11月20日(金)12:30〜14:30

講師
杉本 泰博(中央大学)
杉本 泰博(中央大学)

1973年〜1992年まで(株)東芝 半導体事業本部にて、オーデイオIC、TV IC、BiCMOS IC等の回路設計、レイアウト、テスト評価等の業務に従事。その間、技術士(電気・電子部門)および工学博士を取得。1992年~2020年3月まで中央大学教授、主にCMOSアナログ回路、高周波IC回路の研究・開発に従事。現在、中央大学名誉教授、電子情報通信学会フェロー。

講義名
講義6 ハードウェア概論(高周波技術)
概要
分布定数線路が使用できる範囲の、10~20 GHz位までの高周波回路技術を見て行く。IC化回路が中心である。高周波回路の設計においては、基礎理論、測定評価技術、レイアウト技術、実装技術そして回路設計技術が総合的に関与して来るので、各技術を全体の一部として把握、適用する事が重要である。次の様な章立てとなろう。

目次案

  1. 分布定数線路の理論を中心として
  2. キャリブレーション、Sパラ等測定技術
  3. レイアウト、電磁界シミュレーション、高周波回路シミュレーション
  4. 高周波回路設計

第3回目 2020年11月20日(金)15:00〜17:00

講師
佐藤  強(東芝)
佐藤 強(東芝)

1992年 (株)東芝 生産技術研究所に入社。主に実装機、実装プロセス、省材料塗布技術の研究開発に従事。
1999年~2001年 MIT客員研究員。現在、生産技術企画部 部長。博士(工学)

講義名
講義7 ハードウェア概論(実装技術)
概要
実装技術は、エレクトロニクス産業における競争優位性を生み出す源泉であり、我が国の得意分野であったが、近年、実装現場が急速に海外にシフトする中、国内の技術力の低下を感じる企業が多くみられるようになった。
また、高齢化や電力の安定供給などの社会問題を解決するため、メディカル、エネルギー、モビリティーなどの分野で、新たな製品・サービスを具現化する高度な実装技術への要求がますます高まることが予想される。
本講座では、これらの状況を踏まえ、基本的な実装技術を網羅的に概説し、実装のベースとなる基本原理や要素技術の理解を深めるとともに、実践に役立つ具体例を取り上げて解説する。

目次案

  1. 実装技術とは
  2. 半導体実装
  3. 基板実装
  4. 実装設計(電気、放熱、信頼性)

第4回目 2020年12月18日(金)13:00〜17:00

講師
亀田 勝(元富士通)
亀田 勝(元富士通)

1986年富士通(株)入社。以来、33年にわたり光通信システムを始めとする各種電装機器に搭載する半導体デバイスの論理開発に従事。、現在は、独立して各企業のISO認証コンサルや審査、又、人事考課コンサルに従事。

笠井 正男(マクニカ)
笠井 正男(マクニカ)

10年以上 FPGA 関連業務に従事。FAE として FPGA 提案、スペシャリストとして FPGA サポート、ソリューション提案を行いトレーニング業務にも従事している。

講義名
講義8 FPGA講習(オンラインにて設計実習を行う)
概要
FPGA はデバイス内の設計データを変更できる半導体 IC です。製品の市場投入までの期間の短縮を図ることができ、機器が顧客へ出荷された後も設計データの変更を行うことが可能なため様々な分野で使われています。本講義では、FPGA の概要とトレンドについて紹介し、開発を行うために必要な一連のフローについて、実習を交えながら学習します。

目次案

  1. FPGA とは
  2. FPGA の種類
  3. FPGA の設計手法
  4. FPGA のトレンド
  5. FPGA の開発環境
  6. FPGA の開発フロー
  7. インテル FPGA を使った開発実習

第5回目 2021年1月22日(金)13:00〜17:00

講師
山本 幸太郎(想隆社)
山本 幸太郎(想隆社)

1976年生まれ。大学では知能システム科学にて脳の情報処理について学ぶ。出版社勤務を経て、ITベンチャー企業の立ちあげ等にかかわり、コンテンツビジネスにIT技術と法務の両方からかかわる。2010年より想隆社代表。明治大学サービス創新研究所客員研究員。早稲田大学非常勤講師。

講義名
講義9 プログラミング言語概論
概要
情報システム開発において開発効率は大きな問題である。昨今、システム開発にかかわる者は、複数人で行うためgitなどのバージョン管理ツール、backlogなどの進行管理し易いシステムを使って開発を行うことが当たり前になった。
そのため、単に処理速度が早いというだけでなく、開発効率という点が重視され、言語のパラダイムとしてオブジェクト指向、コンパイルが必要ないライト言語と呼ばれるpython などの言語が登場した。
本講義では、手続型開発からモジュール化の必要性、大規模開発に変わっていく中でオブジェクト指向や関数型言語が出てきた背景について述べる。その中であるタスクを与えられたとき、適切な言語とは何かを自身で選択できるように、各言語の特徴を理解し、実際にインプリメントする際に適切に選択、実装できる手がかりを得られることを目標とする。ノートPC必須でハンズオンを交えながら講義する。

目次案

  1. プログラム言語の分類―プログラムの歴史から紐解く
  2. 開発スタイルの変化
  3. 手続き型言語からオブジェクト指向へ
  4. チーム開発・大規模開発
  5. バックエンドとフロントエンド
  6. オブジェクト指向
  7. ポストオブエジェクト志向?関数型言語
  8. ユースケースにみるコンピュータ言語の使い方

第6回目 2021年2月19日(金)13:00〜17:00

講師
曽根高則義(テクノメデイアラボ代表取締役兼CEO)
曽根高則義(テクノメデイアラボ代表取締役兼CEO)

早稲田大学大学院博士課程修了 博士(工学・国際情報通信学)
日本電気株式会社入社、衛星通信方式およびセキュリティの研究開発に従事した後、MIT留学候補生のまま渡米、ソフトウェア研究開発拠点を立ち上げ。その間、次世代PCSシステムの調査研究を実施し事業企画を携えて帰国。DCTS(次世代PCS)システムを考案、開発、事業化に成功(世界27か国で採用)。米国クアルコム(旧スナップトラック)社とGPS位置測位システムの推進、OMA標準DM(デバイスマネージメント)の開発を行う傍らモバイルインターネットサービス事業化のコンサルを海外モバイル通信事業者向け(アメリカ、スペイン、フランス、ロシアなど)に実施したのち現職。
早稲田大学理工学術院国際情報通信研究センター客員教授(上級研究員)、東京大学先端科学研究センター客員研究員、明治大学および横浜国立大学兼任講師、日本学術振興会先端的研究専門委員、電子情報通信学会ICTS研究専門員会委員長、電気学会スマートグリッド系技術調査専門委員などを兼務。
電気科学技術奨励賞、電子情報通信学会ソサイエティ功績賞・顕彰状、ZD特別論文賞、パーフェクトデザイン賞など多数受賞。

講義名
講義10 開発検証・品質保証 理論と実際
概要
改めて品質とは何かを見つめなおし、ハードウェアおよびそれを支えるソフトウェアの開発手法を整理するとともに、とくにアジャイル開発における品質保証を如何に実現していくかを学ぶ。また品質保証の観点から,発生し得る様々なリスクを想定し、実習を通して現実のリスクを体験する。これにより、リスクマネジメントの重要性を理解し,「良い品質」のものづくりについて学習する。

目次案

  1. アジャイル開発における顧客価値
  2. 品質(クオリティ)の定義
  3. ソフトウェア開発手法の歴史
  4. ソフトウェア開発と品質保証
  5. 自動テストへのアプローチ
  6. アジャイル時代の品質保証