英文モノグラフ出版を募集します

 電子情報通信学会企画戦略室PoC「新たな出版物の創設」では、会員の数年を要した研究をまとめた英文モノグラフの試行的な出版を進めています。Springer Open Access Book(400頁まで)として、2022年度、2023年度に4冊の出版を計画していますので、皆様の提案を募集します。


提案元

ソサイエティ、グループ、あるいは研究専門委員会 (共同提案も可)

提案先

企画戦略室PoC「新たな出版物の創設」monograph-office

提案内容

提案に以下の各項を含めてください。
  1. 編集委員長(共同委員長も可): 分野を代表する研究者としてください。
  2. 編集委員会: 提案元を中心とした構成としてください。
  3. Book Title(英文): 分野を絞ったタイトルとしてください。
  4. Chapters (Author, Title): 各章がモノグラフとなります。全体を6~8章とし、招待論文、公募論文で構成ください。
  5. 脱稿時期: 全章の最終原稿が揃う年月を記載してください。
  6. 出版費用: 1冊200万円です。どのように費用を負担するかを記載ください(案で結構です)。

提案締切

2022年7月末、10月末、2023年1月末の3回の締め切りを設けます。但し、4冊の出版が確定した段階で募集を終了します。応募多数の場合にはご希望に添えないことがあります。素案で結構ですのでお早めに提案をお寄せください。

提案要件

  1. モノグラフは、著者自身が主導的に関わった互いに関連する出版済み論文(雑誌論文・国際会議)の内容を、一連の内容として単著で要約・集積したもので、数年にわたる研究活動の背景、理念、技術的思想等を紹介したものである必要があります。
  2. モノグラフはCC BY-NC-NDで出版されます。各章はこの要件を満たす必要があります。出版済み論文の著作権に抵触しないよう注意してください。
  3. 編集委員長、編集委員会、著者は電子情報通信学会の会員であることが必要です。

 なお、出版のプロセスや費用負担の詳細は、提案元とPoC「新たな出版物の創設」メンバーとの調整によって詰めていきます。
PoC「新たな出版物の創設」メンバー: 石田 亨、笠原 正治、髙村 誠之、柏野 邦夫、佐波 孝彦

出版募集の背景

 企画戦略室では、PoC(Proof of Concept)「新たな出版物の創設」では、会員の優れた活動を解説し、国内外に発信する出版物の新設に向けた試行を進めています。会員の優れた活動には、専門知識をまとめた解説、数年を要した研究をまとめたモノグラフ、企業や大学の研究開発プロジェクトの解説などが考えられます。今回、募集する英文モノグラフ出版はその第一歩です。

 最近は若手教員や研究者は、自ら研究費を獲得し、博士学生を育てなければなりません。その結果、多数の国際会議論文やジャーナル論文が出版されるのですが、大半は連名で、代表的論文ですら学生が主著者であったりします。短期的にはそうした出版戦略も功を奏するかもしれませんが、長期的には、例えば国際的な連携の中心人物になるためには、本人の研究を代表する著作が必要です。しかし研究成果は既にあちこちに発表済ですので、原著論文は書けません。モノグラフであれば、自らが構想し推進した研究を総括し、単名で出版することができます。

 モノグラフは大学における研究室運営や求職活動にも効果があります。大学の人事では、論文リストと数編の代表的論文の提出が求められることが多いと思います。しかし、様々な論文を含むリストと連名論文数件から、その方の研究を理解することは難しいです。留学生の獲得にもモノグラフは有効です。留学生にモノグラフを示すことによって、研究室とのマッチングの精度を上げることができます。

 モノグラフは欧州におけるHabilitation Thesisに相当します。博士論文は指導教員の助力を得てまとめますが、Habilitation Thesisは独立して主導した数年をかけた研究成果をまとめたものです。各章の内容は査読付き論文として公開されているものでなければなりません。従って、原著論文とは異なる査読プロセスが可能となります。まず、要旨、章立て、各章に対応する査読付き公開論文を提出し、審査をパスした後に本論文の執筆にとりかかるというプロセスが考えられます。

 今回のモノグラフ出版は試行という位置づけですので、多様な提案を受け付けます。ソサイエティの代表的研究をまとめる場合、研究専門委員会の節目で研究成果をまとめる場合、複数の研究専門委員会が合同で横断的な研究成果をまとめる場合などが考えられます。それぞれの目的に照らして、招待論文、推薦論文、公募論文などの構成や、費用負担の方法も違ってよいと思います。

 企業や大学で研究開発プロジェクトを主導した方々も、プロジェクトの解説を出版する意欲は強いと思います。論文ではプロジェクトの全体像を描くことはできず、また、得られた知見は一般化を求められます。解説であれば、特殊な条件下での苦労した経験を記述することができます。社会的評価を受けたプロジェクトの記録を残すことは、中心的に関わった方々にとっても社会にとっても意義あることと思います。英文モノグラフ出版の次の課題として、PoC「新たな出版物の創設」で取り組んでいきます。