2004年ソサイエティ大会

チュートリアル講演「最新アンテナ解析技術」

  • 日時: 2004年9月23日(木)13:00~16:30
  • 場所: 徳島大学・総合科学部共通教育C館C204講義室
  • 発表件数: 5件(全て招待講演)
  • 参加者: 130名程度
提案趣旨

携帯電話をはじめとする無線通信の爆発的な普及に伴い,製品開発や電磁環境の問題解決の手段としてアンテナ解析の重要性が認識されている.また,最近では企業や大学において電磁界シミュレータが広範に導入されており,解析理論やアンテナに関する基礎知識の充実が必要とされている.アンテナ・伝播研究専門委員会では,過去に電磁界解析のチュートリアル等を行っているが,1998年の総合大会を最後に5年以上経過しているため,最新のアンテナ解析理論からシミュレータを使った実践までを,学生および若手研究者をターゲットとして,各分野の代表的な研究者により解りやすく講演をしていただく.なお,本企画はエレクトロニクスソサイエティマイクロ波シミュレータ研究専門委員会と共催にて行う.

開催報告

大学院学生,若手研究者を対象とし,アンテナ解析をこれから始める人たちに,最低限知っておいてもらいたいこと,押さえるべきポイント,注意点などアンテナ分野の研究の上で参考となるようなチュートリアル講演を目指しました.具体的なテーマとして,電磁界解析手法の比較、最近よく使われているFDTD法の基礎・アンテナへの応用、電磁界シミュレーターの比較・応用事例、伝搬を含めたアンテナ解析・測定技術について取り上げ,下記のように,各技術分野の第一人者の方に最新の技術動向や今後の研究課題等について講演をしていただきました.その結果,会場が満席になるほど盛況な講演会となり,熱心な議論が展開されました.アンテナ伝搬分野に関わる若手研究者への基礎知識の充実に寄与するという目的は十分達成されたと思います.

講演内容および講演者
  1. アンテナの基礎解析手法  宇野 亨(東京農工大)
  2. FDTD法によるアンテナ解析の基礎  ○新井宏之(横浜国大)・道下尚文(防衛大)・藤森和博(岡山大)
  3. 電磁界シミュレータによるアンテナの規範問題の解析  田口光雄(長崎大)
  4. 電磁界シミュレータを用いた携帯端末用アンテナの解析-給電部の取り扱いと解析結果の比較-  ○森下 久・林田章吾・河野芳美・佐々木大介(防衛大)
  5. 伝搬および人体の影響を考慮したアンテナの解析・測定技術  小川晃一(松下電器)

2004年総合大会

シンポジウム講演「MIMOシステムにおけるアンテナ・伝搬の諸技術」

  • 日時: 2004年3月23日(火)9:00~12:05
  • 場所: 東京工業大学・西3号館 W331講義室
  • 発表件数: 7件(一般講演7件)
  • 参加者: 70名程度
提案趣旨

近年の通信のブロードバンド化に伴い、無線通信システムにも伝送速度の高速化が要求されています。一方で無線通信に用いられている周波数資源は様々な用途で用いているため、周波数の効率的な利用が重要となります。限られた周波数帯域で伝送速度を高速化する伝送方法として、近年MIMOシステムが注目されております。特にMIMOシステム実現の上では、アンテナ・伝搬技術がキー技術となっています。本シンポジウム講演では、MIMOシステム実現のための最新のアンテナ・伝搬技術の発表およびディスカッションを行います.聴講・議論に参加していただいた研究者・技術者の方々が,MIMOシステム実現に向けた技術開発に大きく貢献し、日本発の技術を創出できることを期待し提案するものです.

開催報告

MIMOシステムにおけるアンテナ・伝搬の最近の諸技術に関する論文を公募し,指向性,偏波特性,無給電素子を装荷した場合など種々の観点からのMIMOシステムの提案・解析をはじめ,最新のチャネル推定法の提案,種々の伝搬環境における伝送容量の解析,および,試作システムによるMIMO伝送実験などの最新の研究成果が発表されました.70名を越える多くの方に参加していただき,熱心な議論が展開されました.その目的が十分達成されたと思います.

オーガナイズドセッション「アナログスマートアンテナ」

  • 主催:電子情報通信学会
  • 企画:通信ソサイエティ
  • 立案:アンテナ伝播研究専門委員会
  • 専門委員長:唐沢好男(電気通信大学)
  • 種別:オーガナイズドセッション 
  • セッション題名:「アナログスマートアンテナ」
  • 日程:平成16年3月24日および25日
  • 場所:東京工業大学大岡山キャンパス
  • 原稿枚数:一般セッションと同じ
  • 講演時間:一般セッションと同じ
  • 発表言語:日本語または英語
  • 技術分野(キーワード):B-1C
     アナログフェーズドアレー,RFビーム形成,パラサイト素子,RFスイッチ,バラクタ,可変移相,
     適応制御アルゴリズム,素子間電磁界結合,RFダイバシティ,方向推定,位置探知,空間相関,
     その他アナログスマート機能に関する発表
実施結果概要

従来の2分類アンテナ伝播A(伝播)とアンテナ伝播B(アンテナ)に加えて,今回の大会より新たな分類「アンテナ伝 播C(信号処理)」が新設された.今回分類Cには78件が投稿された.そのうち「アナログスマート」に関する発表が 41件に達した.すなわち,信号処理としてアナログ系の件数がデジタル系を上回ったこととなる(アンテナ伝搬Cの 過半数).アナログ信号処理アンテナという分野が新しい技術トレンドとして芽生えてきたといえる.

通常このようなセッションを企画した場合は5~6件が発表件数の目安であるが,本セッションは論文件数41件のス ーパーセッションとなった.1日では収容できないため,1日+半日の構成とした.

  3/24(水)午前=12件 可変アンテナ,測定法など
  3/24(水)午後=17件 ダイバシティ,干渉抑圧など
  3/25(木)午前=12件 方向推定,フェージング利用技術など

さらに,他の分野(RCSやMW)にもアナログアレー関連の投稿も予想されたが,幹事団とも相談の上,今回は他の部門からの移し替えは実施しないこととした.

本セッションへ投稿して下さった方々へはISAP04ならびに関連論文誌特集号への拡張投稿も依頼した.