報告
News letter No.192(2024年1月)

「PIERS 2023 Prague開催報告」

(PIERS国内委員会 委員長)小林 一哉(中央大学)/(PIERS国内委員会 幹事補佐)長坂 崇史(足利大学)

(PIERS国内委員会 委員長)小林 一哉(中央大学)/(PIERS国内委員会 幹事補佐)長坂 崇史(足利大学)

1.はじめに
フォトニクス・電磁波工学研究に関するシンポジウム(Photonics and Electromagnetics Research Symposium: PIERS)は、米国マサチューセッツ州ケンブリッジに本部を置く電磁波工学アカデミー(The Electromagnetics Academy: TEMA)が主催する大型国際会議である。本国際会議はフォトニクス・電磁波工学とその応用・関連技術に関する最新の研究成果の発表と情報交換を行うことを目的としており、これまでに計44回開催され、参加者数・論文数・学術レベルにおいて常に成功を収めてきた。本稿の以下においては、2023年7月にチェコ・プラハで開催されたPIERS 2023 Pragueの概要を報告する。
2.PIERS 2023 Pragueの概要
PIERS 2023 Prague(第44回PIERS)は、2023年7月3日~6日にプラハコングレスセンター(Prague Congress Center)(チェコ・プラハ)で、完全対面形式で開催された。本会議から、新たな分野としてSC6(量子科学・工学)のセッションが追加された。PIERS 2023 Pragueの開催規模を表1にまとめる。また、オーラルセッションとポスターセッションの様子を各々、図1、2に示す。PIERS 2023 Pragueでは、54の国・地域から1059名の参加があった。

図1 オーラルセッションの様子
図2 ポスターセッションの様子

3.PIERS 2023 Pragueの参加登録者数
参加登録者数の国・地域別内訳(上位20の国・地域)を図3に示す。参加登録者数は中国が最も多く419名(第1位)で、日本の参加登録者数は中国、イタリア、米国、ドイツに次いで第5位56名であった。

図3 参加登録者数の国・地域別内訳

4.PIERS 2023 Prague学術賞
PIERS 2023 Pragueでは、若手研究者プログラムと上級研究者プログラムが実施され、その受賞者が2023年7月5日のバンケットにて表彰された。
若手研究者プログラムでは、フォトニクス・電磁波工学研究の将来を担う優秀な若手研究者を発掘することを目的として、以下2つのプログラムが実施された。
・最優秀学生論文賞(BSPA)
・若手研究者学術賞(YSA)
BSPAでは、論文を5分野(SC1&6、SC2、SC3、SC4、SC5)に分類し、各分野につき受賞者(Prize Winner)3名(1位、2位、3位)及び奨励賞(Honorable Mention)1~2名を選考し、合計で24名が表彰された。図4はBSPA-SC1の受賞者を示す。

図4 BSPA-SC1受賞者

YSAでは、40歳未満の若手研究者による応募論文をBSPAと同じ5分野に分類し、合計で16名が受賞し、表彰された。BSPA・YSAの応募件数を表2に示す。

年齢が40歳以上の研究者を対象とする以下2つの上級研究者プログラムも併せて実施された。
・最優秀セッションオーガナイザ賞(BSOA)
・セッションオーガナイザ賞(SOA)
BSOAでは、企画された全てのセッションの中から特に顕著な寄与を与えた5セッションが選ばれ、オーガナイザが表彰された。SOAでは企画された全てのセッションの中から優れた寄与を与えた10セッションが選ばれ、オーガナイザが表彰された。

5.PIERSビジネスランチミーティング
PIERSビジネスランチミーティングが2023年7月4日に開催され、PIERSの今後の開催計画が主催者から報告された。図5はビジネスミーティングの様子である。会議では、2024年4月21日~25日に中国・成都で次回(第45回)開催予定のPIERS 2024 Chengdu実行委員会から、その開催計画が紹介された。続く第46回PIERS(PIERS 2025 Chiba)は2025年11月4日~9日に千葉・幕張メッセにて開催予定であり、PIERS国内委員会から開催計画・準備状況を報告した。なお、PIERS 2025 Chibaの開催概要は、ちば国際コンベンションビューローのサイトhttps://www.ccb.or.jp/mice/news/piers2025/
に掲載されている。更に、2026年5月12日~15日に中国・蘇州で第47回PIERSとして開催予定のPIERS 2026 Suzhouの実行委員会からも開催概要が報告された。

図5 PIERSビジネスランチミーティング

著者略歴:

 小林 一哉:1982年早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了(工学博士)、同年中央大学理工学部専任講師、1985年同助教授、1995年同教授、現在に至る。国際電波科学連合(URSI)副会長・副事務局長、PIERS学術賞選考委員会委員長、日本学術会議第22~25期連携会員、PIERS国内委員会委員長、URSIフェロー、電磁波工学アカデミーフェロー。URSI会長賞(2020年)、国際会議MMET*2016でM. A. Khizhnyak業績賞(2016年)を受賞。
 長坂 崇史:2018年中央大学大学院理工学研究科博士課程修了(工学博士)、同年中央大学助教、2023年足利大学工学部講師、現在に至る。国際会議PIERS 2019 Xiamenにて若手研究者学術賞(2019年)を受賞、国際会議URSI GASS 2017にて学生論文コンテスト第3位及び若手研究者学術賞を受賞(2017年)、国際会議MMET*2016で若手研究者論文コンテスト奨励賞(2016年)を受賞。

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