寄稿
News letter No.192(2024年1月)
学生奨励賞受賞記

「高速波長可変レーザとアレー導波路回折格子を用いたテラヘルツパルス波発生」

(九州大学) / 桝冨 直人

桝冨 直人

 この度はエレクトロニクスソサイエティ学生奨励賞という名誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。ご推薦して頂いたエレクトロニクスソサイエティ関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。

 今回受賞対象となりました研究は、私たちの研究室で提案している単一光源によるテラヘルツパルス波生成法におけるパルス波の形状改善を図るものです。将来の大容量無線通信の無線キャリアとしてテラヘルツ帯の利用に注目が集まっています。テラヘルツ波を生成する手法のうち、フォトミキシング技術は周波数可変性、位相制御性に優れた技術です。その一方で従来手法では二つのレーザを用いて構成されるため、将来の実用化に向けてシステム規模や消費電力の削減の余地が十分にあります。そこでこれまで私たちは波長可変レーザを用いて一つのレーザからテラヘルツ波を生成する手法を考案・実証し、さらにパルス状のテラヘルツ波の生成を確認してきました。しかし波長可変レーザの波長切替過程において目的外の光周波数の光波が出力されることがあり、その結果、生成されるパルス波の形状に歪みが生じていました。今回の発表では本手法によるパルス波の形状改善のために、新たにアレー導波路回折格子を導入してテラヘルツパルス波の生成実験を行い、歪みを解消したパルス波の生成を確認した結果を報告致しました。

今回の受賞を励みに、より一層の精進を重ねていく所存です。終わりになりますが、本研究を進めるにあたりご指導賜りました九州大学の加藤和利教授、ならびに共同研究機関の関係者の皆様、研究室メンバにこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

著者略歴:

2023年九州大学工学部電気情報工学科卒業、同年より同大学院システム情報科学府電気電子工学専攻在籍。波長可変レーザを用いたテラヘルツ波生成に関する研究に従事。

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