この度は、名誉あるエレクトロニクスソサイエティ学生奨励賞をいただき、誠に光栄に存じます。ご推薦していただきましたエレクトロニクスソサイエティ関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。
本研究を進めるにあたりご指導頂いた奈良先端科学技術大学院大学の太田淳教授、笹川清隆准教授をはじめとする光機能素子科学研究室の先生方、情報通信研究機構の水野麻弥様に、深く御礼申し上げます。また、研究室のメンバーとの議論を通じて研究内容をより洗練されたものとすることができました
今回受賞対象となりました研究は、電気光学効果を用いてミリ波電界を高感度にイメージングするシステムの開発を行いました。我々はこれまでに、各画素上に金属配線層によるワイヤグリッド偏光子を搭載した偏光イメージセンサに一様な偏光子を重ねた二重偏光子構成とすることで、微弱な偏光変化を高感度に検出する方法を提案してきました。本手法では、イメージセンサ画素への入射光量を低減して画素飽和を回避することが可能であり、電界プローブとしてはたらく電気光学結晶への照射光量上限を大幅に増加可能となるため、高いSNRで計測が可能になります。本システムでは局部発振光を光変調器と光増幅器を組み合わせて生成することによって、十分な周波数と光強度を実現し、電界検出性能が飛躍的に改善されました。この高感度偏光イメージングシステムと電気光学結晶を組み合わせた電界撮像システムを構築し、ミリ波5Gで用いられている28 GHzにおける近傍電界のイメージングに成功しました。
今回の受賞を励みとして今後の研究活動により一層の精進を重ねてまいる所存です。
著者略歴： 2020年静岡大学工学部電気電子工学科卒業。2022年奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術専攻科修士課程修了。現在同大学院博士後期課程に在学し、光機能素子科学研究室に所属。微弱偏光検出CMOS偏光イメージセンサおよび、それを用いた電気光学効果に基づく高周波電界イメージングに関する研究に従事