寄稿
News letter No.192(2024年1月)
学生奨励賞受賞記

「5 GHz帯2×2反射型レトロディレクティブアレーの二次元再放射パターンの測定」

(東北大学) / 本間 優作

本間 優作

 この度は名誉あるエレクトロニクスソサイエティ学生奨励賞をいただき、大変光栄に存じます。ご推薦いただいたエレクトロニクスソサイエティ関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

受賞対象となりました研究について簡単にご紹介いたします。レトロディレクティブアレー(RDA)とは、任意の電波の到来方向に対し指向性を有するアレーアンテナのことで、その一種である反射型RDAは終端条件の切り替えが容易であることからRFID等のバックスキャッタ通信へ適していると考えられます。

RDAの評価としては、任意の到来方向から電波が照射された際の再放射パターンの測定が行われています。二次元RDAの場合は二次元再放射パターン測定による評価が望ましいですが、従来研究においてそのような例は報告されていませんでした。

そこで本研究では5 GHz帯2×2 RDAを試作し、二次元再放射パターンの測定を行いました。測定にはアジマス・エレベーションポジショナを用い、RDAへ電波を照射するアンテナをアジマス台に固定し、共に回転させることで照射方向を保つようにしました。またRDAを受信アレーアンテナ、位相共役回路、再送信アレーアンテナの3つに分離し、2つのアンテナを空間直交させることでRDAへの照射波とRDAからの再放射波とのアイソレーションを高めました。測定結果より、試作RDAが各次元方向それぞれに30°の範囲でレトロディレクティブ特性を示すことを確認しました。

今回の受賞を励みとして、より一層精進して参ります。最後に、本研究を進めるにあたりご指導いただきました東北大学の末松憲治教授、芝隆司特任教授、古市朋之助教をはじめとする研究関連者の皆様に心より感謝いたします。

著者略歴:

2021年東北大学工学部電気情報物理工学科卒業、2023年東北大学大学院工学研究科通信工学専攻修了、同年株式会社村田製作所入社。現在は通信モジュール開発に従事。2022年度マイクロ波研究会学生研究優秀発表賞受賞。

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