2020年6月19日に、オンライン開催にて「6Gワークショップ: 6Gへの展望と無線通信技術」を開催しました。

岡本委員長の挨拶ののち午前の部では6Gのユースケースと日本の検討プロセス・戦略に関して、午後の部では、6Gの無線通信技術等のテクノロジーについて講演いただきました。


◇ 午前の部:6Gのユースケースと日本の検討プロセス・戦略について講演いただくセッション
【座長】 中村 武宏 様(NTTドコモ)

  • 座長挨拶
    • NTTドコモ 中村 武宏様から座長挨拶を行っていただいた。
  • 五十嵐 大和 様(総務省)
    • 総務省としてのお考えをご講演いただいた。ご講演の中で、今後のセルラへの周波数割り当てや、Society5.0実現に向けBeyond 5Gを推進していく方針についてご紹介いただいた。
  • 岩浪 剛太 様(インフォシティ)
    • プラットフォーマであるGAFA等を例に挙げながら、アプリケーションの面から6Gへ期待することについてご講演いただいた。「みんなでつくる6G」というフレーズをお示しいただいた。
  • 中尾 彰宏 先生(東京大学)
    • Beyond 5Gのテストベッド環境に関する提案について紹介いただくとともに、ローカル6Gから広がる6Gの可能性についてもご講演いただいた。
  • パネル討論
    • 日本における6Gに向けた研究開発の方向性として、巨額の研究開発投資を1社で行うGAFAとは異なり、日本は日本に合ったやり方が必要であり、1社ではなく「みんなでつくる6G」を考えていく必要があるとの見解が示された。また、AIは簡単に使えるツールが普及することで裾野が広がったので、6Gもより身近に使える仕組みが必要との意見があった。
    • 会場からは、ユースケースやマーケティングの議論を促進する必要があるいうコメントがあり、そのためにも6Gのマーケットの立ち上げに、日本も積極的に早期から関わっていくことが必要であると問題提起された。さらに、6Gを加速していくためには、6Gで解決できることを明確化する必要があるとのコメントがあり、実現できるユースケースを提示する重要性について議論が行われた。

 

午前の部のパネル討論


◇ 午後の部:6Gの無線通信技術等のテクノロジーについて講演いただくセッション
【座長】 須山 聡 様(前副委員長)

  • 岸山 祥久 様(NTTドコモ)
    • 6Gにおけるユースケース、要求条件を示していただいた後、6Gの定義、NTN (Non-Terrestrial Network)、周波数拡張、AIの利用についてもお話しいただいた。
  • 大神 正史 様(NEC)
    • 2030年におけるユースケース、無線ネットワーク像を示していただいた後、100 GHz以上のミリ波用デバイス開発、OAM (Orbital Angular Momentum)の開発、上りリンク容量拡大等について紹介いただいた。
  • 藤岡 雅宣 様(エリクソン・ジャパン)
    • 6Gではネットワークがセンサーになることや、ゼロコスト・ゼロエネルギーデバイス、AIベースの送受信機の可能性について紹介いただいた。
  • 千葉 恒彦 様(ノキア)
    • 6Gでの要求条件を示したうえで、6Gでは物理層へのAI導入が求められることや、リアルタイムレイトレーシング、新しいウェーブフォームについて言及いただいた。
  • 西村 寿彦 先生(北海道大学)
    • RCS研究会でのこれまでの活動から今後の6Gへの展望を示していただいた後、6Gのキーテクノロジーとして、OAMとテラヘルツ帯についてご紹介いただいた。
  • 佐和橋 衛 先生(東京都市大)
    • 6Gの要求条件をご提示いただき、アクセス・バックホールの一元化、6Gでは変調と符号化の融合やML(Machine Learning)/DL(Deep Learning)の物理レイヤへの導入についてのお考えを示していただいた。
  • パネル討論
    • 6Gの主な要求条件に関する議論では、5Gに対して桁違いの超高性能を実現するだけでなく、センシングや超低消費電力が新たに加わってくるという意見や、6Gのユースケースは多岐にわたることからNWの柔軟性が必要となってくるという意見が示された。その中で、キーテクノロジーとしては、センシングを考慮した無線フレーム構造、基地局の仮想化による柔軟性の確保、基地局へのAIの導入、リアルタイムな無線環境のサイバー空間での再現等が重要となるとの議論があった。
    • 6Gでターゲットとなる周波数帯については、テラヘルツ等に高周波数化していく一方で、実用化を意識すると低い周波数帯での5Gに対する性能向上も重要であることが議論された。さらに、6Gの普及には低コスト化が重要であり、テラヘルツの無線装置をいかに安く作れるか、専用のASICではなく汎用CPU/GPUを活用するといった意見が示された。

 

午後の部のパネル討論


午前の部、午後の部を通して、多くの皆様にご参加いただき、大変有意義なワークショップになりました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

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