ICDについて

委員長ご挨拶 -集積回路技術の転換点をリードする-

集積回路研究専門委員会 委員長

日高 秀人(ルネサスエレクトロニクス)

今年度、集積回路研究専門委員会(ICD)の委員長を拝命しました日高秀人(ひだかひでと)です。1980年代以来、集積回路技術開発分野に30年ほど身を置いた立場から見ると隔世の感のある、Moore則の終焉やMore-than-Moore、3次元集積化製品の登場など、集積回路研究コミュニティは時代の大転換を経験し、その先の時代への模索と試行が懸命に行われています。微細化によるスケーリングメリットに頼る単純発展から、応用開拓とそれに合わせた集積回路の展開へというテーマ転換が重要になってきました。

歴史上は、集積回路の大きな応用分野が従来のComputation(計算機)、Communication(通信)から、これらを維持しつつMobility、IoTなどへ拡大し、いわゆるクラウドからエッジに至るまで目覚ましい進歩・展開が進行中であり、Society 5.0など未来社会の現実化への取組みが盛んです。これらの中で、新たなシステム集積化課題を、単に回路・システム技術のみでとらえずに、実装・応用などの関連技術や技術標準化・社会実装など広汎な観点でとらえることが肝要と認識し、集積回路研専はこれらを触発する触媒として役立つことを目指す所存です。

一例として、近年、産業としての重要度が再び増してきた組込みシステムを取っても、現在の大きな課題は、CPS(センサ・アクチュエータと多重フィードバック)、セキュリティの実装、ビッグデータ・AIの活用など、従来技術の延長では測れない新技術の確立と実装・活用が大きなテーマとなってきました。また、自動車などで顕著な安全制御系と情報系の融合・相互作用や電力系と制御系の融合などが、現実の社会・産業課題解決策になってきたと言えます。組込み系技術ロードマップによる技術開発のドライブが必要な所以でもあります。

このような背景の下、集積回路研究専門委員会(1987年設立)は、カバー領域の再定義や他研専との連携構図の明確化、および特に若手・学生の取り組み奨励などを、第1種・第2種研究会の構成変化・内容充実により明示的に先導する意図を込めて年間計画化しています。今年度は、4回の1種研(アナログ/RF/メモリ/マイクロ波/低電圧設計など)に加えて、自主・自律を特長とする2種研を5回開催しています。システムとLSIワークショップ(2種研)では、2016年には開催地を東京に移したことや企業への配信などが奏功して、対前年度比で参加者人数の2.3倍増を実現しました。これは他分野連携の場としてますます活用します。一方、アナログ&RF回路技術の伝承として若手教育と活動奨励(失敗談の共有など)に注力しています。また、アクセラレーション研究会では、スーパーコンピュータ分野で産学官連携の触媒としての成果が見えています。

今後、セキュリティやAI関係での他研専との連携や、専門分野OBによる若手キャリアアップ、技術経営へのアプローチなど、時代背景を見据えた新趣向を打ち出す所存ですので、一層の御参加、お引き立てをお願い致します。