システム開発論文とは

和文論文誌編集委員会

1. はじめに

本学会の情報・システムソサイエティは、情報学、情報通信工学の基礎理論から応用、システムの設計、評価を、その研究対象とする研究者の最新情報交換の場として和文論文誌を発行している。論文誌は、最新の研究開発成果をまとめて投稿された論文が査読を経て掲載されている。投稿掲載される論文の一種別に「システム開発論文」がある。

2. システム開発論文

ソフトウェア・ハードウェアを問わず、企業において開発され、製品化されたシステム、製品化前のパイロットシステム、展示用のデモシステム、コンセプトシステム、及び大学・官公庁研究機関において行われたシステム開発に関する成果をまとめた論文を、「システム開発論文」という。

製品化前のパイロットシステム、展示用のデモシステム、コンセプトシステムなどの形で、展示会パンフレット、会社機関紙などを通じて、部分的に公知となったシステムであっても、本会の投稿規定に従って、改めて学術論文としてその開発内容をまとめた論文は「システム開発論文」として受け付ける。

3. システム開発論文の査読規準

システム開発論文は、一般論文と採録基準を別にして査読する。システム開発論文では、

  1. システムの新規性(性能・機能の新規性、構成の新規性、開発手法の新規性など)
  2. システムの有効性
  3. 論文の信頼性
  4. 論文の了解性 が査読の対象となる。システムを構成する個々の理論、手法が公知のものであっても、それらの新たな組合せにより新たなシステムが構築されたことを評価する。また、同様の機能を持つ既存システムが存在する場合でも、当該システムとの性能比較が、(カタログ、マニュアルを参照するなどにより)定量的に行われている必要はなく、既存システムとの相違点が論文中に明示されていれば良い。(詳細は「投稿のしおり」5。1項参照)。

4. おわりに

実用システムを構築し、社会に貢献することは、情報・システム研究の最も重要な目的の一つである。また、システムの開発に関する理論的考察と技術的実践は、人類の英知の賜物であり、後世にその成果を学術論文として残すことは、技術者の義務である。このような立場から、「システム開発論文」の掲載を通じて、科学技術の振興の一翼を担うことは本誌の務めである。