会長のあいさつ
2022年度会長

電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ 2022年度会長
情報・システムソサイエティ(以下ISS)は、情報処理システムを構成するコンピュータ・基盤ソフトウェアから応用ソフトウェア、さらには情報システムを取り巻く通信・データ・人間にわたる幅広い話題をカバーし、基盤となるアルゴリズムやアーキテクチャの検討から、応用システムの構築にまで至る分野を包含する、多様な分野を扱う、本会最大規模のソサイエティです。我々の社会は情報処理システムがあまねく行き渡り、情報技術の重要性は増す一方です。ISSでは、会員に最新研究・コミュニティ・人との出会いの場、研究発表の場を提供し、情報・システムにまつわる学問分野の発展に貢献し、会員のさらなる活躍の一助となることを目指します。特に以下に重点を置いた活動を計画しています。
(1) 論文誌
論文誌は会員の研究発表の場であると同時に最新の研究成果を知るための重要な媒体であり、引き続き質・量ともに充実に努めます。英文論文誌(ED)では、2017年1月から他ソサイエティに先がけ、過去の発行論文を含め、J-STAGEに搭載されている全論文のオープン公開を試行し、2020年1月から全論文をオープンアクセス化しています。2016年と比し2021年9月までのアクセス数は約9倍に増加しています。インパクトファクタの上昇も見られ、オープン化の効果が見え始めていると考えています。和文論文誌Dでは、その最大の特徴である丁寧で質の高い査読を継続することに加え、学生やジュニア会員からの投稿の活性化についても検討を続けてまいります。
(2) 研究会
現在、ISSには26の研専(特別研専を含む)があり、研究会を主たる場として、それぞれの技術分野に特化した、より深く専門性の高い研究発表の場、最新研究・コミュニティ・人との出会いの場を提供してきています。残念ながら新型コロナウイルスの感染拡大により研究会の開催方法も大幅な変更を余儀なくされ、当面は最適な方法の探求が続くと思われます。その一方、オンラインでの研究会開催が通例となってきていることにより、研究発表のアーカイブ化の親和性が高まることが期待されることを受け、会員にとって資料的価値の高い招待講演等のアーカイブ化について積極的に検討してまいります。
(3) 総合大会とFIT
昨年度、総合大会やFITはオンライン開催となりました。今年度もまだ予断を許さない状況ですが、旧来の実開催のみに戻ることは考え難く、オンラインもしくはハイブリッド開催となると思われます。主として学生等の発表者に従来通りの教育的効果を実現するにはまだ工夫が必要と思いますが、一方聴講する側の利便性は大いに高まっており、実際聴講参加者は増加傾向にあります。特に学生やジュニア会員には聴講は極めて容易であり、こうした聴講者を積極的に呼び込むとともに、多数の聴講者による発表者への適切な動機付けについて検討してまいります。
(4) 国際化
国際学会IAPRとの連携に加え、昨年度新たにAPSIPAとのMOU締結に至りました。今後もさらに国際学会との連携を進めると同時に、それに基づく会員に資する施策について検討してまいります。加えて、トップ国際会議等での研究動向調査や論文採択の推進等にも注力してまいります。
以上のように、ISSでは会員サービス向上に取り組んでまいります。会員の研究開発や技術開発での成功は、会員自身、ISS、本会、ひいては我が国の情報技術分野における成功につながるものと考えています。ISSは、こうした点で、会員の皆様の一助となることを目指してまいります。引き続いてのご協力・ご支援をお願い申し上げます。