会長のあいさつ

2020年度会長

佐藤 洋一 会長
佐藤 洋一
電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ 2020年度会長
東京大学 生産技術研究所 教授

 情報・システムソサイエティ(以下、ISS)は、約9,200名の会員で構成され、情報処理技術、コンピュータ・通信・人間を融合したシステム化技術に関する基礎から応用に至るまで幅広い分野を対象とし、電子情報通信学会の中で最大のソサイエティとなっています。

 ISSの役割は、会員に研究発表と交流の場を提供し、重要な社会基盤である情報技術分野の持続的な発展と情報社会における様々な課題の解決に貢献することにあります。情報技術分野を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、ISSが我が国における情報技術分野の中心的活動母体であり続けるべく、令和2年度は、以下の内容に重点を置いて活動を展開していきます。

●論文誌
 研究の学術的、実用的価値は、その成果を出来るだけ多くの人々に知ってもらうことによって初めて生まれます。他分野と比べて、情報技術分野では国際会議が重視される傾向にありますが、研究成果の集大成として論文をアーカイブする論文誌の重要性は今後も変わりません。英文誌(ED)では、より多くの質の高い論文を掲載し、国内外を問わず幅広い方々に読んで頂くために、他ソサイエティに先がけて、2017年1月より過去の発行論文を含めた全論文の無料公開を始めました。その結果、論文誌へのアクセス数が約2倍に増加しました。一方、論文誌への投稿数は微減となっているため、今後は投稿論文増加のための方策を検討していきます。また、和英両論文誌ともに編集委員、査読委員の拡充など論文誌の質向上にも取り組んでいます。

●研究会
 現在、ISSには26の研究専門委員会(研究会)があります。学術的興味を共有する研究者、技術者、学生が集い、研究の萌芽段階から応用に至るまで密な議論を交わすことができる研究会は、人的ネットワーク形成や日本発の研究の創出の原動力となっており、その活動はISSの根幹を成しています。ISSでは、研究会活動の更なる充実を目指し、研究会活動の意義や価値の最大化と効率的運営の両立に取り組んでいきます。また、2018年度から、企業との連携を深めつつ研究会の活性化を図るために導入したスポンサーシップ制度についても、研究会による特別企画等の開催支援や国際会議の主催・共催による国際化など、各学術領域の活性化への活用等を図っていきます。

●総合大会とFIT
 総合大会、FITは、裾野の広い研究発表や意見交換、さらに情報収集の場として有効です。総合大会では、ISSが企画した学生ポスターセッションに毎年200件以上の発表があり大変盛況となっています。また、ソサイエティ横断のウエルカムパーティなどの企画も実施されており、他分野の研究者、企業関係者との交流の場となっています。今年度は、学生の発表の奨励と学会への積極的な参加を促すべく、更なる選奨の充実等を進めます。FITについても、前回に引き続き、発表者を含めた参加者のメリットに焦点を当てた「効率・視野・若手」の基本コンセプトを軸に、更なる内容の充実と広報活動に努め、集会としての価値を高めていきます。

●ソサイエティ誌
 ソサイエティ誌は、ISSの広報誌としての役割を担っています。学会誌では取り扱えないような、研究会の発表者、参加者、さらに運営側の幹事団など、対象を限定することで初めて企画できる、より深く、より役に立つ情報を提供する記事など更なる内容の充実を図ります。今年度は通巻100号に合わせた特別企画も検討されています。

 以上のように、ISSでは会員サービスの向上を目指した様々な取り組みを進めています。ISSの活動を通じて素晴らしい成果を発表し、多くの会員にお伝えいただければと思います。また、運営へのご意見があれば、ぜひお寄せください。