会長のあいさつ

2019年度会長

前田 英作 会長
前田 英作
電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ 2019年度会長
東京電機大学 システムデザイン工学部 教授

 情報・システムソサイエティ(以下、ISS)は、情報処理に関わる技術についてその基礎から応用に至るまで幅広い分野を対象としています。ISSには現在約10,000名の会員がおり、約2万6千人の電子情報通信学会の中で最大のソサイエティです。
  本ソサイエティの役割は、会員に研究発表と交流の場を提供し、重要な社会基盤である情報技術分野の持続的な発展と情報社会における様々な課題の解決に貢献することにあります。学術研究を取り巻く社会環境や情報技術の位置づけが大きく変化している中で、本学術分野におけるISS会員の活動を持続的に支援するための組織として、その役割を果たしていきます。2019年度は、以下の内容に重点を置いて活動を展開します。

(1)英文誌のオープンアクセスジャーナル化と論文誌の価値向上
 論文は学術研究の最終成果であり、その内容をできるだけ多くの人々に知ってもらうことによって研究成果の価値が生まれます。したがって、良質の投稿論文を多く集め、適切な査読を経た上で、多くの人に読んでもらえる論文誌であるべきです。英文誌(ED)は、2020年1月より完全なオープンアクセスジャーナルとして生まれ変わることになりました。既に、2017年1月より他ソサイエティに先がけて、過去の発行論文を含めた全論文のオープン公開を始めています。その結果、論文データベースへのアクセス数が大幅に増加するとともに、impact factorとh-index も向上しつつあります。オープンアクセスの維持のためには投稿数の増加が必須であり、そのための方策を検討しています。

(2)技報の完全電子化と研究会の活性化
 2018年度から技報の完全電子化と参加費有料化を実施しました。それに伴い、資料を電子的にダウンロードできるようになるとともに、学会全体の全研究会パッケージの年間登録も安価に利用できるようになりました。さらに、ISS分野においては、基盤的学問の追究と産業応用との連携が従来にも増して重要になっています。そこで、企業との連携を深めつつ研究会の活性化を図るための施策として、スポンサーシップ制度を導入しました。研究会における特別企画等のイベント、国際会議の主催・共催による国際化など各学術領域の活性化のために是非活用ください。

(3)分野間交流と若手育成の場としての総合大会,FIT
 毎年3月開催の総合大会、9月開催のFITは広い情報分野の研究者での意見交換や学生の研究発表の場として有効です。2018年の総合大会、FITでも400件を越える発表がありました。総合大会の学生ポスターセッションは盛況で、このセッションだけで、毎年200件以上の発表があります。また、ソサエティ横断のウエルカムパーティなどの交流の企画も実施されており、他分野の研究者、企業関係者との情報交換の場となっています。

(4)身近な情報誌としてのISSソサイエティ誌
 ISSがカバーする学術分野は非常に広い裾野をもち、現在26の研究専門員会が活動をしています。こうした中で、ソサイエティ誌は、ISS全体の活動を多くの会員に知ってもらうための身近な情報誌としての役割を果たしています。現在のものを継続・充実しながら、より時代に即した形態を模索していきます。

 以上のように、ISSでは会員サービスの向上を目指した様々な取り組みを進めています。ISSの運営方針や具体的施策については、会長、次期会長、各副会長4名、幹事8名、和文論文誌・英文論文誌・ソサイエティ誌の各編集委員長で構成する運営幹事会とそれに研究専門委員会委員長を加えた拡大運営委員会とにおいて議論した上で決めています。2019年度より技術会議担当幹事を2名増員して4名とし、ISSの多様な活動に十分な対応ができるよう体制を強化しました。
 ISSの活動を通じて素晴らしい成果を発表し、多くの会員にお伝えいただければと思います。また、運営へのご意見があれば、ぜひお寄せください。