会長のあいさつ

2017年度会長

中村 裕一 会長
中村 裕一
電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ 2017年度会長
京都大学 学術情報メディアセンター 教授

 情報・システムソサイエティ(ISS)は、コンピュータによる情報処理技術、コンピュータ・通信・人間を融合したシステム化技術に関する基礎から応用までの分野を研究領域としています。会員に研究発表と交流の場を提供するとともに、情報技術分野の持続的な発展に貢献しています。ISSが同研究分野の日本での中心的活動母体であり続けるだけでなく、情報社会の健全な発展に貢献していくために、内容を随時見直しながら活動を行っています。平成29年度は、中長期計画に従って、以下の諸点に重点を置いて活動を展開していきます。

(1) 研究資料の公表方法支援策

○新しい時代に相応しい論文誌の検討
 英文論文誌では、平成29年1月より他ソサイエティに先がけて、過去の発行論文を含めた全論文のオープン公開を始めました。この結果は全ソサイエティで共有し、学会全体でより効果的な研究成果公開の在り方について検討していきます。また、論文査読の質向上と海外会員の増加を目的として、海外研究機関に所属する編集委員の増強を進めます。和文論文誌では、査読の質向上および査読委員データベースの充実を目指し、編集委員による査読委員評価の試行を継続します。

○研究会のあり方と活性化
 技報への掲載が既発表とみなされる場合があることから、Extended Abstract相当の原稿だけで発表できる、ショートペーパー論文を一部の研究会で始めました。発表件数の増加につながっており、今後も継続します。一方で、技報の電子化を、通信ソサイエティの試行・実施に追従する形で、平成29年から開始します。活動の見える化のため、過去の研究会開催件数と投稿件数などをWebに掲載しました。今後も引き続き見える化を実施する予定です。さらに、研究会登録費の代わりに研究会参加費を負担してもらう形で研究会相互の情報交流の促進、参加の柔軟性を高めることを検討していく等、研究会の実施・運営方法についても検討を進めます。

○総合大会、FITの位置づけと活性化
 FITの体制の大胆な改革を行っているところです。平成28年に組織改革、査読付き論文の廃止と賞候補論文の新設などの改革を行い、平成29年はその実施の年に当たります。総合大会の学生ポスターセッションは盛況で、優秀ポスター賞も、より客観的な選定になるよう工夫を重ねてきています。引き続き取り組みを継続します。

○ソサイエティ誌の活性化
 ソサイエティ誌では、これまで進めてきたソサイエティ会員向けのソサイエティ内外の活動紹介に加え、ソサイエティの活動をJ-Stage を通してソサイエティ外へ発信する記事も充実させます。また、100周年を記念する記事等を企画し、ソサイエティの更なる活性化を図ります。

○I-Scoverへの対応
 引き続き、原稿や資料の電子化を進めるとともに、費用対効果を精査しながら貢献をはかっていきます。

(2) 社会的課題に対する情報発信
 技術者集団として政府の行うパブコメに積極的に意見を述べるだけでなく、社会課題に対する意見を公表する仕組みを作ってゆきます。

(3) 会員サービスの充実
 日本語・英語Webページの更改を継続することにより、会員への情報発信を強化し、会員サービス増強の努力を続けます。コミュニケーション委員会と連携して、ホームページ作成の外注や、その更新体制の効率化と強化も検討します。

(4) ISS の運営体制の強化
 運営幹事会の定期的開催により、各活動に対するグローバルな議論や、その費用対効果などの検討を行い、ISSの運営の強化を図っていきます。

情報・システムソサイエティ(ISS)では、以上のような活動を積極的に進めていきますので、会員の皆様のご協力とご理解を、宜しくお願いいたします。