会長のあいさつ

2015年度会長

美濃 導彦 会長
美濃 導彦
電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ 2015年度会長
京都大学 CIO・情報環境機構長・学術情報メディアセンター教授 工学博士

 情報・システムソサイエティ(ISS)は、コンピュータによる情報処理技術、コンピュータ・通信・人間を融合したシステム化技術に関する基礎から応用までの分野を研究領域とし、重要な社会基盤となった情報技術分野の持続的な発展に貢献しています。ISSの最も重要な役割は、会員に研究発表と交流の場を提供することであり、平成27年度は、この原点に立ち返って下記のような活動をしていきます。

(1)研究プロセスに応じた研究資料の公表方法検討
 研究情報が電子化され、世界規模で流通する環境が急速に発展してきた状況で、日本語と英語の二重投稿の問題や研究会資料の公表による既発表化等、様々な問題が顕在化しています。国内においても、グローバル化というキーワードのもとで、研究業績が英語論文のサイテーションを中心に評価される環境になってきました。このような環境の変化にもかかわらず、ISSでは英文論文誌と和文論文誌、研究会資料、総合大会とFITの予稿集などが歴史的経緯から存在し、論文の投稿数や研究会、大会の参加者が減少している状況です.英語で論文を発表しサイテーションを上げていきたい研究者の要求と新しい技術情報を得たい研究者、双方の要求にどう答えるかという視点から、ISS活動の研究資料の言語、電子化と公表範囲を議論し、研究者の研究プロセスに応じた体制に見直してゆく方策を検討していきます。

○論文誌の位置づけと質の向上、オープンジャーナル化の検討
 論文は研究の最終成果ですので、できるだけ多くの研究者に読んでもらう必要があります。電子化を前提としたときにオープンジャーナルとするのがいいのか、どうすれば論文の質があげられるのかを検討してゆきます。

○研究会の位置づけと活性化
 研究会は研究活動の中心であり、研究会での議論が研究の質を向上させるという観点が重要です。議論のための予稿をどうするのか、言語の問題をどうするのかなどの検討を行っていきます。

○総合大会、FITの位置づけと活性化
 総合大会、FITは研究の初期の段階において、他分野の研究者との議論の場、学生の教育の場などに利用されています。このような場は研究プロセスにおいてどう位置付けるのかの議論を行っていきます。

○ソサイエティ誌やWEBの位置づけと活性化
 ソサイエティ誌やWEBは会員間の情報共有の場であります。ソサイエティの他分野の研究動向を効率的に知ることができる仕組みについて議論をしてゆきます。

(2)社会的課題に対する情報発信
 ISSの技術分野は、社会における制度や課題の解決に対応できる能力を持った分野です。この分野の技術者集団として、政府の行うパブリックコメントに積極的に意見を述べていくだけでなく、社会課題に対する意見を公表する仕組みを作っていきます。

(3)会員サービスの充実
 平成24年度から着手している日本語・英語Webページの更改を継続することにより、ISSの活動を一般会員へわかりやすく情報発信することや、グローバル会員への英語による情報発信を強化し、会員サービスを強化するよう努力してゆきます。

(4)ISSの運営体制の強化
 運営幹事会で研究会活動に対する横串的でグローバルな議論や、ISS研究領域全体の将来像などの検討を行います。今後は、電子会議を積極的に活用して、各委員が少ない負担で議論に参加できる体制を強化します。

情報・システムソサイエティ(ISS)では、以上のような活動を積極的に進めていきますので、会員の皆様のご協力とご理解を、宜しくお願いいたします。