会長のあいさつ

2012年度会長

萩田 紀博 会長
萩田 紀博
電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ 2012年度会長
名古屋大学大学院・情報科学研究科・教授 工学博士

 情報・システムソサイエティ(以下、ISSと略す)は、コンピュータによる情報処理・システムを中心とし、通信・人間とも融合した学術分野に関する専門家集団である。本ソサイエティの役割は、会員に研究発表と交流の場を提供するとともに、社会と技術分野の持続的な発展や我が国が抱える社会問題の解決にも貢献することである。融合学術分野の特徴を活かして、技術分野に重なりのある関係学会とも連携した研究集会を企画・運営している。平成24年度は、情報・システム研究における日本での中心的活動母体となるように、中長期的な視点も含めて、次のような重点課題を設定し、活動を展開する。

(1)研究会活動の活性化とISS内体制強化
 ソサイエティ活動の中核を担うのは研究専門委員会である。研究発表と交流の場を提供する研究会の活性化(トライアル)が極めて重要になる。これまでの近隣諸国と連携した研究会開催、国際会議の主催・共同主催など、ISSのグローバル化に大きく貢献してきた。世界的な技術動向や我が国が抱える社会問題を見据えた柔軟な研究会活動を展開できるようにするには、研究専門委員会、技術会議、運営委員会との連携・協調体制を強化する必要がある。研究会の新設、統廃合などを含めて、中長期的な連携・協調体制について、検討を開始する。トライアルの見える化策として、学会誌とISSとの連携も検討する。

(2)会員サービス・会員増強施策の強化
 中長期的な視点から会員サービスの充実と会員増強施策を実行する。具体的には、グローバルな会員を含めて、ソサイエティ活動(特に研究専門委員会の活動)の見える化と参加しやすい体制作りを強化するために、Web企画小委員会と連携して日本語・英語ホームページを更改するとともに会員からの意見集約方法についても検討する。

(3)質の高い論文誌を生み出す仕組みづくり
 情報・シムテム研究における日本での中心的活動母体となるためには、中長期的視点に立って、段階的に論文誌の質を向上させる仕組みづくりが不可欠である。平成23年度から英論文誌の質を向上させるために英文ジャーナル検討ワーキングを立ち上げ、インパクトファクタ向上策、オープンアクセス・電子ジャーナルの可能性などについて、財政面を含めた検討を開始した。今年度も、ソサイエティ活動の中核を担う研究専門委員会と十分に意見交換しながら、実現可能性の高いトライアルを企画・実行していく。和文論文誌については、人気の高い学生論文特集号の企画を今後とも継続するとともに、ISS特有のシステム開発論文と表彰制度を連動した質の高い論文の生み出し方についても検討する。

(4)これからのソサイエティ誌の役割検討
 ソサイエティ誌は平成8年度創刊以来、ソサイエティの活動と技術分野の動向を会員に提供することを使命としてきた。この間、様々なソーシャルメディアが開発されているために、会員への新しい情報提供・共有方法を含めて、ソサイエティ誌の役割について再検討する。

(5)技報電子化の推進
 研究会の活動の見える化を促進するために、技報の電子化を早期に実現する。今年度は電子化のためのシステムを構築し、トライアル運用と利用状況分析・アンケートなどを実施し、実運用(3年後)のための体制を整備する。

(6)ISSの運営体制の強化
 平成23年度から、会長、次期会長、副会長、庶務幹事を中心に、運営方針や特定の施策に的を絞った議題で、運営幹事会を定期的に開催している。今年度は、ISS内の論文誌の質向上と情報発信力を強化するために、運営幹事会に和文論文誌・英文論文誌・ソサイエティ誌の各編集委員長を加える。