会長のあいさつ

2011年度会長

石田 亨 会長
石田 亨
電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ 2011年度会長
京都大学大学院・情報学研究科・教授 工学博士

 情報・システムソサイエティは、コンピュータ・通信・人間を核の要素として、それらを融合する学術分野に関する専門家集団である。本ソサイエティの役割は、会員に研究発表と交流の場を提供するとともに、若年層を含む一般の人を対象としたアウトリーチ活動を支援することによって、社会と技術分野の持続的な発展に貢献することである。一方、本ソサイエティの特殊性は、技術分野に重なりのある関係学会が多数あることに加え、技術分野ごとの学会横断的な研究集会が活発化してきていることである。こうした状況を踏まえて、平成23年度は、以下に重点を置いて活動を展開する。

(1)研究会活動の活性化と新規研究会の設立支援
 ソサイエティ活動の中核を担うのは研究専門委員会である。課題を共有する研究者・技術者に対して研究発表と交流の場を提供する研究会の活性化は、学会に発展の基礎を与えるものである。既存の研究会については、近隣諸国と連携した研究会開催、国際会議の主催・共同主催などにより、グローバル化の中での研究会活動の充実を図る。一方、研究会新設のハードルを下げ、新しい分野で研究会を容易に立ち上げられるようにする。そのために、技報の電子化などによる研究会運営の経費負担軽減を検討する。

(2)ソサイエティ誌の充実と論文誌のグローバル展開
 会員が研究成果を発信する場が論文誌であり、ソサイエティの活動と技術分野の動向を会員に伝えるメディアがソサイエティ誌である。これら出版物の持続的発展のために、編集と査読に関わる会員の負担軽減とインセンティブ向上を検討する。また、英文論文誌については、質の高い論文を集め国際的認知度の向上させることが重要である。そこで、編集体制のグローバル化、並びに掲載料の低価格化とそれを実現するビジネスモデルの検討を行う。さらに、関連学会と連携した専門性の高い英文トランザクション出版の可能性を検討する。

(3)総合大会におけるソサイエティ間連携活動の活性化
 総合大会の投稿件数が長期に渡り減少している。学会横断的な研究集会の活発化が総合大会の一部の機能を代替してきた背景がある。本ソサイエティにとって総合大会が、将来に渡って有意義なものであり続けるよう、分野別の学会横断的機能とは異なる方向で、複数ソサイエティとの連携による分野横断的な企画に力を入れてゆく。

(4)若手研究者や女性会員、地方会員の拡充
 学会の持続的な発展には、若手人材の継続的な参入が不可欠である。そのために、若手を中心とした大会や研究会での企画を奨励する。また、女性会員や地方会員が少ないという現状を打破するために、地方支部との連携によるアウトリーチ活動などの施策・企画に対する予算面での支援を拡充する。

(5)国際連携の推進
 国際化は学会の重要な課題であり、取り組みを強化する必要がある。海外の協定締結学会との連携強化、国際会議の主催、各分野での主要国際会議の誘致など、財政面を含めた支援の充実を図る。また、英文論文誌の国際会議特集号については、掲載別刷代を免除し海外からの投稿を促進するなど、国際会議と英文論文誌の積極的な連携を図る。さらに、帰国後の留学生などを中心に海外会員の増加を図ると共に、海外セクションとの連携による企画を奨励する。

(6)情報・システムソサイエティの運営体制の強化
 上記に述べた施策の検討を進めるため、情報・システムソサイエティの運営体制の強化を行う。具体的には、会長、次期会長、副会長、庶務幹事を中心に構成される運営幹事会を定期的に開催すると共に、必要に応じて焦点を絞ったワーキンググループを設立し集中的に検討を行う。