会長のあいさつ

2009年度会長

大田 友一 会長
大田 友一
電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ 2009年度会長
筑波大学大学院・システム情報工学研究科・教授 工学博士

 情報・システムソサイエティは、コンピュータ・通信・人間をコア要素として、それらを融合する形で構築される情報システムに関する、基礎理論から応用技術までをターゲットとする専門家集団である。今日の社会において、情報システムは、私たちの生活に深く浸透し、社会インフラとして人間の活動を支えている。また、電気や水道のような社会インフラに比べて技術革新の速度が大きく、新しい技術に個々のユーザがじかに接する場面が多いということが、情報システムの特徴であろう。

 学会としての情報・システムソサイエティの役割は、会員である専門家集団の活動を支えるサービスを提供することであるが、それとともに、この分野の重要性と面白さを一般市民や学生に理解してもらうための広報活動に努め、この分野が持続的に発展していくことが可能な社会的環境を築いていくことも大事である。

 上記を踏まえて、平成21年度は、情報・システムソサイエティとして、以下に重点を置いて活動を展開していく。

(1)会員へのサービスの充実(研究会)
 異なる組織に属する会員、ベテランや若手の会員が、組織の壁や年齢の差を超えて研究開発について議論しヒューマンネットワークを築くための「場」としての研究会は、ソサイエティ活動のかなめ石である。技報電子化に向けてのビジネスモデルを明確にし、本学会の強みでもある研究会活動の一層の充実を図る。

(2)会員へのサービスの充実(出版物)
 会員が自らの研究成果や意見を社会に向けて発信するための「場」としての出版物について、編集や査読に携わる会員の負担軽減やインセンティブ向上に向けた施策を実施し、内容の一層の充実を図る。

(3)若手研究者や学生への広報活動の拡充
 若手会員が参加しやすくface-to-faceでのイノベーティブな交流が期待できる「場」を提供しようという企画や、一般市民や学生への啓発・広報活動を行う企画には、手厚い支援を行う。

(4)イノベーション創出を支援する場の拡充
 次の方向性を探りイノベーションを産むためには既存の殻を破ることが重要である。そのための「場」を提供するシンポジウムや国際会議などの開催を、積極的に支援する。

(5)独立採算体制への円滑な移行
 本年度から本格的に実施されるソサイエティ独立採算体制へ円滑な移行を図るとともに、独立採算による自由度を生かした運営を行う。

 学会の機能は、会員のボランティアによって運営されている。上に挙げたような、いろいろな「場」の提供も、学会運営という「場」に参加して積極的に活動して頂いているボランティアからの能動的な提案によって初めて可能になる。生き生きとしたボランティア集団としてのソサイエティを目指して、会員各位の協力を得ながら前進していきたい。