報告
News letter No.190(2023年7月)

「2023年総合大会報告」

(エレクトロニクスソサイエティ大会運営委員長) / 硴塚 孝明(早稲田大学)

硴塚 孝明(早稲田大学)

 2023年電子情報通信学会総合大会が2023年3月7日(火)~10日(金)に芝浦工業大学大宮キャンパスで開催されました。今大会のスローガンは「世界へ飛躍する次世代X」でした。2020年ソサイエティ大会からオンライン開催が続いていましたが、今回、大会としては初めて現地参加を主体としたハイブリッド開催を実施しました。参加者総数は4日間で5,108名、聴講参加者は有料聴講参加者が1,358名、無料聴講参加者が1,739名でした。昨年のオンライン開催時(各1,585名、2,353名)から若干減少しましたが、2019年の対面開催時と比較すると増加しており、対面とオンラインのハイブリッド開催の効果が現れたものと言えます。講演数は一般講演が1,636件、シンポジウム講演が60件、依頼セッションはセッション数45件、講演数は192件でした。各講演は、発表者と座長が現地会場からオンライン配信、進行する形式で行われました。初めての試みとなりましたが、私が参加したセッションでは、ご苦労がありながらも、全体的にスムーズな進行ができていたようです。

 エレクトロニクスソサイエティでは、各専門委員会からの一般講演(C-1 電磁界理論、C-2 マイクロ波、C-3/4 光エレクトロニクス/レーザ・量子エレクトロニクス、C-5機構デバイス、C-6 電子部品・材料、C-7 磁気記録・情報ストレージ、C-8 超伝導エレクトロニクス、C-9 電子ディスプレイ、C-10 電子デバイス、C-12 集積回路、C-13 有機エレクトロニクス、C-14 マイクロ波テラヘルツ光電子技術、C-15 エレクトロニクスシミュレーション)において合計273件の発表があり、昨年の248件を上回る貴重な成果の報告と技術討論が行われました。

また、エレクトロニクスソサイエティのプレナリーセッションにおいては、エレクトロニクスソサイエティ賞活動功労賞、学生奨励賞の贈呈式が行われ、新シニア会員の紹介がありました。その後、「半導体から『幸せ研究』へ」と題して、矢野和男氏(日立製作所)による特別講演会が開催されました。ウェルビーイングをデータサイエンスで捉える、大変興味深い講演でした。また、エレクトロニクスシミュレーション研専による大会委員会特別企画セッションとして、「次のパンデミック被害を抑えるには?-新型コロナウィルス感染症に関する技術開発から-」が一般公開で開催されました。この他、研究専門委員会企画による1件のチュートリアル、6件の依頼シンポジウム、また、通信ソサイエティの研専との合同企画でチュートリアルと依頼シンポジウムが各1件開催されました。

大会のプレナリーセッションにおいては、会長挨拶、学術奨励賞受賞式、教育厚労省受賞式、フェロー称号贈呈式の後、「理工学教育の先進的構想」「グローバル連携で推進する次世代サイバーインフラの研究開発」の2件の基調講演が行われました。また、昨年に続いて5ソサイエティ合同のWelcome Partyが開催されました。今回は対面形式で学生向けの企業からのプレゼンテーションと、研究専門委員会のポスター展示が行われ、200名を超える参加者で賑わいました。私も現地で参加しましたが、会場が狭く思えるほどに盛況で活気があり、活発な交流が行われているのが印象的でした。

最後に、本大会の運営に御尽力いただいた芝浦工業大学の関係者の皆様、運営に携わられた皆様、講演、聴講参加いただいた皆様に御礼申し上げます。私自身、しばらく画面越しでしかお話できていなかった多くの方と直接お会いすることができました。大会期間中を通しての技術交流や懇親の場など、対面開催のよさを改めて感じた次第です。なお、9月12日(火)~15日(金)には、電子情報通信学会ソサイエティ大会が、名古屋大学東山キャンパスにおいて対面形式により開催されます。魅力的なセッションや企画が準備されておりますので、皆様の積極的なご参加をお待ちしております。

著者略歴:

 1996年九州大学大学院理学研究科物理学専攻修士課程修了。同年4月日本電信電話株式会社に入社し、通信用光半導体デバイスの研究開発に従事。2019年4月より早稲田大学大学院情報生産システム研究科准教授。電子情報通信学会、応用物理学会、物理学会、IEEE会員、博士(工学)。

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