就任挨拶:
通信ソサイエティ会長就任にあたって

大槻知明会長


Junji NAMIKI

 


 2019年度の通信ソサイエティ会長に就任いたしました大槻です.現代の社会基盤である通信ネットワークならびに関連技術の発展を支え,50カ国以上から約10,000人の会員を擁する通信ソサイエティの会長に選任いただいたこと,大変光栄に存じます.まず,通信ソサイエティの活動・運営に日頃ご貢献頂いている皆様方に深く感謝申し上げます.通信ソサイエティの活動をさらに推進し社会に継続的に貢献していくよう全力を尽くす所存です.
 初めに私たち通信ソサエティの活動のいくつかを紹介したいと思います. 通信ソサイエティは,英文論文誌,和文論文誌,英文レター(Communications Express)の3つの査読付き論文誌を出版しており,英文論文誌の約半数は海外からの投稿です.また,四半期ごとにグローバルニュースレター(英語)と四半期ごとの和文マガジン(B-Plus)も発行しています.研究活動に関しては,海外のシスター学会と協力して複数の国際会議を開催し,それに加えて国内大会や,20の研究専門委員会と6つの特別専門委員会による研究会を全国で開催しています. 研究会では,幅広い研究テーマについて,自分の考えを発表し,技術情報を交換,学術的な議論をできる場所が提供されています. また,研究会では,そのような情報交換や議論のために査読なしのオンライン研究会論文(技術研究報告)を発行しています.
 これら様々な活動は,会員皆様の自発的活動に支えられています.これらの活動を含めて,通信ソサエティは研究開発,教育および人材開発などの多くの面で社会に大きく貢献してきました.産業・社会構造の変化やグローバリゼーションが続く中で社会に貢献し続けるためには,主に通信ソサエティが貢献してきた情報通信技術(ICT)の枠を超えた様々な分野との連携が必要です.例えば,人工知能(AI)は様々な分野で大きな関心を集めており,今や様々な分野でますます重要な役割を果たすようになっています. AIはまた,通信技術自体やそのアプリケーションなど,通信分野でも大きな関心を集めています.一方,ICTはAIにとっても大きな役割を果たしています.様々な分野でAI技術を利用するためには,一般に,環境をセンシングし,通信を介してセンシングデータを収集し,収集したセンシングデータを分析して有用な情報を取得し,通信を通じて得られた情報に基づいて環境に作用するアクチュエーションが重要です.このような環境自体が知性を持つ環境を,知的環境と呼びます. ICTは,人工知能や様々な分野だけでなく,社会全体に貢献するための知的環境を実現するために不可欠です.先に述べたように,社会に継続的に貢献するためには,ICTの枠を超えた様々な分野との連携,すなわち多様性が必要です.様々な分野をカバーする研究専門委員会が多数ありますが,全ての分野をカバーしているわけではありません.各研究専門委員会は,電子情報通信学会に属する他の研究専門委員会とだけでなく,電子情報通信学会以外の学会に属する研究専門委員会とも研究会を開催しています. 通信ソサエティ全体としても,例えば自律走行について日本機械学会と,インフラ技術監視について土木学会となど,他学会との連携を強化しています.社会により多く貢献するために,私はこれらの活動を支援し促進することを計画しています.
 さらに,国や分野を超えた国際的な協力も非常に重要です.現在,日本以外の国々の多くのメンバーも,会議や論文誌発行など,通信ソサエティの様々な活動を支援しています.また,いくつかの国には,電子情報通信学会の国際セクションがあります.しかし,海外会員が通信ソサイエティに貢献できる分野はまだまだたくさんありますし,また通信ソサエティもそれらの貢献を必要としています.私は自身の豊富な学会/国際経験を活用しながら,そのような国際的連携を通した多様性を強化していきたいと思います.
 また,通信ソサエティの最も重要な使命の1つ,すなわちICT分野における学生を含む若者の教育についても述べたいと思います.会員の皆様は,研究会,国際会議などの活動やチュートリアルに参加することで,様々な知識や経験を得られます.これら活動では,産業界や学界のシニア研究者・エンジニアから,議論を通して多くのアドバイスを得られます. 通信ソサエティは,これらの貴重な機会を継続して提供していきます.また,高校生や大学低学年などの若い学生にも活動を拡大することを検討しています.幸いなことに,昨年の大会や研究会で研究成果を発表した高校生が何人かいました.このような活動が増えるよう,継続的にサポートしていきたいと思います.
 最後になりますが,今後とも,通信ソサイエティの活動・運営にご支援・ご協力の程,どうぞよろしくお願い申し上げます.