就任挨拶:通信ソサイエティ会長就任にあたって

笠原 正治 会長
笠原 正治 会長

 このたび、大変僭越ながら2023年度の通信ソサイエティ会長を務めさせて頂くこととなりました。これからの1年間、何卒よろしくお願い申し上げます。

 通信ソサイエティは通信に関する学問や技術の発展のため、研究専門委員会や編集委員会を通じて活発な研究調査活動を展開し、情報通信産業の発展に大きく貢献して来ました。近年ではAIによる自動認識技術や車の自動運転技術、直近ではChatGPTによる言語生成サービスなど、新しい技術やサービスの出現が以前にも増して加速してきており、高速大容量化に向けた通信技術の向上はもとより、新しいアプリケーションや情報サービスも含めた分野横断的な技術開発を、国内外の多様な叡智を結集して進めていくことが求められています。通信ソサイエティはこの流れに対応すべく、横断型研究会やソサイエティ直下の国際会議を立ち上げるなど、先駆的な活動を展開して参りました。

 一方で、2020年に始まった新型コロナにより、社会生活は大変な打撃を受ける事態になりました。学会活動におきましても、大会・研究会は元より、学会の運営に関する委員会もすべてリモート・オンライン開催になるなど、学会の活動は広範囲に渡って甚大な影響を受けました。2022年は新型コロナの状況に注意を払いつつオンサイト・オンラインのハイブリッド形式で研究会や委員会が開催されるようになり、2023年6月現在においては対面を基本とする開催方式に戻りつつあります。この3年間は未曾有の危機的状況ではありましたが、リモートでも円滑にコミュニケーションを行えるオンライン会議ツール類の発展は目覚ましく、それらを支えている情報通信技術の重要性が再認識され、まさに本会・通信ソサイエティの面目躍如の賜物ではなかったかと思われます。

 さて、これからの人間社会が持続的に発展していくためには、多様性が重要な役割を担うと考えられています。多様性を育む一環として、通信ソサイエティでは学会活動のグローバル化を今まで以上に推進していきたいと考えております。具体的には、世界中の研究者が投稿して広く読んでもらえる論文誌のグローバル化と、国境を超えて人脈を形成できるような研究会・国際会議のグローバル化です。論文誌のグローバル化につきましては、2023年度中に英文論文誌BとComEX誌の掲載プラットフォームを IEEE Xploreに移行し、採録論文をオープンアクセス公開致します。これにより、両英論文誌のサイテーションが大幅に改善され、インパクトファクタの向上、さらには投稿数の増加が期待されます。研究会・国際会議のグローバル化につきましては、4回目となる通ソ・フラグシップ国際会議 ICETCを北海道・札幌市内でオンサイトを基本として開催する計画を進めています。また、会員事業企画におきましても、Global News Letter に代わる新しい広報手段を検討するワーキングを立ち上げ、通信ソサイエティの海外広報の強化に向けた活動を開始致します。

 今後はICETCや共催国際会議、一種研から三種研の研究会やワークショップといった活動と連動する英文誌の小特集を積極的に企画することを通じて、IEEE Xplore 上で世界中に通信ソサイエティの活動を広く知らしめると共に、広報の海外情報発信力を強化してICETCや大会英語セッション、海外開催する研究会等への投稿や参加の勧誘を積極的に行い、国内外の研究者が多層的に交流できる魅力的なソサイエティに向けて邁進していく所存です。通信ソサイエティのグローバル化と活性化、さらなる発展のためには、研究専門委員会・編集委員会・会員事業企画が今まで以上に密に連携し、会員は元より、非会員にとっても魅力的な学会サービスを展開していくことが重要と考えております。通信ソサイエティのこれからの活動に対し、皆様のご理解とご協力を賜れますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

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