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情報保障マニュアル添付資料4(新しい技術による情報保障)

目次

情報保障情報保障マニュアル添付資料4 新しい技術による情報保障

以下では,情報保障WGで試行した,いくつかの新しい技術を利用した情報保障システムを紹介する.これらは2004年に開催された第3回情報科学技術フォーラム(FIT2004)におけるイベント企画「誰にでも参加できる学会を目指した情報保障のあり方について」
http://www.ipsj.or.jp/10jigyo/fit/fit2004/fit2004program/html/event/index.html
で紹介・試行されたものである.すでに商用化されているものもあるが,まだスタート段階であり,多くの改善の余地を残している.利用に際しては個別に問い合わせいただきたい.

 

1.音声認識を用いた字幕システム(株式会社ビー・ユー・ジー)

会場の音声,映像をスタジオ(札幌)に送り,再発話者(リスピーカー)が復唱して音声認識システムによって文字に変換するシステムである.修正者によって誤り訂正を行なう.話者の声からおよそ7秒?15秒で文字を表示できる.  
基本的に利用者側に通信回線とパソコンがあればどこでも利用できる.費用については下記に個別に問い合わせ,相談していただきたい.

・連絡先:   
株式会社ビー・ユー・ジー   
〒004-0015 札幌市厚別区下野幌テクノパーク1-1-14   
Tel: 011-807-6666, Fax: 011-807-6645, http://www.bug.co.jp/products/onsei.html

2.遠隔手話通訳・字幕システム(筑波技術大学)

会場の映像と音声を通信回線で(ネットワークを介して)筑波技術大学のスタジオに送り,それらを元に手話通訳した映像やPC要約筆記を行なった字幕などを会場へ送り返す.内容(手話通訳映像,字幕画面など)や提示方法は,現場の状況や要望に合わせることが可能.

・必要設備:ADSL程度以上のネットワーク環境が整っていれば基本的に支援可能.ISDN回線の設備でも対応可能.

・必要な経費:手話通訳,要約筆記者への謝金.ネットワーク回線等の設置並びに回線使用料.場合によっては送料(現在は研究段階ということもあり,必要機材等は筑波技術大学のスタッフが持参もしくは宅配する).状況によって異なるので下記に問い合わせて頂きたい.

*派遣手話通訳を依頼するときと同様に,事前に講演等の資料を渡しておくと質の高いサービスが提供できる.

・連絡先:  
筑波技術大学コミュニケーション支援研究グループ (内藤一郎)  
〒305-8520 茨城県つくば市天久保4-3-15  
Tel:029-858-9392, Fax:029-858-9394, e-mail: naito [at] a.tsukuba-tech.ac.jp   
URL: http://www.tsukuba-tech.ac.jp/el/csg/

3.字幕拡大投影システム(静岡大学)

電子プレゼンテーションソフトの“ノート”部分を字幕投影するシステムである.市販されている電子プレゼンテーションソフトの多くには,各スライドに対してその解説を記せる“ノート”という機能がある.本来は,講演者が発表時のメモとして用いるものであるが,そのノートを抽出するクライアントと字幕投影サーバの連携により,ノートを発表時に有効に活用する字幕提示システムを開発した.これは手話通訳や要約筆記が得られないときに,聴覚障害のある人への情報保障として利用できる.  
本システムによる情報保障の試行について詳しくは個別に下記にご相談いただきたい.

・連絡先:   
静岡大学情報学部ヒューマンアシストラボ (秡川友宏)      
e-mail: hal [at] cs.inf.shizuoka.ac.jp

4.自動点訳機能つき講演原稿受付システム(静岡大学)

本システムは,講演者が講演原稿(現在はWord文書のみ受付可能)を入稿すると同時に,
(1)テキストデータ,(2)読み原稿データ,(3)点字データの3種のファイルをその場で自動生成し,点字ファイルをダウンロード可能にするものである.  

現時点での本システムの限界は,(a)図表や数式の扱い,(b)レイアウトの扱い,(c)誤訳の扱い,の3点がある.(a)は現状対応が困難であるが,(b)はワープロ文書のスタイル解析で章・節の行空けや字下げを正しく処理するよう改良中である.(c)については講演者自身による読み(ひらがな)レベルの任意校正を可能にすることで,関心さえあれば点訳に明るくなくても誤訳低減に協力できるよう設計されている.  

WITでは平成16年度,このシステムを全文の点字粗訳に試験的に利用したが,もらえる原稿はWord, TeX, pdfなど種類がまちまちなので,Word以外の場合は研究会の情報保障担当者側テキストデータを作成してシステムに入力した.固有名詞など情報保障担当者側では判断できない誤変換も生じる可能性があるため,本来,発表者自身が読みの修正に協力できるようにするのがベストである.しかしながら,読み原稿データの発表者自身による修正作業にはまだ課題も多く,現段階ではシステムを発表者には公開せず,読み修正機能は情報保障担当者が必要に応じ実験的に利用するにとどまった.  

なお,試行のアンケート結果では点字データだけではなく,テキストデータの配布を望む声が多く,情報保障の立場としてはその意見を反映すべきである.点字データだけの配布は,学会や主催団体の規定で禁止されている場合や著者の理解が得にくい場合など,あくまでテキストデータ配布が困難なときの妥協案と考えるべきである.

・連絡先:   
静岡大学情報学部ヒューマンアシストラボ (秡川友宏)   
e-mail: hal [at] cs.inf.shizuoka.ac.jp

5.ローヴィジョン対応拡大画面手元配信システム(静岡大学)

研究発表などにおけるローヴィジョンの人を対象とした情報保障技術としては,配布資料に対しては拡大読書器などがあるが,プレゼンテーション画面自体を拡大して提供する適当な方法が存在しなかった。  

本システムはVNC(Virtual Network Computing)というリモート操作ソフトウェアの画面転送機能に,色覚バリアフリー化支援機能を連携させたもので,聴講者側のPCでは手元配信クライアントが必要であるが,無線LAN等を通じて画面を取得できる.  

遠方のスクリーンのかわりに手元に配信された画面を見ることができ,さらに個々人の特性に合わせて色調補正することができる.手元配信された画面でも見えにくい視力の場合は,市販の画面拡大ソフトウェアと併用することも可能である.  

本システムによる情報保障の試行について詳しくは個別に下記にご相談いただきたい.

・連絡先:   
静岡大学情報学部ヒューマンアシストラボ (秡川友宏)      
e-mail: hal [at] cs.inf.shizuoka.ac.jp

6.盲ろうの人への実時間点字・指点字提示システム(株式会社アスク,日本エコロジー有限会社)

聴覚障害関連の情報保障で述べた字幕の時系列データを,点字ディスプレイや指点字装置に実時間で表示するシステムである.点字・指点字装置には,既に実用化されている「てんてん」と「ユビツキィ」を用いた.盲ろうの人に学会の情報をリアルタイムに伝えるものとしての可能性は示されたが,現段階ではまだ充分な評価ができていない.

・連絡先:   
「てんてん」   
株式会社アスク   
〒573-0128 大阪府枚方市津田山手2-18-1   
Tel: 072-808-5555, Fax: 072-808-5556, e-mail: info [at] askktenten.jp   
URL: http://www.askktenten.jp/

・「ユビツキィ」   
日本エコロジー有限会社   
〒277-0882 千葉県柏市柏の葉5-4-6 東葛テクノプラザ308   
Tel: 05 7135-8088, Fax: 04-7135-8332, e-mail: ubitzky [at] j-ecology.co.jp   
URL: http://www.j-ecology.co.jp/

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