報告
News letter No.190(2023年7月)

「半導体レーザ国際会議2022 開催報告」

(半導体レーザ国際会議国内委員会) / 西山 伸彦(東京工業大学)

西山 伸彦(東京工業大学)

 半導体レーザ国際会議は、2年ごとの開催で、アジア、米国、欧州を巡回しており、アジアでは、特に投稿の多い日本を中心に開催されている。2022年は、日本での開催としては前回の神戸に続く6年ぶりの開催となった。

半導体レーザ国際会議は半導体レーザの世界初の発振後間もない1967年に米国Las Vegasにて第一回会議が開催され50年以上の歴史があり、2022年で28回目を迎えた。本国際会議は、種々の半導体レーザを中心とする光デバイスを中心に最新成果の発表や議論を通じた情報交換の場を提供することを目的として2022年10月16日~10月19日に島根県松江市のくにびきメッセ(島根県立産業交流会館)にて実施された。

折しも、新型コロナウィルス感染症の制限緩和が徐々にすすみ、国内海外問わず、積極的にオンサイトの参加を呼び掛けた。ただし、海外参加者は引き続きビザの取得が必要な状況であり、各参加者との来日スケジュールを含めたやり取りを行わなければいけないなど、事務的な時間と経費が必要であったが、やはり対面の重要性を鑑み、このような対応に踏み切った(実は開催の前週にビザ免除プログラムが再開されたため、肩透かしであったが致し方ない)。

結果として、我々研究者だけでなく、松江市にとっても、本格的に海外の来訪者を久しぶりに受け入れることになり、日常の国際会議を取り戻せたという興奮があった。一方で、全世界的に感染症が終息してはいないことも鑑み、リアルタイムWeb配信および議論も併せて行ったとともに、会議後の講演の録画視聴も可能とした。

本会議は歴史的にシングルセッションにて会議運営されており、これにより、学会参加者が同一空間にて同一のテーマの議論に参加でき、学会会場だけでなく学会の様々なイベントでも興味ある議題について継続的に議論できる環境となっている。Plenary講演、Invited講演、Legend講演、シンポジウム、ワークショップなど様々なセッションを設け、半導体レーザの物理からアプリケーションまで幅広い議論を行った。また、将来のフォトニクスを担う若手研究者の育成のため、フォトニクスを研究する研究室の学生の無料招待枠を設けるなども行った。最終的には文末にまとめたように、275名/国内:165名、海外:110名が会議に参加し、第一線で活躍する世界の研究者達による、質の高い講演と活発な議論がなされた。また、学生47名を含む若手研究者も多く参加し、人材育成にも貢献した。

半導体レーザの研究開発や産業化については、多くの分野で日本が世界をリードしてきており、今後もリーダーシップをとり世界レベルでの社会貢献が期待されて分野である。そのような背景の中、若手研究者を含め国内の優秀な研究者が参加しやすい環境で、既存分野に加え新しい分野において日本がリーダーシップを継続的に発揮できるというムーブメントを醸成できた。

次回は2024年に米国フロリダで開催される予定であり、その投稿促進のため、今年12月7、8日にOPE、LQE、PICS研究専門委員会と合同で行うPhotonic Device Workshop (PDW)において、Pre-conference of ISLCと称してイベントを企画している。

【参加者数】※オンライン含む

参加者数:275人(国内165人、海外110人)

【内訳】

現地参加者数(国内143人、海外52人)

オンライン参加者数(国内22人、海外58人)

【セッション数】

19セッション ※内、一般セッションは12セッション(Oral:11セッション、Poster:1セッション)

著者略歴:

1997年東京工業大学工学部電子物理工学科卒。1999年同大学院修士課程了。2001年同大学院博士課程了。同年米国Corning Inc.入社。2006年東京工業大学理工学研究科電気電子工学専攻助教授、職名、組織改編等を経て、2020年同大工学院電気電子系教授。博士(工学)。半導体レーザ、光集積回路の研究に従事。2009年文部科学省表彰若手科学者賞等。本会本部、エレクトロニクスソサイエティの複数職に従事、複数研究専門委員会委員長、幹事、委員等を歴任。2023年度より本国内委員会委員長。

目次ページへ