寄稿
ニューズレター188号(2023年1月)
ELEX Best Paper Award 受賞記

High-Definition Object Detection Technology Based on AI Inference Scheme and its Implementaion

鵜澤 寛之(日本電信電話株式会社)

鵜澤 寛之(日本電信電話株式会社)

この度は、「High-Definition Object Detection TechnologyBased on AI Inference Scheme and its Implementation」[1]に対して ELEX Best Paper Award を頂き、大変光栄に存じます。ご推薦頂きました方々、選考委員及びエレクトロニクスソサイエティの皆様に深く感謝申し上げます。また、本論文の共著者である、NTT デバイスイノベーションセンタの吉田周平氏、飯沼宥光氏、八田彩希氏、大森優也氏、小林大祐氏、中村健氏、佐野公一氏、ArchiTek 株式会社の高田周一氏、寅巴里ハッサン氏に、この場を借りて感謝申し上げます。
本研究の背景と概要をご紹介します。ドローン目視外飛行や公共空間での監視サービス等のエッジ/端末AIアプリケーションでは、重量や電力の制約から搭載するカメラの台数が限られており、1 台のカメラで広範囲の物体を 1 度に検出するために、高精細な画像での物体検出が求められています。フル HD や 4K などの高精細画像は、画角が広く、搭載カメラの近くにある物体と遠くにある物体が同一画像内に共存し得るため、大きな物体と小さな物体の両方を画像に取り込むことができます。そのため、高精細画像における物体検出では、大小両方の物体を高精度に検出することが求められます。
従来、 物体検出のための AI 推論として、you-only-look-once (YOLO)[2]等が提案されておりますが、計算量と学習プロセスの難易度を抑制するために、入力画像サイズが制限されています。例えば、YOLOv3 の標準的な学習済みモデルにおける最大の入力画像サイズは 608×608 ピクセルです。このため、たとえフル HD カメラや4K カメラで撮影した画像でも、実際には小さい画像サイズに縮小して AI 推論を行っており、小さな物体がつぶれて検出できなくなってしまう課題がありました。
そこで、我々はまず、高精細画像を分割して、それぞれに並列に AI 推論処理を行い、結果を合成する AI 推論高精細化技術を確立し、上記課題を解決しました。処理の概要は図 1 の通りとなります。

図 1 AI 推論高精細化技術(受賞論文[1]より引用)
図 1 AI 推論高精細化技術(受賞論文[1]より引用)

まず、小さな物体を検出できるようにするために、入力画像を分割して、分割画像ごとに物体検出を実施します。これと並行して、分割画像を跨ぐような、大きな物体も検出できるようにするために、画像全体を縮小しての物体検出も行います。こうして得られた全体画像からの結果と、分割画像からの結果とを合成することで、最終的な物体検出結果を得ます。これにより、高精細画像に対しても、大小両方の物体を検出することが可能となります。
本技術において、物体検出は互いに独立しているため、並列実行が可能なハードウェアに適した技術となっています。また、物体検出のための AI 推論は任意の手法を適用可能であり、本技術適用のための再学習も不要です。本論文では、画面分割数 2 の条件にて、フル HD 画像で従来比 2.1 倍の検出性能を達成し、高精細画像にて大小両物体をより高精度に検出可能になることを示しました。

参考文献:
[1] H. Uzawa et al., “High-Definition Object Detection Technology Based on AI Inference Scheme and its Implementation,” IEICE Electronics Express, vol.18, no.22, pp.20210323, 2021.
[2] J.Redmon et al., “YOLOv3: An Incremental Improvement,” [online] Available: https://arxiv.org/abs/1804.02767

著者略歴:
2008 年 東京理科大学大学院工学研究科修士課程修了。同年日本電信電話株式会社入社。光アクセスシステム用 MAC LSI の高速・低電力化の研究開発、デジタルコヒーレント光通信用 DSPLSI の研究開発、光アクセスシステムの移動体通信システムへの適用に関する研究開発に従事した後、2019 年からデバイスイノベーションセンタにて、高精細映像 AI 推論エンジンの研究開発に従事。2012 年 電子情報通信学会 学術奨励賞受賞。

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