IEICE Ad Hoc Technical Committee on In-vehicle ICT and AD/ADAS-ITS Infrastructure for Regional ICT Platforms
英文略称: AA-ITS
設立の背景
ITSスマートポールに代表される日本発の画期的な交通安全システムが、実用化一歩手前に来ている。このシステムは、見通しの悪い交差点での事故(対車だけでなく対自転車や歩行者)を無くすために、路側構造物の道路を見通せる箇所にカメラやセンサなどICT機器を設置して車や自転車・歩行者間で接近情報を交換することで相互の安全を確保するものである。このシステムは、自動走行レーン補助システムなどと共にレベル4自動運転を実用可能とするインフラ協調型ITS(Autonomous Driving/Advanced Driver-Assistance Systems連携ITS、以下AD/ADAS-ITSと呼称)として大きな期待がかかっており、既に2010年代末から自治体主導で複数の地域でタクシーや地域バスを用いた実証実験が重ねられている。
図:今後のITSイメージ 詳細図(交差点事故ゼロ)(出典「ITS Japan」)
このAD/ADAS-ITSで派生的に得られる特定交差点や道路などの交通流量情報は、災害時の交通状況の把握や優先自動車の為の交通制御にも有効であることから、地方の消防局などで活用の実証試験が行われ始めている。この場合は、ITSスマートポールから得られる諸情報を交差点という極小エリアから面的なネットワークとして拡張する必要があり、目視では確認出来ない情報の安全・安心を確保するという新たな課題も発生する。
図:ITSスマートポール多角利用イメージ(出典「ITS Japan」)
さらにこうした街角(ITSスマートポール以外を含む)に設置されるセンサや情報交換機能は、交通安全や災害時だけでは無く観光DXの仕組みとしても有効であり、街の商店街などで活用が期待される。また、インバウンド観光客に必須の多言語による双方向性や季節や天候に応じた即応的双方向情報交換にも有効であろう。
図:ITSスマートポールデータの流れとサービス利活用(出典「ITS Japan」)
上述の例のように、交差点という地域内の点に近い情報拠点をその周辺でネットワーク化する事により、新しい社会価値を生み出せると想定している。このシステムはGAFAMを主体とするグローバルな【クラウド+エッジ】というアーキテクチャとは異なる仕組みである。インターネットには無い安心・安全の担保と補償、さらには地域による運営などの機能や組織を加味することによって、地域独特のアプリや公共的な社会システムの提供が地域ごとのビジネスモデルで可能となる。こうした新しい社会システムとなる地域ICTプラットフォームを社会に実装し定着させるためには、地域ごとの責任運営母体=PF管理者を配備して補償を含めた安心安全の確保をどう担保するか、スマホなど普及しているアプライアンスやガシェットからの利用の確保法(ID連携などを含む)、運営を含むマネーフローをどう実現するか、など技術以外の事業上の課題を抽出して解決する必要がある。
更に近未来には、レベル4などの自動運転(支援)機能の充実によりコネクテッドカーに搭載されるICT能力は飛躍的に向上すると予想されており(レベル5の完全自動運転には120TOpS=富岳の6架分=のCPU能力が必要と想定されている)、高能力ICT搭載車両が数台駐車場に停まっていれば、駐車時には使われない豊富なICT能力を安心・安全なP2P型の地域ICTとして活用することも構想されている(VaaSI; Vehicle as a Social Infrastructure)。その具体的な先鞭例として外付け型のVehicle-HUB(V-HUB)を災害時などに活用するV-HUB利用法のアジア標準も既に2018年にAPT(Asia Pacific Tele-community;本部はバンコク)勧告化されている。
一方で、デジタル変革(DX)は、少子高齢化先進国である日本社会の持続的な再創造に向けて必須の仕組みであるが、産業的には広義のデジタル関係で約5兆円の貿易赤字(日銀推定値、2023年度)に陥っており、この10年余りで赤字額が2.6倍に膨らんでいる。このままでは、原油類の赤字11兆円に匹敵する赤字になると危惧されている。その主因は、種々の企業活動や個人レベルの情報活動が、GAFAMに代表されるグローバル規模のプラットフォームやクラウドに依存しているためである。この枠組みを一朝一夕に変革することは難しいが、この第3種研究会の活動成果でV-HUB活用やAD/ADAS-ITS を起爆剤とするP2P型地域ICTプラットフォームを実現して社会システムのDX化や地場商店街や中小企業のDX化を推進出来れば、日本のデジタル赤字を減少させることが期待できる。更には、同様の交通環境整備や同様の気候風土による自然災害対策を必要としているアジア近隣諸国と協業することによって、地域の安全やレジリエンスを向上させる新デジタル産業基盤をアジア諸国と共に創造することが可能となる。
特別研究専門委員会 設置の目的
本研究会の目的は、次の3つです:
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日本発の「地域ICTプラットフォーム」(略称:L-ICT/PF)を開発すること。このプラットフォームは、自動運転や先進運転支援システム(AD/ADAS)、交通システム(ITS)、車両情報ハブ(V-HUB)などの技術を基盤としています。開発にあたっては、技術、事業、制度の3つの側面から研究を行います。
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開発したプラットフォームを日本国内やアジアの近隣諸国で実際に試験運用すること。
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このプラットフォームを通じて、以下の2点を実現するための具体的な方策を示すこと:
- 日本の地域社会システムをデジタル技術で改革すること
- 地域産業や社会産業を再び活性化すること
つまり、先進的な自動車・交通技術を出発点として、地域全体のデジタル化と活性化につながる情報通信技術(ICT)プラットフォームを開発し、実用化することが本研究会の目標です。
活動計画
本特別研究専門委員会の活動計画は次の通りです:
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研究開発の議論の場の提供
- 自動運転(Autonomous Driving:AD)や先進運転支援システム(Advanced Driver-Assistance Systems:ADAS)
- 高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems:ITS)
- 車両情報ハブ(Vehicle HUB: V-HUB)
- これらを中心とするICTプラットフォームの要素技術
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実証実験への参加
- 国や地方自治体が公募する実験
- 大学や研究機関が実施する実験
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アジア諸国との国際協力
- 情報通信技術委員会(TTC)を通じて
- アジア・太平洋電気通信共同体(APT)のプロジェクト(J1-J3など)に参加
- アジア諸国との共同実証実験を積極的に提案・実現
この委員会は先進的な交通システムとICT技術に関する研究討論の場を設け、国内外の様々な実証実験に参加し、特にアジア地域との国際協力を推進することを目指しています。
研究分野
- AD/ADAS-ITS向け通信技術
- AD/ADAS-ITS向けセンシング技術
- AD/ADAS-ITS向けデータマイニング技術
- ローカル向け交通システム高度化技術
- 学際・業際的地域社会システム
設置期間
2024年10月から2027年3月まで