イベント日程(予定)

以下のイベントを予定しています。一部変更になる場合があります。

11月29日(火)

15:00-17:00基調講演1・2 (詳細はこちら)
18:00-19:00オープニングレセプション

11月30日(水)

9:00-10:00基調講演3 (詳細はこちら)
10:30-17:00一般講演
20:00-22:00 ワークショップ (詳細はこちら)

12月1日(木)

9:00-10:00特別講演 (詳細はこちら)
10:30-16:30一般講演・ポスターセッション
18:30-21:00懇親会

12月2日(金)

9:00-10:00一般講演



基調講演 - 日時: 11月29日(火) 15:00-17:00 / 11月30日(水) 9:00-10:00

基調講演 1. 機械学習試してみました

日時 11月29日(火) 15:00〜16:00
会場 原生林<松>
講師 大鐘 武雄 先生 (北海道大学)
講演概要 無線通信における信号処理技術の発達は目覚ましく,線形信号処理から,繰り返し干渉除去などを経て,最大事後確率推定や圧縮センシング,確率伝搬法,期待値伝搬法,マルコフ連鎖モンテカルロ法など,非線形アルゴリズムが一般的に用いられるようになってきた.さらに,近年では,機械学習・深層学習が盛んに応用されている.筆者も2018年から,機械学習を始めてみた.といっても,学生に取り組んでもらい,その様子を眺めているに過ぎない.専門外の我々が始めた当初は,コードをスクラッチから組むものを思っていたものの,周りからライブラリの存在を教えてもらい,徐々にそれらしい形になって来た.本稿では,真の初心者が機械学習を進めた歩みと幾許かの検討結果を,周りからのアドバイスを交えながら,紹介するものである.

基調講演 2. 情報幾何を「裏返し」に観る — 余接空間の重要性について —

日時 11月29日(火) 16:00〜17:00
会場 原生林<松>
講師 長岡 浩司 先生 (電気通信大学)
講演概要  情報幾何では確率分布や量子状態を点とする空間の幾何学を扱う.幾何学において最も基本的なのは二点間の関係であり,微分幾何ではそれを無限に近い二点の関係にもとづいて考察する.無限に近い二点は接空間 (tangent space) の要素である接ベクトルで表される.よって,情報幾何においても通常,接空間を基本的な舞台として幾何学的議論が展開される.
 例えば,1次元パラメータθを持つ確率分布族 {p(θ)}のフィッシャー情報量を J(θ)とおくと,J(θ)×(dθ)^2 は無限に近い二点p(θ)とp(θ+dθ)の距離の二乗を表すとされ,それは点p(θ)における接空間上のある内積(フィッシャー計量と呼ばれる)から定まる二乗ノルムとして理解される.この描像は直観的に分かりやすく,応用上も重要である.例えば,KLダイバージェンスの無限小近似がフィッシャー情報量で表されるというよく知られた事実もこの描像に収まる.
 ところが,フィッシャー情報量が主役を演じるクラメル・ラオ不等式では,直接現れるのは J(θ)ではなく 1/J(θ)である.その幾何学的意味はもはやそれほど分かりやすくなく,接空間の双対線形空間である余接空間 (cotangent space) を考えることで初めて明らかになる.実は,情報幾何におけるフィッシャー計量やe, m-接続などの幾何構造は,最初から余接空間を舞台にして導入した方がその統計学的・確率論的な意味が明確になる.また,量子系への拡張においては,接空間ではだめで余接空間がどうしても必要になる場合もある.余接空間はいわば接空間を「裏返し」に観るようなもので,より抽象度の高い概念であるが,情報幾何の本質を理解しようとするなら避けて通れない.
 ただでさえとっつきにくい情報幾何の中でもとりわけ渋いこのような話題を本シンポジウムで話すことに若干のためらいはあるが,講演者はこういう議論が昔から好きであり,重要であると信じている.情報理論とその応用に興味を持つ多くの研究者に関心を共有してもらえるよう努力したい.

基調講演 3. スタートアップ・中小企業における機械学習等の研究活動

日時 11月30日(水) 9:00〜10:00
会場 原生林<松>
講師 久保 卓也 様 (AMBL株式会社)
講演概要 昨今のMLのコード・モデルのOSS化などに伴って,スタートアップ・中小企業においてもこれらの分野のR&Dが珍しく無くなってきた.しかしながら,これまでR&D部門をもっていなかった企業がR&D活動に期待することはおそらく聴講者がR&Dと言う単語を聞いて想像する活動のそれとは多少異なる.本発表では,発表者の短いながらも中小企業の研究者でいた経験を振り返り,その中で出会ったトピックとして音声言語処理や分散表現,バンディット問題等に触れながら弊社を例に挙げ,中小企業における機械学習などの研究が何を求められているのかを考察する.



ワークショップ - 日時: 11月30日(水) 20:00-22:00

データサイエンス入門+α ― 意思決定写像を用いたデータ科学体系化への試み −

会場 原生林<松+竹>
オーガナイザ松嶋 敏泰 先生 (早稲田大学)
講演者 小林 学 先生 (早稲田大学)
野村 亮 先生 (早稲田大学)
安田 豪毅 先生 (早稲田大学)
中原 悠太 先生 (早稲田大学)
概要 データサイエンスはキッチリした定義もなく,何となくボヤッと捉えられがちです.どのようなことをおさえておけばいいのでしょうか.我々チームの視点をご紹介してみます.
講演1)今更ながらデータ科学(データサイエンス)とは何か?
 有るようで無いようなデータ科学の定義は?いつからデータ科学は登場したの?データ科学は社会を変革するというがそのストーリーは?今更ながら考えてみます.
講演2)データ科学の意思決定写像による統一的体系化の試み
 多様な捉えかたができ,統計学,AI,機械学習などの様々な立場の寄せ集め的なイメージのある「データ科学」ではありますが,「データ(からの論理的な意思決定の)科学」と定義し,我々独自の考え方である(データを入力とし出力を決定とする)意思決定写像やデータ生成観測メカニズムなどの視点からデータ科学を体系化する試みを紹介します.
講演3)実践法としてのデータ科学
 データ科学は実践法としての側面も重要と考えらます.意思決定写像がデータ解析の手続きの中でどのように活用されるかを紹介します.
講演4)データ生成観測メカニズムの確率モデルからの機械学習法
 情報理論では情報の生成観測メカニズムを確率モデルで記述することがベースとなりますが,データサイエンスの場合,必ずしもデータ生成の確率モデルを仮定しません.統一した視点で考える利点の例として,機械学習の決定木について,確率モデルを用いた統一した視点から考察することにより,従来法のランダムフォレストや勾配ブースティングを上回る性能を示す新たなアルゴリズムが構成されることを紹介します.



特別講演 - 日時: 12月1日(木) 9:00-10:00

先住民族アイヌの言語復興

会場 原生林<松>
講師 北原 モコットゥナㇱ 先生 (北海道大学)
講演概要 アイヌ民族の言語は,ユネスコが定める消滅の危機にある言語の指標において,最も危機的な状況にあると言われている.危機言語の復興には,言語研究に加えて,危機言語を取り巻く社会の認識を明らかにし変革を促す研究,利便性の高いアーカイブ構築など,複数の領域からのアプローチが必要となる.本講演では,アイヌ語が危機的な状況になった過程と,その復興に向けて行われている取組み,今後求められる研究を取り上げる.