第6章 インターネットの仕組みと使い方



6.3 WWWの仕組み

 WWWは、CERN(European Particle Physics Laboratory)のTim Berners Leeが、1989年に開発した、分散型の情報共有方式です。インターネット上のソフトウェアは、多くは米国製が多い中、スイス製という意味でも異彩を放っています。

 WWW自体は、情報共有の仕組みであり、普及に弾みをつけたのは、優秀なアクセスソフトウェア(ブラウザといわれています)が開発されたからです。それは、やはり米国製で、米国イリノイ大学のNCSA(National Center for Supercomputing Application)が1993年に開発したMosaicです。これにより、極めて操作性のよいクライアントソフトウェアを得たWWWは、急速に大衆化していきました。Mosaic開発チームで作った会社がNetscape社で、これも業界では有名です。

 さて、WWWはインターネット上でどのように実現されるのでしょうか? 図6-6を見てください。みなさんのMacintoshあるいはWindows の端末は、WWWのクライアントになります。Internet ExplorerやNetscape Navigatorは、クライアント動作を実行するソフトウェアです。WWWのドキュメントは、WWWサーバの中に保存されています。WWWサーバの機能は、HTMLというフォーマットで書かれたファイルなどを保存しているだけです。クライアントから要求があると、つまり、あなたがNetscape Navigatorのブルーの文字をクリックすると、WWWサーバはファイルをクライアントへ転送します。

図6-6 WWWの特徴はマルチメディアとハイパーリンク

 「受け取ったファイルをどのように表示するか」は全てクライアントに依存します。したがって、特定のイメージ(例えばJPEGというフォーマットのイメージ)に対して、ある種のクライアント(例えばNetscape Navigator)は自分で表示しますが、別のクライアント(例えばMacWeb)はHelper Application(例えばJPEGView)で表示します。もちろん、メニューの作り方や、HistoryやBookmarksなどの使い勝手も、クライアントのソフトウェアに依存します。WWWの規格は、「ドキュメントがテキストであるか、イメージあるいはムービーであるか」などのマルチメディアの識別子と、それらマルチメディア・ドキュメントをサーバとクライアントで転送するメカニズムを規定しているだけです。この自由度のために、WWWのサーバとクライアントのソフトウェアがさまざまなシステの上で構築でき、WWW普及の速度を大きく加速したといえます。

 さらにWWWの大きな特徴は、WWWドキュメントの中に、WWWドキュメントへのリンク(ブルーの文字で表示されるハイパーリンク)そのものを、書き込めるようしたことでしょう。この結果、ドキュメントからドキュメントへとリンクができ、ユーザから見て情報の見方あるいは検索方法が、易しく効果的になりました。イメージやムービーをも可能としたマルチメディア技術と、ドキュメントの検索構造を易しくしたハイパーリンク技術が、WWWの大きな特徴です。


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