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設置目的

委員会設置の目的

光集積技術は様々な光デバイスを融合,一括形成し,低コスト化・高機能化・小型化をはかるきわめて有効な手段である.光の様々な応用技術の高度化と普及に伴い,その利用範囲は大きく拡大しており,重要性がいっそう増している.エレクトロニクスソサイエティでは光集積回路技術及びその応用に関する研究委員会として,集積光デバイスと応用技術特別研究専門委員会(IPDA)とシリコンフォトニクス特別研究専門委員会(SIPH)の二つの研究会が長年,情報交換・議論の機会を提供し,これらの分野の発展のために活動してきた.2018年に,これらの分野の研究開発の議論を加速させることが非常に重要との認識から,上記二つの特別研究専門委員会を統合し,光集積及びシリコンフォトニクス特別研究専門委員会(PICS)を提案し了承された後,4年間活動を行ってきた. この間も光通信におけるトラフィックの増大を背景に,特に,データセンターに向けた大容量,小型,低消費電力,低コストを可能にする光集積技術に高い期待が寄せられてきた.更に、2030年頃に訪れるBeyond5G/6G時代やカーボーンニュートラルの要請などを背景に、将来求められる圧倒的低消費電力な大容量ネットワークやコンピューティングをデバイスレベルから支える基幹技術の一つとして、光集積技術の更なる進展への期待はより一層高まっている。このような背景のもと、国内外でシリコン・化合物半導体・およびこれらを複合的に集積した光集積回路の研究開発に大規模な研究費が継続的に投入されている.特に,シリコンをプラットフォームとした光電子集積回路は作製から応用にわたる広い範囲でのファンドリー利用で,従来のビジネスモデルを大きく変えつつある。同じシリコンをプラットフォームとすることから、国内半導体産業の再興を図る取り組みとの連携構築やそれに向けた議論を進めるべき時機にある。この動きを進めるなかで、国内の関係研究者をつなぎ分野の発展に貢献してきた本研究会が果たすべき役割は極めて大きい。
また、Siをプラットフォームとする光コンポーネントの普及は広がっており,ボード間,チップ間の通信などに用いるための更なる小型・低消費電力・低コスト化などの市場の要求は高い.また,光ネットワーク分野だけでなく,光電子集積技術を用いた光センサは大きな発展が予想される分野である.車載イメージセンサ,環境・物質センサ,セキュリティセンサ,バイオ・医療センサなどは現行では個別部品の組み合わせで構成されているが,光電子集積を利用することで大幅な小型化,汎用化,新たな利用法の開拓などが期待される.さらに、光技術を利用した量子・光コンピューティングの研究は急激に活発化している。加えて、様々な新しい概念や材料の導入により従来は考えられなかったような集積フォトニクス技術の萌芽的研究も国内外で盛んになっている。
このような状況において,光材料・光デバイス・光部品・装置・システムなど多方面の分野の研究者や技術者が集まり,光集積デバイスと応用技術について幅広く意見交換,討論を行うことは,新たな学術と産業の創出にとって不可欠である.また、ヘテロ集積技術などの光集積技術のコア技術と関連したR&Dファンドリー利用のあり方や新たな市場・分野を開拓するための実装技術などについても将来を見据えた議論が必要となっている.さらに,萌芽的研究や当該分野に取り組む学生に対する積極的支援は、将来の光集積技術の発展に向けた投資である。
以上、集積フォトニクス技術の進展や周辺状況を踏まえ、光集積分野の研究会が担う役割は益々重要となっていると確信し、ここに研究会の継続を申請するものである。 具体的な取り組みとして,対面研究会(年2回程度),少人数の講師と深い議論を可能にするオンラインワークショップ(1,2か月に一度)の開催を継続する。特に、これらの活動をとおしてコロナ禍で交流の機会を失った当該分野の学生や若手研究者が新たなネットワークを築くことのできる機会を積極的に提供したい。

活動計画

  1. 研究会の開催

      研究会名称 光集積及びシリコンフォトニクス研究会(第2種研究会)
      開催回数  年5回程度、合計10回程度(2年間、うちオンライン開催6回)
      発表形式  依頼講演,公募講演,シンポジウムなど
      予定件数  現地開催:各回招待講演を含めて5~10件程度
             オンライン開催:招待講演1~2件程度
      参加人数  各回一般30名程度+学生30名程度
      共催学会  必要により常設研専との共催(第1種研究会),応用物理学会研究会などと協力

  2. 研究専門委員会の開催

    開催回数  年2~3回程度、合計5回程度(2年間)
    内  容  研究会企画等,活動方針を討議する

研究分野

光集積回路(半導体(III-V族,シリコンなど)・LN・ガラス・ポリマー等の薄膜光導波路系デバイスや積層光回路系デバイス,フォトニック結晶,プラズモニクスなど),光電子集積回路(OEIC),光配線,光インターコネクション技術,光集積プラットフォーム技術,マイクロオプティクス,2次元アレイデバイス,光マイクロマシン(MOEMS)技術,アセンブリ光実装技術,光センサ・光計測技術,光記録技術,バイオ・医療応用・車載等に関する光部品技術全般.量子・光コンピューティングにかかわる技術全般,理論・解析・シミュレーション,素子・デバイス・モジュール設計,作製プロセス,ファンドリー利用、組み立て,評価,応用など.

設置期間

2023年6月から2025年5月まで(2年間)

英文名称(英文省略)

Photonic Integration Circuit and Silicon Photonics (PICS)