電子情報通信学会

DPF研究会について

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設立の背景

IoT や AI 等の新技術の進化、電子商取引やソーシャルメディアなどのインターネットサービスの拡大に伴い、様々なヒトやモノのアクティビティのデジタル化が加速し、それらのデータの流通と利活用に注目が集まっております。さらに、サービスやアプリケーションのモジュール化/ソフトウェア化が進み、各機能の分離と統合を管理するサービスアーキテクチャが進展しつつある中,広域に散在する様々なデータ/コンテンツや、クラウドで提供される API/マイクロサービスなどの処理機能を連携し、新たなサービスを創造するデジタルエコシステムの取り組みも世界的に加速しております。

今後、数・量ともに増大しつづけるデータ、コンテンツ、処理部品などの様々なデジタル資産を、ネットワークを介して、必要な時、必要な人に、必要なだけ提供し、それらの利活用によってデジタルイノベーションを支えるプラットフォームがますます重要になります。

従来のプラットフォーム技術の研究動向としては、中央集中型(Centralized)のシステムアーキテクチャや、提供機能やサービスの可用性や保守性の実現、サービス・プロトコル統合等の議論が進められてきました。一方、近年では、特定のサービサやシステムの独占・寡占化を無くし、ブロックチェーンや分散 Web に代表されるような非中央集権型(Decentralized)のアーキテクチャの策定や多様なサービス・プロトコルとの連携、それらの技術のコラボレーションによって、サービス経済圏を構成する共創プラットフォームを志向する動きが活発になってきております。

このような共創プラットフォームを実現していくためには、機能やサービスを相互に接続するネットワークの役割として、従来のコンピュータ間をつなぐ通信基盤から、多様かつ分散された“デジタル資産”を流通するためのネットワーキング基盤に進化させる必要があり、プラットフォーム技術/サービスネットワーク技術の観点から抜本的な変革が不可欠になります。

この変革に向けては、解決すべき多くの技術的課題が存在します。まず、「プラットフォームアーキテクチャの観点」では、コンテンツ・アプリケーションを相互に繋ぐための共通的な機能を保持する必要があり、デバイス・ネットワーク・クラウド等の多様なインフラストラクチャと連動して、コンテンツやアプリケーションを機動的に提供できる仕組みの実現が急務になります。

また、「プラットフォーム経済の観点」では、プラットフォームの利用者数やコンテンツ・アプリケーションの多様性、それらに起因するサービス価値との因果関係の分析や、複数の事業者間を跨って構成されるサービス経済圏のモデル化、多面的市場におけるデジタル資産の提供と利用に対するインセンティブ提供によってネットワーク効果を生み出すサービス方式論の確立が重要になります。

さらに、プラットフォーム上で流通される「情報管理の観点」で、保護対象とすべき個人情報の範囲やプライバシー保護に関しても検討が必要です。また、「オンライン取引の信用」の観点では、プラットフォームを介して異なる機能やサービスを安全・簡単に利用できるようにする ID・認証の連携や、ID 連携に応じた行動履歴等のデータ活用、オンライン取引上の通信相手となる人・モノ・法人(組織)の正当性保証、取引されるデータの完全性や信用を確保するための新たな技術の検討も必要になります。

技術の実用化を見据えた「プラットフォームの運用管理」や、データやコンテンツ共有に対する「データセキュリティ」、また、プラットフォームを支える「端末・デバイス連携」としての Internet of Things(IoT)、WoT (Web of Things)、M2M や、「ユースケース(実用シナリオ)」としてのサプライチェーンやソーシャルネットワークなどへの適用に対しても議論が必要になってきております。

また、これらの取り組みを通し、社会的要求である SDGs:Sustainable DevelopmentGoals として、デジタル化の進展を支える ICT 基盤の実現を目指し、社会の持続可能な発展に貢献していくことも重要になってきます。

世界レベルの研究動向を鑑みると、欧州では、デジタルサービスやコンテンツを、欧州域内の国境を越えて流通するデジタル市場構築を政策目標とし、GDPR を始めデータ保護法制の整備が進められています。現在は、欧米を中心として分散型プラットフォームの研究も強く志向されており、我が国においても同分野の国際競争力の強化が求められています。したがって、この特別研究専門委員会を通じ、我が国における幅広いコミュニティーの叡智を結集させることで、プラットフォーム技術/サービスネットワーク技術に対する研究開発を強化・活性化し、国際競争力を高め、欧米に並ぶ研究開発拠点としての我が国の地位確立を目指していく必要があります。

上記の背景に基づきデジタルサービス・プラットフォーム技術特別研究専門委員会の活動を行って参ります。本特別研究委員会は、デジタルサービスを支えるプラットフォーム技術とサービスネットワーク技術を主体的に捉え、次世代のネットワーク基幹技術となる新領域の技術研究を推進/発展させて参ります。具体的な社会実践と実用サービスへの適用を考慮したサプラットフォーム技術/サービスネットワーク技術の研究開発を活性化し、今後の社会展開を目指します。本特別研究専門委員会は、2019 年 5 月 1 日に設立し、2025年 3 月 31 日までの予定で活動を行います。 ワークショップ含む単独研究会を年 2回、関連研究会との併催研究会を年 2 回、研究専門委員会を 2 年間で 8 回、また 2 年間を通じ総合大会およびソサイエティ大会での企画セッションを複数回開催する予定であり、充実した内容の講演、議論が行われることを期待しております。

また、本研究委員会は分野横断的で学際的な研究領域を対象としていますが、学際的な議論と新たな人的交流の場の提供として有意義な機会を提供していると考えています。このような領域は、通信ソサイエティにおいても新規な領域であることから、デジタルサービスを支えるプラットフォーム技術/サービスネットワーク技術という研究領域の体系化や通信ソサイエティへの貢献を指向して、さらなる発展の方向を探ることを目指しています。

目的

デジタルプラットフォームとそれを支えるサービスネットワークの多様化・複雑化・大規模化・仮想化、通信/データの安全性・信頼性・真正性の確保など、従来のネットワーク分野だけでは取り扱うことが困難な問題を克服し、また、デジタルサービスの今後の益々の発展を支えるため、体系化されたプラットフォーム技術/サービスネットワーク技術を確立していくことは急務と言えます。そのためには、既存のいわゆる情報通信工学だけでなく、その周辺分野、さらにはオペレーションも含めた技術展開の議論など、多様な視座からのアプローチが求められます。加えて、同分野の国際競争力の強化には、欧米に並ぶプラットフォーム技術/サービスネットワーク技術の研究拠点形成による我が国の地位確立が必須であります。そこで、本特別研究専門委員会では、今後の情報通信分野におけるデジタルサービスを支えるプラットフォーム技術/サービスネットワーク技術の一層の研究促進を目指します。

なお、本委員会の専門委員構成からも分かるように、分野横断的で学際的な領域を対象としており、デジタルサービスを支えるプラットフォーム技術/サービスネットワーク技術は、近年の情報通信ネットワーク分野において急速に重要性が高まっていることから、特別研究専門委員会として集中的な議論に着手することが有意義と考えています。

担当する研究分野

1) プラットフォームアーキテクチャ 次世代プラットフォーム、マルチクラウド管理、エコシステム、プラットフォーム運用管理、Core-Periphery、ID/認証、デジタル情報管理、API 管理
2) プラットフォーム経済理論 プラットフォーム経済、多面的市場モデリング、ネットワーク効果分析、ソーシャルネットワーク分析、API エコノミー
3) サービスネットワーク技術 分散 Web、オーバーレイネットワーク、コンテンツ流通ネットワーク, サービスネットワーク制御、サービスネットワーク運用管理、エッジコンピューティング、自律分散ネットワーク
4) サービスネットワーク技術応用 WoT、M2M・IoT、ICN/NDN、サイバーフィジカルシステム、テストベッド、ブロックチェーン

活動期間

2019年5月1日 ~ 2025年3月31日

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