IEICE ICT PIONEERS WEBINARシリーズ~第79弾~
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主催:(一社)電子情報通信学会サービス委員会
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講演内容
本講演では,私が研究者として歩んできた中で,「マトリクス理論」と「アレー信号処理」という二つの学問領域がどのように結び付き,発展してきたかを振り返るとともに,それらが切り拓く無線通信・信号処理技術の未来について述べる.
まず,大学院時代におけるマトリクス理論との出会いを起点として,アダプティブアレーへの応用を通じて,固有値問題や最適化理論が実際のアンテナ信号処理にどのように活用されるかを紹介する.続いて,到来方向(DOA: Direction of Arrival)推定における高分解能信号処理技術について述べ,部分空間法をはじめとする代表的なアルゴリズムの考え方とその発展について解説する.
さらに,MIMO (Multiple-Input and Multiple-Output) およびマルチユーザMIMO通信への応用に触れ,多数アンテナ時代におけるマトリクス理論の重要性と,空間信号処理が果たす役割について論ずる.
本講演を通じて,線形代数などの基礎数学と実際の通信技術との深い関わりを示すとともに,研究分野を横断して発想を広げることの重要性について,若手研究者や学生へのメッセージも含めて紹介したい.
CS会長 高橋 徹様からの紹介文
今回のPioneers Webinarには、本会次期会長でもある菊間信良先生をお招きします。
菊間先生は、アレー信号処理の国内随一の研究者の一人として長年研究活動に従事され、数多くの研究成果を創出されてきており、今なお新たな研究に精力的に取り組まれております。また、先生の主著である「アダプティブアンテナ技術」、「アレーアンテナによる適応信号処理」は当該分野のバイブルとして知られており、技術の発展だけでなく研究者の育成にも大きな貢献をされてきました。さらに、先生はアレー信号処理にとって強力なツールでもある線形代数に対する造詣も深く、本会アンテナ・伝播研究専門委員会主催のワークショップ「アンテナ・無線システムのための線形代数」で講師を務められるなど、若手研究者や学生のスキルアップにも貢献されてきました。その話しかけるような柔和な語り口と独自の哲学が織りなす先生のご講演は、わかりやすいだけでなく、示唆にも富み、私を含めた多くの者を魅了してやみません。
今回のご講演のテーマである「マトリクス理論」(線形代数)と「アレー信号処理」は、まさに菊間先生のライフワークとも言うべきテーマになります。過去から現在、そして未来へと存分に語っていただきますので、独特な哲学が醸し出す菊間先生の世界観を是非ともお楽しみください。
講師略歴

菊間信良
1982年名工大・工・電子卒.1987年京大大学院博士課程了.工博.同年同大助手.1988年名工大助手,2001年同教授,2025年同大学名誉教授.同年,東京都立大学特任教授・客員教授,岩手大学客員教授ならびに日本工業大学客員研究員,現在に至る.適応アレー信号処理,電波源推定,MIMO通信,MIMOレーダ等に関する研究に従事.2006年本会論文賞,2024年本会功績賞,2026年「電波の日」総務大臣表彰等,受賞.2020-2021年本会通信ソサイエティ会長(理事),2021-2023年本会総務理事,2026年本会次期会長.