IEICE ICT PIONEERS WEBINARシリーズ~第77弾~
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主催:(一社)電子情報通信学会サービス委員会
量子コンピュータの時代にも安全に使える暗号技術
―公開鍵暗号の現在・過去・未来―
高木剛(東京大学)
【開催日時】2026年7月7日(火)14:00~15:00
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講演内容
現代社会では、電子決済、個人認証、電子署名など、さまざまな場面で暗号技術が利用されている。一方で、代表的な公開鍵暗号であるRSA暗号や楕円曲線暗号は、量子計算機の大規模化により安全性が損なわれる可能性がある。
本講演では、RSA暗号と素因数分解問題を例に、公開鍵暗号の安全性の考え方を概説し、Shorのアルゴリズムによる量子計算機の影響を紹介する。さらに、米国国立標準技術研究所(NIST)による耐量子計算機暗号の標準化動向、格子暗号とLWE問題、Harvest now, decrypt later問題などを取り上げ、量子計算機時代に向けた暗号技術の移行と今後の展望について述べる。
ESS会長 岩本貢先生からの紹介文
世界中で量子計算機の研究開発が進んでいます。量子計算機が広く利用される時代になると、ある種の計算が非常に高速になるといった良い面もたくさんありますが、困ったこともあります。その代表例が暗号の安全性です。公開鍵暗号や電子署名などの技術の安全性は、素因数分解問題などの解くことが極めて困難な問題の存在を安全性の根拠にしています。現在の計算機では現実的な時間内に解くことが困難な問題であっても、十分大規模な量子計算機が実現した場合には、飛躍的に短時間で解ける可能性があるためです。
このような状況を解決するために、量子計算機が広く利用されるようになっても安全性が保証できる「耐量子計算機暗号」の研究が進んでいます。これは単なる理論的な話ではなく、実際に、現在の公開鍵暗号を耐量子計算機暗号へ移行する試みも始まっています。特に、2016年に公募がアナウンスされた米国国立標準技術研究所(NIST: National Institute of Standards and Technology)の耐量子計算機暗号標準化計画は、重要なターニングポイントとなっています。
今回のITC Pioneer Webinarでは、耐量子計算機暗号に関して日本を代表する研究者である東京大学の高木剛先生をお招きし、現在用いられている公開鍵暗号の基本的な考え方から,NISTによる標準化,耐量子計算機暗号への移行動向、そして今後の展望についてご講演いただきます。
講師略歴

高木剛
東京大学大学院情報理工学系研究科教授。1995年名古屋大学大学院理学研究科修士課程修了、2001年ダルムシュタット工科大学博士号取得。NTTソフトウェア研究所、ダルムシュタット工科大学、公立はこだて未来大学、九州大学を経て2017年より現職。平成25年度電子情報通信学会業績賞、第11回日本学術振興会賞受賞。