IEICE ICT PIONEERS WEBINARシリーズ~第60弾~

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主催:(一社)電子情報通信学会サービス委員会

量子情報通信の現在と未来

武岡 正裕(慶應義塾大学 理工学部)

【開催日時】2025年2月21日(金)16:00~17:00

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講演内容

 量子力学の原理を直接情報処理に活用する、いわゆる量子情報技術の研究開発が世界中で活発に行われ、社会でも注目され始めています。量子情報技術は、ある種の問題を超高速に計算可能な量子コンピュータ、従来の測定感度限界を超える量子センシング、あらゆる計算機で解読不可能な量子暗号を含む量子情報通信、の3つの柱からなるとされています。
 本講演では、講演者がこれまで中心的に関わってきた量子情報通信を中心に、その技術の現状と将来像、また情報科学としての意義などを紹介させていただきます。実用化が進む量子暗号ネットワーク技術や、量子暗号にとどまらない量子ネットワークの将来像について、技術の詳細は避けて、概要の議論をしたいと考えています。
 量子情報の概念や基礎理論は1960~80年代から研究され始め、約半世紀の基礎研究期間を経て、近年の周辺技術の進展により、現在では学術界・産業界が一体となった研究開発が急速に展開されています。一方、歴史ある情報通信分野から比べれば、実用化の観点でも、学問的にも、まだまだ未成熟な青年期にある分野であることも事実です。特に、今の情報社会がそうであるように、量子情報技術の3つの柱(計算・計測・通信)が将来的に融合されることは必然であると考えられますが、その進むべき道は分野の研究者がまだ様々な試行錯誤をしている段階にあり、そのような点についても、ざっくばらんに議論できればと考えています。

平 明德 会計理事からの紹介文

 現在の情報通信技術はいわゆる「古典物理学」に立脚した理論をもとに構築されています。一方、量子力学の世界では、古典物理学では予想できない様々な事象・性質が生じることが知られています。近年、量子力学特有の性質を情報処理やネットワークに適用し、新しい付加価値を生み出す取り組みが活発化しています。盗聴や改ざんが不可能な量子暗号通信、飛躍的な演算速度の向上を狙う量子コンピュータなどが挙げられます。
 本Webinarでは、量子力学と情報通信技術を融合させた量子情報通信に焦点を当て、これまでの技術開発の経緯と現状、さらに将来に向けた方向性について、慶應大学 武岡先生にご講演いただきます。

講師略歴

武岡 正裕

武岡 正裕

2001年慶大・博士課程修了。同年より情報通信研究機構(NICT)に入所し、以来、量子情報通信・光量子情報処理の研究に従事。総務省勤務、Raytheon BBN Technologies客員科学者などを経て、2021年より慶大教授。NICT研究統括、デンマーク工科大学Otto Monsted客員教授を兼務。