図6-11 LANの利用形態
最近では、企業内のLANを専用線などを使って接続し、日本全国、あるいは海外の支社とも相互接続した企業内ネットワークが多数出現しています。LANとLANを専用線などのWANを使って接続することを、LANのインターネットワーキングといいます。LANをインターネットワーキングする場合、通常ルータという一種の交換機を使います。これは、一度に多数の端末が同一のWAN回線(専用線など)を使えるようにするための機械で、みなさんが日常利用している電話に電話交換機が必要なのと同じ理屈です。
図6-12のようにLANをTCP/IPプロトコルという通信規約を用いて相互接続した場合、メールもファイル転送もインターネットで使用しているプログラムを使って行うことができます。FTPサーバも作ることができますし、使用機材もUNIXマシン、ルータ等インターネットと同じものを使って構成できます。一見インターネットのように見えます。
図6-12 TCP/IPによるLANのインターネットワーキング
それでは、LANのインターネットワーキングとインターネットとはどこが違うのでしょうか? LANのインターネットワーキングは、図6-13のようにインターネットで使用しているTCP/IPプロトコル以外にも、パソコンLANなどでよく利用されているNetWare等、種々のプロトコルが利用されている点と、番号計画がなく企業内で勝手なアドレスを割り振って運用できる点が違います。よくある、パソコンLANの失敗例は、東京と大阪の事業所で独自に導入していたパソコンLANを専用線を引いて相互接続しようとしたところ、ネットワーク・アドレスがかち合っていたり、使用プロトコルが違っていたりして通信できないことです。数十人規模ではうまく行っていたパソコンLANが、数千人規模で失敗する例が多いのはこのためです。
図6-13 インターネットとLANのインターネットワーキングの相違点
これに対して、インターネットの場合は、単一のプロトコルTCP/IPに基づき、NICによって全世界的に管理されたアドレス(IPアドレスといいます)で通信します。同じ電話番号が世界中で1つしかないように、インターネットのIPアドレスも世界中で1つしかありません。ですから、ネットワーク・アドレスの重複により通信できないといった障害は原理的には起こりえないのです。
また、パソコンLANは、インターネットのTCP/IPではなく、NetWareなどの独自のプロトコルで通信しています。このため、インターネットで使っている通信ソフトは使えません。メール、FTP、TELNET、WWWといったインターネットのソフトはパソコンLANの上では通常使えないのです。パソコンLANでもメールが使えるって?それは、インターネットのメールではなく、特殊なゲートウェイを設けてインターネットと取りあえず通信できるようにした独自のメールソフト(例えばcc:Mail)なのです。