第1章 インターネットを始めましょう
インターネットを楽しむには、インターネットプロバイダに加入する必要があります。あなたの加入するプロバイダは日本のあるいは世界の他のプロバイダと接続していますから、そのプロバイダを経由して、日本あるいは世界へとアクセスすることができます。第6章で少し詳しく説明しますが、実は、インターネットとはプロバイダの集まりなのです。
本書ではインターネットプロバイダとして、KCOMを例にして解説しますが、本書の内容自体は他のプロバイダにも適用できます。ここでは、プロバイダを選ぶときのポイントを述べます。
1.2 インターネットプロバイダを選ぶ
1.2.1 プロバイダ選びの基本は通信料金
インターネットプロバイダは、インターネットのWWWや電子メールを提供しますが、プロバイダまでの接続は提供しません。電話やISDNでプロバイダにアクセスした場合、電話やISDNの通信料金はプロバイダとは別に、電話会社(NTTなど)に支払わなければなりません。そこでインターネットを経済的に楽しむには、「通信料金をいかに安くするか」がポイントになります。いくつかのコツを以下にまとめましたので、参考にしてください。
図1-6 プロバイダ選びのポイントは?
(1)近くにアクセスポイントがあるプロバイダを選ぶ
アクセスポイントとはプロバイダが提供する電話の受け口、つまり電話番号です。自宅の近くにアクセスポイントがあるプロバイダを選ぶのが基本です。プロバイダは、さまざまな形で全国展開を行っていますので、直近のアクセスポイントの計画を調査しましょう。アクセスポイントが自分と同じ市内にあれば、市内料金で接続できます。また、次に述べる「テレホーダイ」などのサービスにも有利です。
(2)「テレホーダイ」などのサービスを使う
例えば「テレホーダイ」はNTTのサービスの一つで、月額1,800円を支払うと夜11時から朝8時までの電話がかけ放題になるサービスです(表1-1)。定額制ですので、通信時間を気にしなくてもよくなります。夜に強い人にはお勧めです。
表1-1 NTTのテレホーダイサービスの料金
(3)いろいろな通信会社を使う
出張にパソコンをもっていって、モバイル・ワーキングをするような方は、全国から安くアクセスできる手段を確保しておくことは重要です。最近は電気通信の自由化が進んで、さまざまな通信会社がサービスを提供しています。
(4)速いモデムを使う
遅いモデムを使うとWWWの絵の表示に時間がかかって、通信料金がかさみますし、見ていてイライラします。WWWを楽しむのでしたら少なくとも33.6kbpsのモデムにしましょう。ただし、遠距離通信などで、電話回線の品質が悪いと33.6kbpsの速度がでません。そのような場合は、思いきってISDNに切り替えましょう。
(5)ISDNに切り替える
ISDNにすると、通信速度が64kbpsとモデムの2倍以上となります。さらに今後は、128kbpsの利用が一般的になりつつあります。また、ISDNのアクセスポイントで、電話(モデム)でもISDN(TA)でも接続できる方式のプロバイダが増えてきています。自宅の近くにISDNアクセスポイントがあるかどうか確認しましょう。もちろんISDNでも「テレホーダイ」が使えます(表1-1)。
ISDNのもっと基本的な利点は、2回線使えること、つまりインターネット接続中でも電話が使えることです。インターネットの使用時間が長く、大事な電話を受けそこねそうな人はISDNに切り替えましょう。実際に、奥様からの「インターネット中は電話が使えない」という声でISDNに切り替える方が増えています。
1.2.2 プロバイダ選びのポイント
プロバイダを選ぶときのポイントの一つは、前節で述べた通信料金、つまりアクセスポイントが近くにあるか、全国から安くアクセスできるか、などです。もちろん、プロバイダ選びのポイントは通信料金だけではありません。ここでは、他のポイントを見ておきましょう。
(1)インターネットはパソコン通信ではない
ときどき誤解されている方がいますが、インターネットはパソコン通信とは違います。だから、パソコン通信に加入してもインターネットへはアクセスできません。インターネットのプロバイダに加入する必要があります。ただし、最近はパソコン通信でも、インターネットへのWWWアクセスができるようなメニューを提供している業者があります。また、パソコン通信とインターネットとの間で、電子メールのやりとりを提供している業者もあります。
パソコン通信でWWWアクセスする場合、そのアクセス方法はパソコン通信の業者独自のものになります。このため、本書では、パソコン通信からのWWWアクセスは解説しません。また、インターネットとの電子メールでも、「文書の添付ができない」などの制約の可能性があります。今までパソコン通信に加入していなくて、これからインターネットを始められる方は、インターネットプロバイダを選ばれた方がいいでしょう。
(2)電話がつながりやすいこと
プロバイダのアクセスポイントは、何本かの電話回線をまとめた代表番号になっています。プロバイダは電話回線の1回線あたり複数の加入者(N人としましょう)をサービスします。この仕組みは6.2節で説明しますが、1回線あたりの加入者数Nが多いと、電話がつながりにくいことになります。プロバイダによっては、このNの値を公表しているところがありますので、これを参考にしましょう。Nが10人くらいならば、かなり余裕があると見ていいでしょう。
(3)定額制と従量制の料金を使い分ける
プロバイダの料金は、おおむね定額制(例えば、5時間まで5000円)と従量制(例えば、5時間を超えたら1分10円)の組合せになっています。定額制のみ、あるいは従量制のみのプロバイダもあります。また、プロバイダはいくつかの組合せをメニューにしていますから、あなたの使い方からみて適正なプロバイダとメニューを選びましょう。
図1-7 インターネット料金は定額制と従量制の組み合わせが多い
(4) 安いところは品質が悪い?
プロバイダの料金はさまざまですが、各プロバイダはそれなりの理由があって料金を設定しているはずです。安いところが品質が悪い、とは必ずしもいえません。しかし、安いところには多くのユーザが集まって、その結果つながりにくくなる、ということもあります。一つのプロバイダに決めても、その後のつながり具合とかサービス品質のモニタも重要です。
(5)ホームページ提供サービス
いずれホームページをもちたいと考えておられるならば、ホームページの提供を行っているプロバイダを選びましょう。特にWWWの分野は技術の進歩が激しい分野です。ホームページ作成に際して、新しい技術をサポートしてくれるようなプロバイダを選んでおくことが重要でしょう。
(6) プロバイダの情報は雑誌で集める
日々新しいプロバイダが現れたり、新しい料金メニューが発表されたりしています。プロバイダの最新の情報は、もちろんインターネット上のWWWで公表されていますが、最初にインターネットに加入しようとする人は、WWWにアクセスできません。そのような方は、インターネット関連の雑誌をごらんになるとよいでしょう。プロバイダとその料金一覧などが掲載されています。
(7)プロバイダに申し込みを行う
プロバイダへの加入の申し込みは、電話やファックスで行います。また、モデムをつないで、そのまま加入申し込みを行う(これをオンラインサインアップといいます)ことができるプロバイダもあります。オンラインサインアップは、通常クレジットカードでの受付けとなっているようです。
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