第1章 インターネットを始めましょう



 毎日の新聞にインターネットやWWW(World Wide Web)の文字を見ない日はない、という時代になりました。WWWで情報発信する個人が激増しています。また、企業内のネットワークはインターネットを利用したイントラネットへと進み始めました。情報ハイウェイやマルチメディアなどの、新しい波が来ているのです。

 もちろん、WWWだけがインターネットではありません。むしろ、従来のインターネットは、電子メールやファイル転送などが主流であり、WWWはここ数年で急に広まってきた技術です。でも、WWWによって、インターネット上の情報流通が飛躍的に拡大し、インターネット上で交流する人口も、専門家から一般の人々へと拡大しました。つまり、「WWWはインターネットへの参加形態を質的に変革し、草の根からの情報ハイウェイやマルチメディア技術発展の礎になっている」といっていいでしょう。

 インターネットやWWWがこのような性格をもつ以上、これを紙の上で理解するのではなく、ぜひ、みなさんにも参加していただきたいと思います。この本は、そのような主旨から書きました。まずは、WWWからインターネットの世界へ入ってください。インターネットの上で、たくさんの人々が自由活達に情報交換しているのが見えます。そして、気にいったテーマを探して、電子メールで参加してください。さらには、あなたがWWWのホームページをつくって、世界に情報を発信してください。インターネットは、みんなが参加する世界です。

 ところでWWWの読み方です。「ワールド・ワイド・ウェブ」や「ダブリュ・ダブリュ・ダブリュ」の英語読みがフォーマルですが、もっとカジュアルに「ウェブ」という読み方がありますので、こちらをお勧めします。

 では、インターネットとウェブの世界へどうぞ。


1.1 WWWからインターネットの世界へ入ろう

1.1.1 インターネットアクセスの2つの方法

 インターネットとWWWの世界の、全体のイメージを頭にいれましょう。図1-1を見てください。あなたの端末からインターネットへアクセスするには、大きく2通りの方法があります。

 第一の方法は、端末が自宅などにあって、電話などでインターネットへ接続する場合です。これをダイアルアップアクセスあるいはダイアルアップIP(Internet Protocol)接続といいます。個人でインターネットへ参加するときの一番ふつうのアクセス方法です。

図1-1 インターネットとWWWアクセス

 本書では、「第1章 インターネットを始めましょう」でプロバイダの選び方、モデムなどの購入の注意や接続を説明します。インターネット接続の方法を、Windows95の場合は「第2章 Windows95でインターネットへ接続」で、Macintoshの場合は「第3章 Macintoshでインターネットへ接続」で説明します。インターネット接続とWWWアクセスに必要なすべてのソフトウェアが、添付のCD-ROMに入っています。本書の第1章を読み、第2章あるいは第3章に従って設定すれば、2時間でインターネットアクセスができます。

 インターネットアクセスの第2の方法は、あなたの端末が会社や大学のネットワーク(LAN:Local Area Networkといいます)に接続されている場合です。この場合のインターネットへの接続は、そのLANを管理しているネットワーク管理者に聞いてください。本書の第2章あるいは第3章に相当する部分は、LANからのアクセスで代替されます。

 本書の「第4章 WWWで世界の情報にアクセス」ではWWWの使い方を、「第5章 電子メールを使いこなす」では電子メールの使い方を説明します。これらを終了した人は、「第6章 やさしくわかるインターネットの仕組み」を読んでください。インターネットの仕組みが少し理解できて、インターネットアクセスがちょっと楽しくなります。ここまでが初級編です。

 初級編を卒業したら、WWWで自分のホームページを作りましょう。「第7章 WWWのホームページを作る」から「第9章 ホームページをプロバイダのサーバへ登録する」までは、ホームページの作り方です。自分でホームページを作って、プロバイダのサーバに登録するまでを説明します。特に、写真やムービーなどの扱い方を、やさしく解説します。

 この本は上級者向けには書かれていません。実は、インターネットの上級者になるには書籍は不要なのです。ネットワーク上でWWWや電子ニュースを読んだり、新しいWWWの使い方を自分で試したり、などが上級者への道です。本書では、第10章から第12章で上級者になる方法を説明します。

 ところで、インターネットを楽しむためには、ある程度はパソコンを使いこなせることが必要です。本書では、だいたい、以下のようなことをできる方を対象にしています。

  1. Windows95 あるいはMacintoshのデスクトップ上で、新しいファイルやフォルダの作成、コピー、削除、フロッピーへの保存などができる。
  2. ワープロソフトで手紙が書けて、新しい文書の作成、コピー、削除、フロッピーへの保存ができる。
  3. できればWindows 95 のショートカット、Macintoshのエイリアスが使える。

1.1.2 ダイアルアップIP接続のために必要なもの

 ダイアルアップIP接続の仕組みについて、図1-2を参考にもう少し詳しくみながら必要な装置などを確認しましょう。

図1-2 ダイアルアップ・インターネットに必要なもの

(1)パソコン

 インターネットを楽しむには特に高性能・高価なパソコンは必要なく、10〜30万円くらいの、ごく普通のもので十分です。現在お持ちのパソコンでかまいません。

 パソコンの形はデスクトップ形やノートブック形、あるいはモニタ一体形などいろいろありますが、置場所と好みで選んでください。WindowsとMacintoshのどちらでもかまいません。本書添付のCD-ROMのソフトウェアを利用するために、CD-ROM装置が内蔵されいることが必要です。

 本書ではWindowsについては、基本ソフトとしてWindows95搭載パソコンについて説明しています。Windows98でも基本的な部分はそのままです。Macintoshについては、基本ソフトとして漢字Talk7.5以上を前提にしています。

(2)インターネットプロバイダ

 インターネットプロバイダは、みなさんのパソコンをインターネットに接続してくれるところです。ここ数年のインターネットブームによって、日本では今300社とも1000社ともいわれるくらいのプロバイダがあります。その中からいいプロバイダを選んで加入しなければなりません。そこで、1.2節では、プロバイダの選び方などを説明します。なお、インターネットプロバイダは、ネットワークプロバイダ、インターネットサービスプロバイダ、ISPとも呼ばれます。

(3)モデムあるいは端末アダプタ(TA)

 電話経由でインターネットへ接続する場合には、モデムが必要です。WWWを楽しむには通信速度33.6kbps(kilo-bit-per-second、一秒間に33.6キロビットのデータを伝送できるということ)あるいは56kbpsのモデムを用意しましょう。最近ではモデム内蔵のパソコンもありますが、通信速度が少なくとも33.6kbpsのモデムがついているパソコンにしましょう。1.3節でモデムの買い方と接続方法を説明します。

 電話回線をISDN(Integrated Services Digital Network:NTTはINSネット64サービスと呼んでいます)に替えて、モデムの替わりに端末アダプタ(TA:Terminal Adapter)を使うと、通信速度が64kbpsになり高速アクセスが可能になります。インターネットアクセスもISDNの利用が広まりつつあります。1.4節でISDNとTAの使い方を説明します。

 最近では、持ち運びできる小型のパソコンが安く入手できるようになってきました。小さなパソコンとモデム、そして携帯電話あるいはPHSがあれば、いつでもどこでも電子メールを出したり読んだりできます。1.5節では携帯電話やPHSからのインターネットアクセスを説明します。

(4)ソフトウェア

 インターネットにアクセスしてWWWや電子メールを楽しむには、以下のようなソフトウェアが必要です。

図1-4 インターネットを楽しむにはいろいろなソフトが必要

  1. インターネットに接続してデータを伝送するためのソフト : Windows95あるいはMacintoshに標準で組み込まれています。このソフトが組み込まれていないMacintoshでは、CD-ROMに添付したソフトを使います。設定方法は第2章と第3章で説明します。

  2. WWWを楽しむソフト : インターネットにアクセスしても、そのままではWWWや電子メールは使えません。インターネットではパソコン通信と違って、つないだ後に「メニュー」は出てきません。WWWや電子メールの専用のソフトを起動する必要があります(図1-4)。WWWアクセスのソフト(これをWWWクライアントあるいはブラウザといいます)は、いろいろなものが出回っていますが、本書では、マイクロソフト社のインターネットエクスプローラというソフトウェアを使います。WWWクライアントとして、インターネットエクスプローラと並んでよく使われているのが、ネットスケープ社のネットスケープナビゲータです。両者で設定方法は少し違いますが、使い方や機能はほとんど同じです。

  3. 電子メールのソフト : 電子メールのソフトもたくさんあります。最近ではWWWクライアントで、そのまま電子メールが使えるものもあります。本書では、EUDORA PROというソフトを使って説明します。WWWと同じく、電子メールも原理が理解できれば、いろいろなソフトでも使い方はほとんど同じです。CD-ROMには、いくつかのフリーウェアの電子メールソフトも添付しました。電子メールの設定方法と使い方は第5章で説明します。

(5) WWWのホームページを作成するパソコンとソフト

 WWWのホームページ自体は、どんなパソコンでも作成できます。でも、写真やイラスト、ムービーを操作して、マルチメディア・ドキュメントにするには、Macintoshが便利です。特に最近のMacintoshでは、そのままで家庭用ビデオから写真やムービーの取り込みができる端子が付いていますので、ムービー編集とWWWドキュメント化がかんたんにできます(図1-5)。

図1-5 家庭用ビデオなどから写真を取り込んでホームページを作る

 本書ではドキュメント自体の書き方はパソコンに依存しないで説明しますが、写真やイラスト、ムービーの操作はMacintoshを使って説明します。システムとして漢字Talk7.5が望ましいです。性能は高い方が望ましいのはもちろんですが、そのようなMacintoshはちょっと個人用としては高価です。Macintoshがムービーを編集している間、ゆっくりコーヒーを飲む余裕のある人は、ごく普通のMacintosh(20〜30万円)にしましょう。

 でも、ビデオ端子付きのMacintoshがなくても大丈夫です。WWWサーバには、イラストや写真を集めて提供しているものがあります。それらを集めて使いましょう。本書では、そのようなイラストや写真を集めているホームページも紹介しています。また、ホームページを作成するためのWindows95とMacintoshのソフトはCD-ROMに入っています。


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