テーマ:「データ市場特集Ⅲ:コミュニケーションによるデータ価値化とエクスチェンジ」および一般 bookmark

電子情報通信学会 人工知能と知識処理研究会の2月研究会では、「データ市場特集Ⅲ:コミュニケーションによるデータ価値化とエクスチェンジ」と題し、データ利活用によるイノベーションを開花させていくためのコミュニケーション技法、データ価値化手法、認知プロセス、データ市場デザインに関する論文を広く募集いたします。

データ市場とは、データの公開・共有を強制するのではなく、市場の原理で利用者が必要なデータを選び、所有者と交渉の末に取引できるプラットフォームです。データ市場は「データは世界の資源、みんなで使おう」という公開派も、「データをオープンにしろと研究者や官僚が言い出してはいるが、現場の事情からすれば出せるわけがない」という非公開派も、その中間的な立場をとる人々も、安心できる条件で必要に応じてデータを交換し、新たなビジネスを生み出すイノベーションの場となります。

近年、世界ではオープンデータの一形態としてWeb上でデータに価格を付して売買するデータ市場も発生していますが、Webページにメタデータを羅列するだけでは異種データのシナジーからイノベーションを実現し続ける社会システムの実現は期待できません。この現状を打開するため、本特集テーマの提案委員らは、データ市場を創成するための仕組みについて議論してきました。国内外の学会活動としても当学会の他、IJCAI2015(Chance Discovery, Data Synthesis, Curation and Data Market)、ECAI(European Workshop on Chance Discovery and Data Synthesis 2012, 2016)、ICDM(Workshop on Designing the Market of Data: MoDAT2013, 2014, 2015, 2016)、情報通信学会研究会2014「創造的社会システムとしてのデータ市場のデザイン」、ヒューマンインタフェース学会2015;企画記事「データジャケットを用いた市場型ワークショップの展開」などを開催しています。

これら研究成果を、実社会へ適用する活動も積極的に展開し、経済産業省「データ駆動型イノベーション創出戦略協議会」、「先端課題に対応したベンチャー事業化支援等事業(データ利活用促進支援事業)」、データエクスチェンジ・コンソーシアム(DXC)のほか、国土交通省「国土交通行政に資するビッグデータの活用に関する調査業務」などに実地適用されるに至りました。この様に異種データを結合する分析や事業を展開する場合、関連ドメインが複雑かつ広域にわたるため、多様なステークホルダの価値観、制約、前提を反映したシナリオ創出が必要となります。今回の研究会では、このような要請を満たすようなデータ市場の設計、またこれに資する多様なデータからの価値の発見と定量化、異種データのシナジーを活用したシステムデザイン、データ融合・デザインロジック(論理)、人の都合(価値観・制約・前提)を扱うシナリオ創出方法について、人工知能、知識処理、法制度意識を含む多様な視点から議論します。

本研究会では、わが国において世界をリードする視点で開拓したデータ市場設計について理論・技術の基礎、実験、実践をまとめた書籍「データ市場」の出版記念として近代科学社の小山透社長にご挨拶をお願いしています。また、岡山県を中心に価値創発ワークショップを継続されている就実大学の林俊克先生に招待講演をお願いしています。

1. データ市場の環境デザイン
ア)  データの表現、モデリング、オントロジー構築
イ)  情報アーカイブ,データベースの設計と構築
ウ)  データコンテンツの記述方法(データジャケット)およびこれらの生成・蓄積

2. データのアナリシスとシンセシス
ア) データ活用サービスとデータ提供
イ) 大規模/中規模/小規模のデータにおける検索,分析, 統合, 可視化
ウ) セキュリティ、信頼性、プライバシーのためのデータ管理, 分析
エ) データ融合活用のための手法・ツール

3. データを用いたシステムデザイン手法
ア) デザインロジックの妥当性・健全性の検証手法
イ) システム設計のための要求獲得
ウ) ステークホルダの都合を踏まえたシステムデザイン手法
エ) システムデザインの支援手法・ツール

4. データ市場における人の営み
ア) 創造的コミュニケーション環境のデザイン
イ) マーケティング、市場経済とその理論
ウ) 教育システム、教育支援技術
エ) 認知科学、創造性の理論
オ) データ市場における実務事例とその分析

古いようでまだまだ変化と革新の可能性に満ちた新しい分野ですので、確立した問題ではなく、愚問と揶揄されるほど発しにくい問題にチャレンジする論文も、敢えて果敢に歓迎します。

さらに、本テーマとは別に、AIと知識処理一般のご発表も大歓迎ですので、奮ってお申し込み下さい。なお、研究会終了後には「交流会」も予定していますので、こちらへの参加もよろしくお願いいたします。

日程と会場 bookmark

  • 【日程】 2017年2月18日(土)11時〜17時(開始時間等は,変更の可能性あります)
  • 【会場】 就実大学S館 S512講義室
    〒703-8516 岡山県岡山市中区西川原1丁目6-1
  • 【共催】 日本発「データ市場」(近代科学社)出版記念会
       イノベーション・システム研究環(~愚人の輪~)

申込方法 bookmark

発表のお申込みは以下のURLからお願い致します (氏名、所属、論文タイトル、アブストラクト100~200字).

申込締切 bookmark

2016年11月14日(月)

原稿締切は開催日の3週間前頃になります。正確な日程については、プログラム確定後、学会事務局から連絡差し上げます。また、原稿フォーマット等、その他規定については、下記ページをご参照下さい。

研究会発表・参加方法・FAQ bookmark

http://www.ieice.org/jpn/toukou/kenkyukai.html

プログラム bookmark

2月18日(土)
10:00-10:15
ご挨拶:「データ市場」研究の発展に寄せて
小山 透(近代科学社)

【セッション1:データ市場の生む価値 10:15-12:15】
(1) 10:15 - 10:45
データ市場における第三種の特徴量獲得 ~ チャンス発見の場の設計学 ~
○大澤幸生(東大)

(2) 10:45 - 11:15
データジャケットを用いたデータ価値化プロセスに関する実験的考察
○早矢仕晃章・大澤幸生(東大)

(3) 11:15 - 11:45
多分野にわたる研究インパクトの評価法の検討
○村岡恒輝・山内雄太・野中尚輝・早矢仕晃章・今泉允聡・金 善右・松並研作・Lee H.W.・鎗目 雅(東大)

(4) 11:45 - 12:15
ナラトロジーと創造性
○阿部明典(千葉大)

--- 昼休み ( 60分 ) ---

13:15 - 14:00
[招待講演]未来を創造する会議「フューチャーセッション」 ~ イワシのリーダーシップで創造的コミュニケーション環境をデザインする ~
林 俊克(就実大)

【セッション2:データ市場における取引 14:00-15:00】
(6) 14:00 - 14:30
データ取引の商用利用のリファレンスモデル
○中村 潤(芝浦工大)・伊藤龍史(SEC)

(7) 14:30 - 15:00
データ市場における出品者・購入者の情報登録に関する実務課題の類型
○上島邦彦(J-DEX)

【セッション3:データ市場に由来するデータ分析モデル 15:00-16:30】
(8) 15:00 - 15:30
拡張ゴールグラフと異種混合学習を用いたフィールドデータからのビル電力需要予測モデル
○久代紀之・福田亜実(九工大)・妻鹿利宏(三菱電機ビルテクノサービス)・清水拓朗(九工大)

(9) 15:30 - 16:00
時系列データ可視化によるテニス選手の戦略分析
○吉鷹伸太朗・大澤幸生(東大)

(10) 16:00 - 16:30
トピックモデルを用いた顧客行動分析と商品DNA作成手法の提案
○江本 守・大澤幸生(東大)

--- 小休憩 ( 5分 ) ---

16:35 - 17:45
エンドレス討論:データ市場はAIが仕切るのか?
ファシリテータ:早矢仕・大澤 → 懇親会に続く

参加費 bookmark

無料 (ただし予稿集と懇親会は別途有料)

問い合わせ先 bookmark

メールのタイトルに「j-modat:」と記載し、下記のアドレスに送付ください。

  • 大澤 幸生(Ohsawa, Yukio) 東京大学大学院・工学系研究科
    info at panda.t.u-tokyo.ac.jp (秘書と兼用)