第27回 回路とシステムワークショップ奨励賞受賞者ならびに受賞理由


An分科会

講演者
佐藤 雅俊(首都大学東京)
題目
複数の最小カットを持つネットワークに対する節点電圧を用いた最小カットセッ ト算出手法
受賞理由
本発表では,複数の最小カットを持つネットワークに対する節点電圧を用いた最 小カットセット算出手法を提案している.本手法は非線形抵抗回路解析を利用す るという点で従来法とは全く異なっており,これまで困難とされていた複数の最 小カットを効率的に求めることができる.以上により,本手法の新規性と有効性 は高く評価でき,工学アプリケーションへの応用も期待される.また,同氏のプ レゼンテーションは明快であり,質疑に対する回答も的確であった.

As分科会

講演者
木村 和紀(株式会社シンセシス)
題目
高次元回路歩留まり解析高速化のための最急降下法を用いた不良領域探索
受賞理由
本発表では,集積回路の歩留まり解析における不良領域探索の高速化,及びばら つき精度の向上を行う手法を提案している.探索位置の改良方法と最急降下法を 組み合わせた提案手法には新規性があり,解析の高速化と精度向上という有効性 が適切な評価により示されている.発表においては,提案手法の理論,有効性, 評価に関する説明が明快であり,質疑に対する回答も適切であった.

Ba分科会

講演者
小國 一道(神戸大学)
題目
PWM制御方式を用いた時間分解能型ADコンバータの低電力化
受賞理由
発表では,デュアルループを用いた時間分解能型ADコンバータの低電力化手法が 提案され,理論的に有効性も示された.発表は分かりやすく,質疑応答では的確 に回答しており,研究内容について大いに議論された.実装においてはさらなる 解析や比較,検討が必要になるが,今後の進展を期待したい.

Bd分科会

講演者
會見 春奈(東京電機大学)
題目
個体再配置によるIIRフィルタ設計における早期収束回避
受賞理由
IIRフィルタの設計は多くのローカルミニマムが存在し,解くことが困難な非線 形問題である.発表者は,PSOと呼ばれる一種のヒューリスティックアプローチ によってこの問題の解決を図っており,探索初期にローカルミニマムに陥らない ような「個体再配置」なる新たな戦略を提案している.論文の構成も明確であり, また,いつかの設計例において有効性が示されている.ポスターでの説明も明快 であり,質問に対する回答も的確であった.さらに,他分科会の聴講者からも, 分かりやすい発表であったとの意見が寄せられた.

C分科会

講演者
城 怜史 (東京大学)
題目
ハードウェアの機能故障モデルの検出テストパターン生成手法とそのカバレッジ 分析手法
受賞理由
本発表では,回路中の全てのゲートに含まれる Functionally Observable Fault (FOF)を検出するためのテストパターン自動生成手法と,FOFのカバレッジ分析手 法を提案している.提案するカバレッジ分析手法により,従来の縮退故障検出パ ターンやランダムパターンが,いかにFOFを検出できていなかったが明確になっ ており,提案手法の有効性が十分に示されている.査読段階における高評価に加 えて,発表がわかりやすく,質疑応答も的確であった.

D分科会

講演者
西岡 潤(埼玉大学)
題目
逆探索に基づくpmgタイリングの列挙
受賞理由
本発表では,2次元平面上のタイリング方法の1つであるpmgタイリングが可能な ポリオミノの効率的な列挙法を提案している.列挙対象が内包する木構造を利用 し,逆探索を用いることで,過去の研究に対し計算時間の効率化と計算領域の削 減を図っている.研究・応用の側面から興味深い問題であり,その定義と証明の 説明も明確であった.さらに,発表・質疑応答ともに質の高いものであった.