第25回 回路とシステムワークショップ奨励賞受賞者ならびに受賞理由


An分科会

講演者
麻原 寛之(大分大学)
題目
周期的な境界を有する衝突振動系に対する安定性解析手法の提案
受賞理由
同氏らは,状態や時刻に依存してシステムが切り替わる断続力学系のうち,特に周期的な境界を有する断続力学系における解の分岐現象を解析する手法を提案した.本ワークショップ論文集に掲載された論文には,本研究の背景,提案手法の導出法,周期的な境界を有する衝突振動系に対する適用結果などが理路整然とまとめられており,本提案法の新規性,正当性,および有効性を充分に評価できる.また,本論文の内容のみならず同氏のプレゼンテーションも明快であり,かつ聴衆からの質疑に対する回答も的確であった.

As分科会

講演者
加藤 弘之(中央大学)
題目
一般化線形相補性理論と整数計画法を用いた区分的線形抵抗回路の完全解析
受賞理由
本発表では,一般的な回路シミュレータが不得意とする複数解を持つ回路の解法として,回路記述を混合整数計画問題として定式化する手法を提案している.解集合が連続集合となる回路などを例として,すべての解を求める完全解析を検証している.プレゼンテーションは優れており,質問に対して明瞭に回答していた.

Bd分科会

講演者
相澤 夏希(新潟大学)
講演題目
混成 Dir LOT を利用した ISTA に基づく画像復元
受賞理由
本発表では,混成Dir LOTを利用した画像の復元法について提案している.画像の劣化モデルを構築し,汎用性のあるフィルタで,ぼけ除去,超解像,画像修復を行うなど新規性が見られた.結果も良好であり発表も明瞭であった.また,質問に対する回答も適切であった.

C分科会

講演者
関根 翔(早稲田大学)
題目
ハミング符号に基づくAESのSEU訂正可能回路の設計
受賞理由
本発表では,近年重要性が増している回路の高信頼化を実現するため,AES暗号化回路を対象に,ハミング符号に基づくSEU訂正可能な回路を設計した.多くの研究ではSEU検出可能であるのに対し,本発表ではエラーの伝搬を引き起こさないよう工夫することで,SEU訂正可能な回路を実現した.評価実験より,従来のTMR設計のみの回路と比較して回路規模を約半分に削減できるなど,大きな研究成果を上げたと言える.また,発表では提案内容が論理的かつ非常に丁寧に説明されており,質疑応答も優れていた.

D分科会

講演者
山中 克久(岩手大学)
題目
Compact Codes of Rooted Trees
受賞理由
この発表は,根付き木に対するテーブルを用いないコンパクトなコーディングを提案するものである.問題設定・議論の進め方や実験などが明快に示されており,また実験を通じて,25頂点までではあるが情報理論的限界に近い結果を示している.根付き木のコーディングに関する有効な方法を示した研究で,プレゼンテーション・質疑応答も適切であった.今後のこの研究の進化・発展にも,大いに期待するところである.