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内閣府総合科学技術会議および総務省の政策に対しての基本的な提言

電話、テレビ、携帯、パソコン、インターネットなど、19世紀から21世紀にかけてその時代の新しい文明基盤を作り出し、人類社会に貢献したのは、情報通信産業・エレクトロニクス産業であります。そして、それら産業の基盤を支えてきたのが産学の研究開発であり、それを推進した研究者、技術者を長年にわたり横断的に支え、技術進歩を促進したのは電子情報通信学会であります。その学会の立場から内閣府総合科学技術会議および総務省の政策に対して基本的な提言をしたいと思います。

21世紀に入り、放送のデジタル化を契機として通信と放送は一体化されつつあり、その新たな産業パラダイムに向けての真剣な検討が開始されています。さらにICTの保有からICTの利用への変革を促進するクラウドコンピューティングの登場が始まっており、ネットワークも現在のインターネットや新しくサービスが始まったNGNがベースとしているIPパケットの次をねらうポストIPの新世代ネットワークの研究が世界で一斉に始まっております。このように間もなく迎える2010年代はI(情報)とC (通信)の両方に一大変革が生じると考えられております。そのようなICTの大変革に対して、日本発の技術を生み出し、標準化し、世界に普及させることが日本のICT産業の生き残りには不可欠であります。

日本のGDPの伸びを業種別に見ると、ほとんどの産業のGDPが伸びない中で、唯一年率約7%で伸びている産業(平成18年度で約70兆円)がICT産業です。これは、日本が今までICT産業に十分な予算を注ぎこみ、輸出も踏まえて欧米の情報通信産業に対して競争しえる環境を整備してきたからでしょう。この日本の将来に対する投資こそ、日本が将来生き延びる道であり、この方針を枯らしてはならないのではないでしょうか。

政府は科学技術の振興のためにその役割を果たすべきですが、我が国は諸外国に比して科学技術に係る研究開発投資が見劣りしており、民間投資に頼っているのが現状です。今回の予算要求に係る点検作業は、そのプロセスに大いに問題があり、個別事業について存続の可否を判断するだけでなく、科学技術全体の発展について、また、その中で特に知的情報社会をどのように発展させるかというマクロな視点のもと、国はその責務を果たしていくべきであると考えます。さらに次代を担う若者の人材育成が極めて重要でありそれに対する国の支援も必須であります。そのような視点のもと、知的情報社会を確立するための根幹である電子情報通信分野について、その発展に寄与する諸施策を今後も引き続き継続し、より発展させていくべきであると考えます。電子情報通信学会も産官学連携をより強化し、日本のICT技術の発展に貢献する所存であります。

2009年11月27日
電子情報通信学会 会長 青山友紀

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