■シャノンの生涯と業績
〔辻井〕
最初に「シャノンの生涯と業績」ということの概観ですが,田崎先生からお願いします.
〔田崎〕
シャノン(Shannon)が情報理論の創始者として評価されていることに大変興味をもって,彼の生涯を調べてみたら,やはりそれなりのバックグラウンドはあった.エジソン(Edison)の遠縁に当たるというようなことも含めて.しかも,エンジニアとしてのバックグラウンドが非常にあって,数学者というよりむしろ技術者というか,彼の真骨頂はエンジニアの時代にあるのではないかと思うのです.もちろん,勉強もファイ・カッパー・ファイとか,米国の優秀な大学生に与えられる栄誉を,すべて彼が得ているところからして天才というか,そういう人物であったということは隠れもない事実です.それだからこそあれだけの論文が書けたのではないかと思うし,それにまた,彼の偉大なところは,それを世間が高く評価すればするほど「自分のやったことはそんなに大変なものではない」というような,非常に控えめな,ちょっと当惑したような形の態度でこたえているというところに,彼の奥ゆかしさといいますか人柄が出ています.彼の業績をそういう面から考えると,世間は少し彼を低く評価しているのではないかという感じもしないでもないのです.21世紀にはシャノンの情報理論が何らかの形でインフラとしての理論になってくるのではないかという思いがあります.
〔辻井〕
それでは,シャノンとのかかわりで自己紹介を,自分はどういう関係で仕事をしてきたか,あるいは,シャノンに対する評価みたいなものも織り交ぜながら,ひとわたり自己紹介的にやって頂きましょうか.甘利先生からお願い致します.
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