設立の背景

 現在、地球の温暖化など環境問題の解決は緊急の課題となっている。 スマートグリッドは市場、利用者、サービスプロバイダーを介して電気エネルギーの発電、 送電、配電、運用を効率的、安全、安定に運用し、エネルギー利用の効率化を図り、環境 問題を解決する重要な課題である。
 スマートグリッドによる電力の双方向化、分散化、リアルタイム化は、情報通信技術との 統合化により実現が可能である。しかし、自然エネルギーの利用は、供給の不安定性、低 信頼性、コスト面から、多くの解決すべき課題がある。これより、太陽エネルギー、風力 発電、電気自動車の導入や家庭内電力の省電力化などが導入され、また、個人とサービス プロバイダー、国際間でのエネルギーの売買が市場を介して自由に行われるようになる。 このためには、電力システムのモジュール化、オープン化と広域化が進められる。
 また、電気エネルギーの発電、送電、配電、運用と合わせて、個々の電気機器の省エネ技術、IP 情報通信ネットワークとの統合化、電気自動車の利用と電気エネルギープラグインシステム、 省エネビル、商店、住宅、コンピュータや家電機器の低電力化技術、センサーネットワーク、 携帯電話無線基地局、移動端末、通信端末の低電力化や安全な運用のためのサーバーセキュ リティなど多くの研究課題の解決が求められている。また、交通、輸送システムの電気化は、 新たな輸送システムや交通システム実現など流通システムにも大きな影響を与える。
 このように、スマートグリッドは情報通信システムと融合することにより、私達の社会シ ステムそのものに大きな変革をもたらすことが期待されている。米国ではIEEE においてス マートグリッド研究会が2010 年7 月に、国際会議SmartGridComm2010 が10 月に開催され、 国際標準の場で議論が開始されている。
 ICT をベースとしたスマートグリッドの研究課題は、情報通信技術と電力、機械、自動車、一般消費者が情報通信技術と一緒になって取り組むべき研究課題である。 今回の研究会では、今までの電子情報通信学会の会員だけでなく、自動車学会、機械学会、 電気学会の会員と一緒に研究会に参画し、これからのエネルギーと情報通信の果たすべき 課題について協力して研究を進めることを趣旨としている。また、日本だけではなく海外との 連携によって、地球規模の問題として取り組む必要がある。
 本研究会を進めるにあたり、2010 年1 月より数回にわたり、情報通信、電気自動車、エネル ギーの研究者が集まりEV-ICT 研究会の会合を重ねてきた。そこで、議論された課題に対し て、広く電子情報通信学会、電気学会、自動車学会、機械学会の会員からも参加者をつの り学問的な領域からの研究を進めることは重要である。
研究の内容としては、
(1)ICTがスマートグリッド、環境・エネルギーに与える影響に関する研究
(2)エネルギー発電、送電、配電、運用に関して効率的、安全、安定に運用するためのICT技術に関する研究
(3)EV車の運行管理に関する研究
(4)省エネビル、省エネ商店、省エネ住宅、省エネ電気機器とICT技術に関する研究
(5)通信設備、通信端末、電気機器のICT統合による省エネ化技術の研究
(6)サイバーセキュリティに関する研究


委員会の目的

 これら設立の背景から、情報通信、電力、電気機器、自動車、環境の研究者が、大学だ けでなく企業、国から参加し、協力して研究を進めることが必要である。今回は、電子情 報通信学会の会員と自動車学会、機械学会、電気学会に所属する会員が、協力して研究会 に所属し、スマートグリッドを実現する上での情報通信技術の果たすべき役割について、 技術だけではなく、社会の在り方や、産業基盤の構築などの社会科学的な領域からの研究 も合わせて進める。
 これらの研究成果は、大学においては、より広く環境、社会インフラなどの新たな課題の 抽出、企業ではビジネスや事業化を通して社会への還元、ベンチャー起業化や国において はアジア、世界における国家協力など新しい課題を考える基礎となることが期待される. また、国際標準、フォーラム標準、デジュール標準と連携も視野において、本研究会が進 められることは必要である。
 また、電力、エネルギー、電気自動車、電気機器などの低消費電力化は個々の機能の低電 力化と同時にネットワークを介してお互いが効率的な電力の発電、送電、配電、運用を図 ることにより有機的に広域での低消費電力化とCO2 削減を可能とする。この課題は今まで のように、個々の領域毎に解決する課題ではなく、一堂に会して研究することが必要であ る。また、単に一地域や一国で解決すべき課題ではなく、アジア、世界を協力して解決す べき課題である。その意味で今回は、各学会、各国よりの研究者を集い研究の推進を図る。 このことにより、新たな研究領域の創造と新たな研究者の育成、世界規模での研究が開始 されることを期待している。


研究分野

研究分野トピックス
1)スマート社会科学の研究スマートグリッド新サービス
スマートグリッドと低炭素
新交通・輸送インフラ構築の研究
貿易と国家の在り方に関する研究
標準化と知的財産の確保
2)エネルギーとICT技術の研究高効率発電・送電・配電マネージメント
分散型エネルギーネットワーク
スマートメータネットワーク
双方向電力分配
デマンド型グリッド技術
3)EV車の運行管理に関する研究EVへの電気エネルギー供給ICTによる交通輸送システム
エコドライブナビシステム
プラグインネットワークシステム
EVのIP/ID化
個人・車認証
バッテリー認証
サイバーセキュリティ方式
4)エネルギーマネージメントの研究ICT省エネビル
各種電子電気機器の運用管理
自然エネルギーの効率的電力運用
セキュリティ方式
5)ICTと省エネ化技術の研究携帯電話基地局の低消費電力化
通信端末の省電力化
機器の低消費電力化

活動期間

平成28年4月1日〜平成30年3月31日 (原則2年間)


関連研究会

情報ネットワークIN
知的環境とセンサネットワーク ASN
インターネットアーキテクチャIA
情報通信マネジメントICM
電子通信エネルギー EE
ネットワークシステム研究会NS
無線通信システムRCS
モバイルネットワークとアプリケーションMoNA


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