MVE賞について

MVE研究会では2007年6月より、各回の研究会で発表された発表論文からベストペーパーを選出し、「M V E 賞」を贈呈することになりました。

MVE賞に選出された方々には、研究会での表彰をはじめとし、HCG賞へのご推薦や論文特集号投稿へのご推薦など様々な特典が用意されております。

皆様におかれましては、今までにも増しての研究会への積極的なご投稿をよろしくお願い申し上げます。

MVE賞の概要

この賞は、MVE研究会で発表された研究の中から内容、発表等が優秀なものを表彰することにより、研究会活動の活性化を図ることを目的とします。

原則として毎回の研究会発表から10件あたり1件程度を選びます。候補の選出は当該研究会の会場で講演を聴講した者に制限し、幹事団が合議により授賞講演を決定します。

受賞者には後日委員会名で通知を送付します。また発表のあった翌月以降の研究会会場で表彰式を行います。

受賞者(発表者)には表彰状の授与と、表彰式を行う月の研究会へ招くとともに、懇親会に無料で招待します。

MVE賞の授賞論文は、毎年度末にHCG傘下の各研究専門委員会が選出するHCG賞の候補とします。

なお、MVE賞は9月1日〜翌8月末を年度としています。

MVE賞選奨規定(2018年1月改正版)

2021年度受賞者

講演番号:MVE2021-95
題目:腱電気刺激と視覚的斜面提示が及ぼす地面の傾斜感覚への効果 (3月研究会)
著者:高橋 希実・雨宮 智浩・松本 啓吾・鳴海 拓志・葛岡 英明・廣瀬 通孝・青山 一真(東大)
本研究では、HMDで斜面映像を見ているユーザの足首の腱に電気刺激を提示することで、角度調節可能なプラットフォームに立って映像を見た際の主観的な地面の傾斜感覚と等価な傾斜角度を再現する実験を行っています。実験の結果、HMDで見ている斜面の傾斜方向と同側の足首の腱に電気刺激を提示することで主観的な地面の傾斜感覚が強まることを明らかにしています。VR体験中のユーザの主観的な地面の傾斜感覚を電気刺激によって制御できるとの知見はこれまでにないもので、没入感の高いVR体験を実現する上で新しい可能性を切り拓いたものであり、今後の発展にも大いに期待できることから、MVE賞に推薦いたします。

講演番号:MVE2021-88
題目:オンラインコミュニケーションにおける立体音響を活用した満足感・納得感向上の検討 (3月研究会)
著者:内田 聡一郎・後藤 充裕・瀬下 仁志(NTT)
本研究は、オンラインコミュニケーションにおける満足感や納得感の低い状態の解消に向けて、話者の内面において対話相手の存在感や対話相手との距離感といった主観的な感覚を形成させる立体音響の活用方法を提案しています。対面でのコミュニケーションにおける空間のあり方から調査・検討を行い、Webサイト形式のオンライン展示会を題材としたWebアプリケーションをデザインするとともに、当該アプリケーションを前提としたWeb Audio APIによる立体音響に関する基礎実験を実施しています。本提案は、オンラインの特性を活かして対面コミュニケーションの本質的な価値を提供する試みで、対面環境の忠実な再現に拘る従来手法とは一線を画すものであり、その課題発見的なアプローチと立体音響を活用する手法は、ウェブのみならずXRシフトの時代においても将来性の観点において高く評価できます。よってMVE賞に推薦いたします。

講演番号:MVE2021-72
題目:Hype Live:生体情報によるVRライブの一体感向上を目的とした感覚フィードバックシステム
(3月研究会)
著者:阿部 将士・秋吉 拓斗・澤邊 太志(奈良先端大)
本研究は、VR空間上での音楽ライブにおける一体感向上を目的に、ユーザの生体情報に基づいた各種感覚への刺激により、観客同士の反応を共有するHype Liveのコンセプト提案とプロトタイプシステムの実装・評価を行なっています。HypeLiveは,従来アプローチのようにユーザ周囲のノンプレイヤキャラクタ(NPC)観客の動きを制御し一体感を高めるのではなく、NPC観客がユーザの各種感覚刺激に働き掛けることで、ユーザが感じる一体感を高めようとする点が極めて興味深く、評価できます。また、ライブにおける観客同士のぶつかり合い行為であるモッシュに着目し、触覚フィードバックにより表現するプロトタイプシステムにより、実際に一体感向上が図れるかを検証した点も高く評価できます。NPC観客からの刺激制御や複数ユーザへの対応など、今後の発展も大いに期待できるため、MVE賞に推薦いたします。

講演番号:MVE2021-65
題目:ツンデレインタラクション - 受け手の支配的・服従的な性格の違いと作業意欲の関係の調査 -
(3月研究会)
著者:田井中 渓志・淺田 樹生・山内 翔太郎・児玉 哲哉・川瀬 寛也・澤邊 太志・神原 誠之(奈良先端大)
本研究では、作業意欲向上のための行動変容が目指されており、行動変容を促す手法として、罪と報酬を組み合わせて与えるオペラント条件付けに着目されています。オペラント条件付けを、人間関係において好意的な態度と冷たい態度の両方の性質を持つツンデレに当てはめ、ツンデレを特徴として持つエージェントがユーザとインタラクションする手法が提案されています。今回の発表では、被験者の性格を支配的・服従的に分けて評価実験を行い、提案手法が効果的に働く対象者について調査が行われています。調査の結果、提案手法は支配的な性格が弱い人ほど作業意欲の向上に効果があることが確認されました。研究会での発表では、非常に議論が盛り上がりました。その議論の内容から、本研究の将来性が大いにあることがうかがえ、今後の発展を期待できるものであることからMVE賞に推薦します。

講演番号:MVE2021-34
題目:周辺視野のみに情報提示するディスプレイシステム(1月研究会)
著者:喜多山 湧也・磯山 直也・内山 英昭(奈良先端大)・酒田 信親(龍谷大)・清川 清(奈良先端大)
本研究は、他者の存在を感じさせ、共感を喚起させることを目的に、人の周辺視野領域のみに視覚情報を提示するディスプレイシステムを新たに実装し、そこに他者のシルエットを表示する手法を提案した。中心視野領域にディスプレイを置かず、あえて周辺視領域のみにディスプレイを設置するという着眼点が極めて興味深く、評価できます。また、本研究の目的である共感の評価において、実践的なコンテンツを利用するとともに、主観指標に加え、多様な客観指標を駆使して本手法の有効性を明らかした点も高く評価できます。ハードウェアの軽量化などシステムが改善されることで、今後の発展も大いに期待できるため、MVE 賞に推薦いたします。

講演番号:MVE2021-26
題目:エッジデバイスを用いたリアルタイムな安全経路探索と可視化の検討(10月研究会)
著者:原 豪紀・斎藤 英雄(慶大)
本研究は、街中での犯罪遭遇を回避することを目的に、空間の安全性評価、安全経路探索、 経路の可視化を行うARシミュレータを実装し、そこから得られた知見と問題点を報告して います。犯罪者を想定した危険人物を仮想空間上で行動させ、仮想の街のどこの道路に危 険があるのかを可視化しています。犯罪遭遇を回避する目的以外にも、感染症感染者との 接触回避等にも活用が期待される上、このシミュレータの体験を通じて、市民の意識変容、 行動変容を促す効果も期待され、将来の実用に向けた多様な議論を促進する将来性も有用 性も高い研究と考えられます。以上により、今後の発展が大いに期待されることから、MVE賞に推薦いたします。

講演番号:MVE2021-24
題目:ヒューマン・コミュニケーション研究における社会的有用性評価 〜 新規技術の社会的有用性を評価する研究報告ガイドライン 〜(9月研究会)
著者:西村 歩(慶大)・塚常 健太(都立大)・新井田 統(KDDI総合研究所)
本研究は、ヒューマンコミュニケーション研究において疎かにされがちな、新技術の社会的有用性を評価する方法を提案しています。これは、非営利組織運営の分野で幅広く用いられている「社会的インパクト評価」を参考に、事業の設計図である「ロジックモデル」を制作し、インプットから長期のアウトカムまでの各項目について測定指標を決定しインパクト評価を行うものです。具体例を交えて評価の方法論を明快に示しており、多くの研究者にとって有益な研究であると考えられます。本研究は、工学に偏りがちなヒューマンコミュニケーション研究に社会科学の観点を導入する上で道標となりえるインパクトの大きな研究であると考えられ、今後の発展が大いに期待されることから、MVE賞に推薦いたします。

講演番号:MVE2021-23
題目:減災対策の実践的な知識や体験が日常生活の中で得られる情報提示システムの検討(9月研究会)
著者:飯田 千香子・宇於崎 月香・鈴木 陽登美・谷 菜々子・辻田 喜琉・江崎 航矢・武川 直樹(東京電機大)・青木 良輔(NTT)
本研究は、日常生活において減災対策の知識・体験が受動的に得られる情報提示システムの実現を目的として、システムコンセプトを提案しています。これまでの減災対策に関する知識・体験を人々が得られるような取り組みは、人々の能動的な参加を前提としており、接触機会が限定的でした。本研究では、減災対策に消極的な人の行動特性や心理学・脳科学に基づく記憶の定着方法などを調査したうえで、包括的な減災対策の知識・体験について日常生活の中での受動的な習得等を実践するためのシステムを具体的に提案しており、アプローチの有効性および今後のさらなる発展が大いに期待されることから、MVE賞に推薦いたします。

講演番号:MVE2021-02
題目:可視光通信プロジェクタの高画質化のための光源制御による輝度補正(6月研究会)
著者:覚井 優希・亀井 郁夫・高木 健・韓 燦教・福嶋 政期・苗村 健(東大)
本研究は、映像の中に不可視の情報を埋め込んで提示する可視光通信プロジェクタの高画質化手法を提案しています。一般に、可視光通信プロジェクタは、映像と情報を時分割で表示するため、情報量が増えるほど画質が劣化します。これに対して、提案手法では画素単位での制御に加えて、光源を点滅させることでさらに精緻な輝度制御を可能にしており、同じ情報量を埋め込んだ際のコントラスト比を改善できることを実験で示しています。本研究は、従来手法の限界を打破する優れた着想に基づいて実際にその効果を試作機を用いて示しており、今後のさらなる発展が大いに期待されることから、MVE賞に推薦いたします。

講演番号:MVE2020-43
題目:Twitterにおける商業施設フォロワーの嗜好解析とテキスト推薦(3月研究会)
著者:山田 万太郎・汪 雪テイ・山崎 俊彦(東大)
本研究は、Twitter における商業施設フォロワーのフォロー特性といいね特性を解析することで、その嗜好を明らかにすることを試みています。実験では、16種類の商業施設のアカウントを対象として解析を行い、フォロワー特性及びいいね特性の両者において、商業施設ごとに異なる特徴が示されることを確認しています。さらに、フォロワーのいいねツイートデータを用いて、フォロワー志向のワード推薦を行う手法を提案しています。これにより、いいね数を元にしたより精度の高いワードのランキングと推薦が可能になることが期待されます。本研究は学術的に興味深いだけでなく、実際の商業施設と共同で進めており、今後の実用化やさらなる発展が大いに期待されることから、MVE賞に推薦いたします。

講演番号:MVE2020-30
題目:Phantact:実世界におけるプロテウス効果生起システムの提案(1月研究会)
著者:鹿内 裕介・磯山 直也・酒田 信親・清川 清(奈良先端大)
本研究は、拡張現実環境において三人称視点からのアバターを変更することによってユー ザーの心理や行動の変容を引き起こすシステムを提案しており、その影響を一人称視点か らの映像と比較している。身体に応じて心理や行動が変容することを検証する試みは、 バーチャル環境において数多く行われており、顕著な成果を挙げているが、本研究では、 360°カメラとスタビライザーを活用することで、三人称視点からの拡張現実感システム においてもこれを検証することを可能としている。アバターの身体に応じて心理や行動の 変化が生じることは、実環境とサイバー環境を融合した今後の社会設計においても重要な 知見となると考えられるため、更なる研究の発展を期待してMVE賞に推薦いたします。

講演番号:MVE2020-22
題目:防火意識向上のための環境認識に基づくAR火災シミュレータ(10月研究会)
著者:叢 熙・磯山 直也・酒田 信親・清川 清(奈良先端大)
AR技術を用いて、日々生活している空間における火災を視覚的に擬似体験することが可能 なシミュレータを提案しています。これにより、安全に、かつ現実感を持って防火意識を 向上させられることが期待できます。本研究の貢献として、空間を構成する物体の幾何情 報だけではなく材質の燃えやすさを考慮することで、より臨場感のある炎の拡散を模擬し たことが挙げられます。材質の認識にはセマンティックセグメンテーションによる物体認 識と領域分割を応用し、物体を表現する高粒度な3次元点群への材質情報の付与が可能になっ ており、技術的な信頼性が認められます。評価実験は、まだ予備的なものですが、消防士 からの意見も得ていて、改善点の分析も改良の計画も妥当に行われています。音響や熱な どの他のモダリティの追加による拡張も検討されており、今後の多様な発展と社会貢献 も期待できるため、MVE賞に推薦いたします。

講演番号:MVE2020-18
題目:Neural Style Featureを用いた感性モデルに基づく質感表現(9月研究会)
著者:寸田 菜月・谷 伊織(関西学院大), 飛谷 謙介(長崎県立大), 竹本 敦・谿 雄祐・長田 典子(関西学院大), 森田 修史(クチュールデジタル)
本研究は衣服の柄を対象とし、感性的質感の定量化とスタイル特徴量を抽出、感性的質感とスタイル特徴量との相関モデルを生成し、このモデルから利用者が希望する感性的質感を持つテクスチャを自動生成しています。広い規模での柄の収集・柄の感性的質感の定量化・スタイル特徴量の抽出・相関モデル生成等、網羅的に実施している点、実用的観点で企業と上手く連携されている点、衣服の柄以外の他分野へも応用が可能で影響範囲が広い点などが高く評価出来ます。本研究の成果により、専門知識のない利用者でもオリジナル衣装をデザイン出来たり、既存事業者や利用者の人的・時間的コストが削減できる未来も見えてきますので、本研究の益々の発展を期待しましてMVE賞に推薦いたします。

2020年度受賞者

講演番号:MVE2020-2
題目:単一の再帰透過光学素子による空中像の奥行き反転を解消する光学系(6月研究会)
著者:松村 俊輝,阪口 紗季,苗村 健(東大)
本研究は、三次元物体を光源として物理的に正しく空中に像を結像させることを目的に、単一の再帰透過光学素子(RT plate)と2枚の鏡を組み合わせた三角形の光学系を提案し、空中像の飛び出し距離や輝度変化,視域の特性を検証しています。従来の再帰透過光学系の問題であった奥行き反転の発生を、単一のRT plateに2枚の鏡を加えるというアイデアで解決するという本提案は、シンプルな装置構成での空中像提示を実現し、実空間上でのインタラクションシステムの可能性拡大に寄与する点が高く評価出来ます。今後の本提案に基づくインタラクションシステムの考案や、空中像の輝度低下抑制や視域の改良を期待しましてMVE賞に推薦いたします。

講演番号:MVE2019-85
題目:ヒヤリハット事例の仮想立ち合いにおける注視点を用いた安心感評価(3月研究会)
著者:大西 衝,宍戸 英彦,北原 格,亀田能成(筑波大学)
本研究では、VRを用いた交通シミュレーション上のヒヤリハット事例に基づく車と歩行者の振る舞いについて、歩行者と異なる第三者視点からみた交通状況の変化に伴う安全性の主観的評価(安心感)の変化を検証しています。歩行者視点からみた安心感の検証に偏る中で、第三者視点からみた安心感の検証を実施し、第三者視点での交通状況の認知と安心感の間の関係性の一例を示唆したことは高く評価できます。本発表の検証をきっかけに、異なる視点に応じた交通状況の安全性に関する認知の違いや、歩行者の周辺にいる人々の歩行者の危険通知の可能性など、ヒヤリハット事例の減少につながる新たな知見につながることを期待しましてMVE賞に推薦いたします。

講演番号:MVE2019-69
題目:心像性に基づく画像キャプショニングの検討(3月研究会)
著者:梅村和紀・カストナー マーク アウレル・井手一郎・川西康友・平山高嗣(名大)・道満恵介(中京大)・出口大輔・村瀬 洋(名大)
本研究では、文の心像性に基づく画像キャプショニング手法を提案し、評価実験によって画像キャプションデータセットの拡張の有効性と提案手法による画像キャプショニング実現の可能性を示しています。これまではキャプショニングの正確性や詳細性が議論の中心であった同分野において、ユーザの多様なニーズに対応するために自動生成するキャプションのバリエーションを増やすという実用化における重要な観点を提示した点で本研究を高く評価できます。また、キャプションから画像内容を想像する際の想像のしやすさである心像性という概念も興味深く、今後のさらなる提案手法の深化も期待しましてMVE賞に推薦いたします。

講演番号:MVE2019-23
題目:小人が見る世界を体験する両眼立体視システム(10月研究会)
著者:伊藤 遼・宮下 令央・石川 正俊(東大)
本研究では、小人が見る両眼立体視映像の撮影を目的としたカメラ撮影システムを提案している。小人が見る世界を両眼立体視できる映像として撮影するには、両眼間距離を十分に短くする必要があるが、一般的に撮影法である左右それぞれ映像を撮影する2台のカメラを並べるシステムでは、両眼間距離を短くするには物理的に限界がある。そこで本研究では、高速に振動する鏡面球に反射するシーンを固定したカメラで撮影することで、原理的には両眼間距離が無限に短い両眼画像が撮影可能である。効果的に立体視を表現するためには物体までの距離である明視距離も短くする必要があるため、焦点調整などに課題が残るものの今後の展開が期待できる研究であるためMVE賞に推薦する。

講演番号:MVE2019-16
題目:「不便益」発想法の企業施策立案への活用における一考察(8月研究会)
著者:野坂泰生(博報堂)・川上浩司(京大)・百瀬正光(博報堂)・秋山 崇(ユーピー)・小北麻記子(玉川大)
本研究は、主にプロダクトデザインの分野で活用が試みられている「不便益」の 概念を、企業施策の立案に活かすため方法に関して検討したものである。プロダ クトデザインにおける不便-益関係を再検討し、企業施策における不便-益関係を 表した不便益マトリクスを構築することで、既存の施策群における不便益構造の 発見や、今後の企業施策への応用の可能性などを示唆している。検討した企業施 策の事例数が少ないものの、今後事例を追加していくことで、より適用範囲が広 い不便益マトリクスの構築が見込め、これまでにない企業施策の発見などが期待 される。以上から、本研究をMVE賞へ推薦する。

講演番号:MVE2019-13
題目:不動産間取り図から主観的に感じる魅力度と間取り要素の関連解析(8月研究会)
著者:楢原 太郎(ニュージャージー工科大)・汪 雪婷・山崎 俊彦(東大)
本研究は、間取り図面の部屋の繋がりをグラフ構造化し、人の主観的な印象に寄 与する間取りの特徴をグラフの特徴から考察したものである。部屋の領域を抽出 し、各部屋の繋がりをグラフ構造化した。間取りに対しての印象は、クラウド ソーシングにより6項目の評価値に落とし込んだ。多次元尺度構成法を用いてグ ラフ同士の類似度を可視化して因果関係を考察した。結果として、水回りが離れ るグラフ構造が好まれる傾向や、現代風であると感じる間取りをグラフの特徴か ら説明しうることが示唆された。少数の間取りデータであることや、グラフ化で きていない印象因子がある可能性は否定できないが、間取りをグラフ構造化する 流れは新しく、かつ合理的な一歩である。当日の研究会でも多くの議論がわき起 こり、今後の発展も十分に期待できると考えられる。以上より、本研究をMVE賞 へ推薦する。

2019年度受賞者

講演番号:MVE2018-66
題目:奥行き方向へ高速に移動する空中像を提示する光学系(3月研究会)
著者:大里 柚衣・小泉 直也(電通大)
本研究では、空間拡張現実における空中像の提示方法に関して、奥行き 方向への高速移動を実現する独自の手法が提案されている。空中像の光 源となるディスプレイ、および、光源の虚像を提示する鏡の各傾斜角を モータで回転制御するアプローチにより、従来法よりも空中像の高速な 移動を実現した点が高く評価できる。さらに、ディスプレイおよび鏡の 傾斜角の制御のみで空中像を移動できるため、従来法よりも小型の光学 設計で実装できる点も併せて評価できる。空中像の輝度、提示位置の精 度、移動範囲についてさらなる検討が必要であるが、より多様性のある 空中像提示の実現という観点から、今後の発展が期待できる研究である。 以上より、本研究をMVE賞に推薦する。

講演番号:MVE2018-47
題目:多人数講義における講師分身エージェントを用いたコミュニケーションの促進(1月研究会)
著者:北岸 佑樹・田中 友樹・米澤 朋子(関西大)
本発表では、一人対多人数コミュニケーションにおける講師-受講生間の 個別コミュニケーションの支援を目的として、影と移動軌跡の描画によ る視覚定位と移動する足音音源による音源定位で表現される講師分身エー ジェントを提案しています。実験の設計や評価軸に関して議論の余地は ありますが、プレゼンテーションや質疑応答での様子から、発表者は現 状の実装方法に問題があること、実用に向けて改良すべき点を理解して おり、今後のさらなる検討に期待がもてます。エージェントの存在感の みでも会話の声が小さくなる等、今回の実験で得られた知見は興味深く、 今後より適切な実験条件で実験を行う際の評価の方針や今後の研究の方 向性を考える上での重要なデータが得られていると思います。また、移 動音源のデバイスを持ち込んでデモを実施しながらの議論にも積極的で、 メディア体験を通じて研究議論を深められたと思います。今回は、講師- 受講生間のコミュニケーション支援をターゲットとしていますが、保育 施設や介護現場等、一人対多人数の他のコミュニケーションシーンへの 応用も期待し、MVE賞に推薦します。

講演番号:MVE2018-27
題目:タッチ操作拡張によるディジタル紙芝居システムの開発と評価(10月研究会)
著者:村田 真隆・牛田 啓太・陳 キュウ(工学院大)
本研究では,紙芝居の作成および上演をディジタル化した環境下で実現するシ ステムを開発し,小学校の低・中学年に実際に使用してもらった上で,操作の 容易性や,作成されたコンテンツの多様性を議論しています.従来のような紙 で作成・上映する紙芝居との比較や,作成・上演に係る機能に関する検討など, 今後も検討すべき課題は見られるものの,手軽に効果的なディジタルコンテン ツを作成する手法の提案という観点から,今後のシステムの発展を期待し,本 研究をMVE賞に推薦します.

講演番号:MVE2018-18
題目:CNNを用いたマルチモーダル処理によるテレビ広告動画の影響予測(9月研究会)
著者:中村遵介(東大)・河原達也(ビデオリサーチ)・山崎俊彦(東大)
著者らは本発表で,テレビ広告(CM)映像に含まれる視聴覚情報及び付随する メタデータ,さらには出演者に関する関連情報を統合的に解析し,反響を予測 する手法を提案しました.広告製作時に事前に反響を予測できることが期待さ れる点で実応用も十分視野に入った研究であると考えます.特に,画像特徴の みを用いた著者らの先行研究と比較して大幅に性能が向上し,映像解析に周辺 情報を用いることの有効性を示した点でも評価できます.一方,現状では,動 画像中の動きや,映像の時系列性やストーリ内容については無視されており, 今後さらに高度な手法に発展することへの期待も込めて,MVE賞に推薦します.

2018年度受賞者

講演番号:MVE2018-1
題目:手遊びのハンドジェスチャを用いた3Dモデル操作手法(6月研究会)
著者:辻 天斗・牛田 啓太・陳 キュウ(工学院大)
本研究では,左右の手によって非拘束で仮想空間上の3Dモデルをリアルタイムに操作する手法を提案している. この手法は,左右の手の組み合わせを動物などの形に見立てて影絵として投影して動かす影絵遊びから着想を得ている. 実装システムでは,3Dモデルを読み込み,手指とモデルの骨格を対応付けてさまざまなモデルに対して動きを設定でき, 例えば,ヤドカリのモデルのハサミの開閉や,鳥のモデルの羽ばたきなどが表現できる.提案手法は, 影絵遊びに着想を得ていることから,利用者の手にグローブやセンサを付けることなく,かつ, 子供でもできる簡単な手の動きで利用できるという特徴がある.技術が利用者に与える制約と得られる価値,体 験のバランスがうまく設計された技術と言え,メディアエクスペリエンスの観点から大変興味深い研究事例であり, MVE賞に価する成果である.
講演番号:MVE2017-71
題目:場所に関連した単語の音声提示による偶発的語彙学習手法 (3月研究会)
著者:濱田健夫(東大)・福嶋政期(JST/産総研)・ハウタサーリ アリ(東大)
言語習得の初期段階での語彙習得という実践的な問題に対し、日常的に 繰り返し歩く道という物理的な空間と言語の語彙空間を対応付けること で学習の促進を図っている。特に従来の言語-言語間のマッピングでは なく、実物と言語を直接的に対応づけようとしている点や、それをVR技 術を使って無理なく実装している点は高く評価できる。以上より、本研 究をMVE賞に推薦する。
講演番号:MVE2017-104
題目:睡眠誘導のための渦輪を用いた頬触覚インタフェース『PomPoco Sleeper』の製作(3月研究会)
著者:佐藤優花・上岡玲子(九大)
本研究では,睡眠という社会問題に対し,空気砲の渦輪を頬に当てる非接触型触覚 インタフェース『PomPoco Sleeper』を製作し,眠気の誘発による良質な睡眠を目指 している.特に寝具以外での触覚刺激による取り組みは,あまり例がなく,試作機 において安定した渦輪を生成する工夫や,睡眠環境への実現可能性も検証している 点は高く評価できる.眠気に対する科学的な効果検証という点では,改善の余地が あり,PSGなどの医療検査での効果検証が必要となってくるが,着眼点および今後の 発展性のある研究課題であり,MVE賞に値する成果である.
講演番号:MVE2017-105
題目:Laugh Log −テキスタイルセンサを用いた腹巻き型笑いログシステムの提案− (3月研究会)
著者:島